★ PGT-Aを行い、モザイク胚しか得られなかった場合に、移植したらどうなるかについて検討したものです (Fertil Steril 2018; 109: 77)

 

PGT-Aを実施した方で、正常胚が得られずやむなくモザイク胚を移植した妊娠予後について前方視的に検討しました。正常胚移植(250周期)と比較し、モザイク率50%未満(44周期)とモザイク率50%以上(33周期)の結果は下記の通り。

 

 

モザイク率50%以上と正常胚、モザイク率50%以上とモザイク率50%未満との間に有意差あり。

 

なお、正常胚とモザイク率50%未満の間には有意差はなく、モザイク胚で出産した児は全て健常児でした

 

★モザイク胚を移植する場合の意思決定とその結果に関する報告をご紹介します

(Fertil Steril 2019; 111: 132)

 

PGT-Aの結果、正常胚が一つもなくモザイク胚のみの方を対象に、遺伝カウンセリングを実施し、移植するかどうするかの意思決定を行いました。

 

その結果、モザイク胚の移植30%新たに採卵42%、とりあえず保存20%廃棄6%、他院へ移送2%となりました。モザイク胚の移植を行った方の27.6%(8/29)が妊娠継続し、新たに採卵した方では51.2%(21/41)が妊娠継続され、有意差が認められました。

 

また、モザイク胚の移植を行った方の24.1%(7/29)が流産あるいは化学流産となり、新たに採卵した方では12.2%(5/41)が流産あるいは化学流産となりました。

 

胎盤になる細胞と胎児になる細胞は異なる可能性があります。したがって、数個の胎盤になる細胞から胎児になる細胞の染色体を予測するには限界があります。

 

また、異常細胞は淘汰される仕組みがあっても不思議ではありませんので、モザイクの中の異常細胞群が自然淘汰(あるいは自己修復)されて正常なものだけが残ることも十分考えられます。

 

さらに、異常細胞が胎児になる細胞の中に当初あったとしても、胎盤になる細胞の側に後に移動されるのではないかとの考えもあります。

 

モザイク胚は28%程度に認められ、モザイク胚の移植では、流産が多くなること、②妊娠継続の場合は羊水検査による確認が望ましいと報告しています。

 

モザイク胚は、まだわからないことが多いので、遺伝カウンセリングをシッカリと受け、慎重に対応する必要があります。

 

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