★ メトホルミンは糖尿病治療薬の1つです

 

★ 多嚢胞性卵巣症候群PCOSの方で、耐糖能異常がみつかった場合には、排卵障害の改善のためメトホルミン投与が保険診療で認められています

 

★ なので、多嚢胞性卵巣症候群の方には耐糖能検査(血糖・インスリン)がすすめられます。この検査は絶食で行う必要がありますので、原則10-12時間、「水(甘いものX)」以外はとらずにお越しください。

 

★ 耐糖能異常(糖尿病予備軍)がみつかっときには、メトホルミンを用いての治療が勧められます。

 

 ★ 多嚢胞性卵巣症候群PCOSに対するインスリン抵抗性改善薬であるメトホルミン治療について米国生殖医学会のガイドライン(エビデンスレベルAまたはBのみ)をご紹介します

 

Fertil Steril 2017;108:426.

米国生殖医学会のガイドライン

 

(A) 根拠十分

(B) 根拠中等度

 

  1. 排卵率:プラセボ<メトホルミン単独(A)
  2. 排卵率、臨床妊娠率、出産率:クロミフェン単独>メトホルミン単独(B)
  3. レトロゾール単独が第一選択の治療として望ましい(B)
  4. 排卵率、臨床妊娠率:メトホルミン+クロミフェン>クロミフェン単独(A)  
  5. 出産率:メトホルミン+クロミフェン=クロミフェン単独(A)
  6. 出産率:メトホルミン単独3ヶ月+卵巣刺激で増加(B)

 

クロミフェンで効き目が悪い場合:

  1. 排卵率、臨床妊娠率:メトホルミン+クロミフェン>クロミフェン単独(B)
  2. 臨床妊娠率:メトホルミン+クロミフェン=腹腔鏡などによる手術的対応ドリリング+クロミフェン=腹腔鏡などによる手術的対応ドリリング単独(B)

 

流産率、多胎妊娠率について:

  1. メトホルミンを使用して妊娠し、妊娠判明時に中止しても流産率に影響しない(B)
  2. メトホルミン単独は多胎妊娠率を増加させない(A)

 

★ 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でのメトホルミンを用いた体外受精について、Cochrane reviewの記事をご紹介します。この論文では、「耐糖能異常の有無にかかわらず、多嚢胞性卵巣症候群でのメトホルミンを用いた体外受精では、卵巣過剰刺激症候群の発症頻度が低下し、妊娠率が増加した」と報告されています。

Fertil Steril 2015; 104: 542

  • PCOSでのメトホルミンを用いた体外受精について、9論文816名のメタアナリシスを行いました。
  • プラセボ群と比べ、メトホルミン群では、臨床妊娠率が有意に増加(1.52倍)し、OHSSが有意に低下(0.29倍)しましたが、生産率には有意差を認めませんでした。