「土地の価値の裏側」や「まちづくりの制度」、そして「相続税の特例」――。
これまで３回にわたって、“土地の見方”をいろいろな角度から整理してきました。
「土地と制度シリーズ ─ これからの“土地のリアル”を一緒に考える（全6回）」も、
いよいよ折り返し地点です。
こんにちは。
FPふたむらたけしです。
ここまでの内容を、一度、振り返ってみたいと思います。
🧭 ①「数字の見方」が変わると、土地の見
え方も変わる
第１回では「地価公示」を取り上げました。
ニュースで流れる“地価が上がった・下がった”という数字は、あくまで「売れた土地」の情報をもとに作られた“代表値”であり、
すべての土地の価値を表しているわけではないのですね。
言い換えれば、
「地価公示」は“平均の声”
「相場」は“あなたの土地の現実の声”。
土地の価値を正しく見るには、
数字の裏にある「取引の実態」を知ることが大切でしたね。
「ニュースでは見えない“土地のリアル”
──地価公示の数字ではわからない“あなたの土地の現実”」
🏙 ②「制度の線引き」が、土地の将来を変
える
第２回では、「立地適正化計画」という新しいまちづくりの考え方を見てきました。
この制度により、
「人が住み続けるエリア」と「そうでないエリア」
が分けられ、土地の“売れやすさ・使われやすさ”に差が生まれていく可能性があります。
つまり、「土地の価値」は、その土地を利用したい人が利用目的を達成するための"現在の立地の良さ"だけでなく、“新制度”による新しいまちづくりの方向性を踏まえた"将来も見据えた立地の良さ"次第で変わる時代です。
まちの将来像を知ることが、土地の将来価値を守るために重要になってきています。
「あなたの土地も影響を受ける？
──立地適正化計画が変える「まちの未来」と「土地の現実」」
💴 ③「同じ制度でも、地域で差が出る」こ
とを知る
第３回では、相続税を計算する際の「小規模宅地の特例」がもたらす“静かな地域格差”を見てきました。
制度自体は全国共通でも、地価が高い地域の土地ほど、
相続税計算上の価値がこの特例の適用によって“大きく減額される”という構造になっている。
結果的に、都市部に有利な構造が生まれてしまっている。
つまり、日本全国で共通の制度でも、土地の場所や価格によって効果が違う。
「地価が高いほど相続税が“得する”？
──小規模宅地の特例が生む“静かな地域格差”」
🌱 まとめ
３つのテーマを通じて、次のようにまとめられるのかなと思います。
- 土地の“公的な数字”は現実をすべて映しているわけではない。
- “公的な線引き”が土地の需要や価値を動かす。
- “税の仕組み”は全国共通でも、地域によって差があることがある。
土地の価値は「まちづくりの方向性」「税制」「市場」の３つが重なり合って決まると言えます。
この３つの関係を理解しておくと、今後の土地活用や相続対策を考える際に役立つと思います。
🌾 後半の「土地と制度シリーズ」予告…
次回（第4回）からは、これまでの“知識の整理”をふまえて、実際にどのように土地と向き合えばよいのか――「行動のヒント」をお届けしていきます。
-
第４回では、
「地域と共に生きる土地活用」──これからの地主さんに求められる新しい視点
というタイトルで、“地域と共に育つ土地の活かし方”をテーマに、これからの時代に求められる地主さんの考え方を整理します。
-
第5回では、
「相続税対策の“その先”へ──アパート経営を続けるか、
見直すかを判断する３つの視点」
というタイトルで、節税目的で建てたアパートをどう見直し、家族で守れる経営へ整えるかを整理します。
- そして最終回の第6回では、
「土地を“守る”から“つなぐ”へ──家族の安心を育てるこれからの相続のかたち」
というタイトルで、ご先祖や親が大切にしてきた“土地への思い”をどう受け継ぐかという視点から、現役世代が主体的に考える“安心をつなぐ相続対策”のあり方を整理します。
土地を取り巻く制度を“知る”ところから、“どう活かし、どうつなぐか”へ――。
シリーズ後半では、その道筋をやさしくご一緒に考えていきましょう。
🌸私は、中立な立場のファイナンシャルプランナーとして、
「数字」と「制度」、そして「家族の思い」を整理するお手伝いをしています。
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ふたむらたけし事務所
二村 猛（ふたむら たけし）
CFP®／1級FP技能士／宅地建物取引士
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