自分の青春時代はどこでしたか。
そう誰かに聞かれたら
私は間違いなく
『中学校時代』と答えるだろう。





あの濃密な3年間に
私の喜怒哀楽は
全て詰まっている。





人の目を気にしつつも
自分というものを表現したく

みんなと調和しつつも
自分は特別な存在でありたいと願い

守られていることに安心しながらも
それをひどく窮屈だと思う。





そんな
不確かなところを
いったりきたりして
常にフワフワしていた。





そして人の悪意をというものに
真正面からぶつかるのも
この頃だろう。





私にも少なからず
嫌なことはあったが
そのことを
親へ相談はしなかった。





子どもにとって
親の悲しい顔を見ることは
自分が嫌がらせを受けることより
辛くて苦しいのである。






また その当時
家の中にも暗雲が立ち込めていた。
両親の喧嘩がたえず
家に帰るのが辛かった。







苦しいこと
悲しいこと
そして 自分ではどうしようもできないこと
そういうものをカバンに詰め込んで
私は毎日 平気な顔で学校に通った。






あの時の私には
それ以外の方法が
分からなかった。


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だから
この本を読んで
涙が止まらなくなったのは
その当時の自分と
主人公たちを重ねたからだろう。






本当は
原作より先に
映画を観ていた。
何の前情報もなく
ふらっと観た映画だったが
あるシーンで
私は涙を止めることができなくなった。






そのシーンは
温かい夕陽をバックに
静かに時間が流れていく。
一点の けがれもなく
観るものすべてを圧倒するのだ。






映画が終わり
会場中が温かい拍手に包まれたのは
後にも先にも この一回だけだった。






隣に座っていた旦那さんへ
さあ帰ろうかと声を掛けたら
彼の目は私と同じで
真っ赤に染められていた。






ああ
中学生ゆえの
誰にも言えない苦悩が
彼にもあったんだな。






そう思ったら
また胸が締め付けられた。
だけど だけども
そういうことを乗り越えてきた私たちは
きっと誰よりも優しくて強いはずだ。






安心して大人になりなさい。







映画を観終わった私は
中学生の私へ
静かにエールを送った。