6週連続の成年後見人の研修、2回目。


おさらいですが、成年後見人とは


精神上の障害(認知症、知的障害、精神障害)などにより、判断能力が欠けている方支援するため、


本人の利益を考え、本人の代理で契約などの法律行為をする人


です。


一般的に、未成年の子を親が代理するのに似ているのですが


家族ではないので、できないことも多数あります。



相続人等に質問されることもあり、また、これをやってください、と言われることもありますので


成年後見人ができないことを例に挙げてみましょう。

(研修のレジュメに書いてあったのを肉付けします。)


1.身分行為についての代理権・同意権・取消権の行使


婚姻、離婚、養子縁組とかのことですね。


あくまで本人の意思によるものですので、後見人ができたらまずいですよね。



2.事実行為としての家事・介護に関する行為


後見人は、法律行為の代理人なので、料理を作ったり、買い物に行ったり


おむつのお世話をしたり、というようなことは、家族やヘルパーさんの役割になります。


まあ、親密度により、買い物や料理等は、業務とは切り離してやることはあるかもしれませんが。



3.医療行為の同意


結構問題になりますが、手術や輸血、治療方法についての同意はできません。


医療契約や、入院契約の締結は後見人が行います。



4.終末期医療、尊厳死にかかわる決定、延命治療の中止


これも3.と同様ですね。


この辺は、家族の役割になります。



5.身元引受人・身元保証人になること


3.4.と同様でしょうか。


緊急連絡先として指定していただくことは可能です。



6.本人の財産を贈与・寄付すること


成年後見制度は本人の財産を守るためのものですので


本人の意思でなければ、これはできません。



7.投機・投資的取引


ある意味本人の財産を増やしてあげようという意思があるのでしょうけど


後見人は財産を守るのが仕事で、増やすということは求められていないです。


株や投資信託で、下落したらどうしようもありません。


なので、不動産の投資マンションの購入とかもだめですね。



8.相続税対策


相続人や、税理士の先生から聞かれることがありますが


残念ながらこれはできません。


後見人の財産を守ることにはならないのです。


相続税は相続人が払うものなので、相続人のため、という風に捉えられてしまいます。



9.信書開封


成年後見人の財産を守るため、知るため、公的機関からの通知や


金融機関等の通知、お金にかかわる文書は問題とならないでしょう。


これはプライバシーの問題で、お友達からのお手紙とか


個人的なものは、できかねる、ということですね。


現実問題として、判断能力がまったくなく、身寄りがない場合は、


こちらが空けざるを得ないでしょうけど。


本人や相続人の前で、同意のもと開けることが望ましいでしょう。



大体こんなところです。



2.3.4.7.8あたりは


実務を行っていく時に結構問題に、悩んだりします。


他人の財産管理、身上看護ですから、こちらも慎重にならざるを得ない場合もあります。


難しい問題にあたったときは、


リーガルサポートや家庭裁判所への照会をかけることも多いです。



成年後見人は、ある程度権限を与えられているので


(相談しても、判断に任せます、という回答も多いし、

本人のためという意識があればそんなに間違えることもないのですけど)


すべてを杓子定規にものを進めるだけでなく、柔軟に考えることも必要ですが


かといって、独りよがりの考えで進めていってもだめ。



バランス感覚が必要な業務だなあ、といつも思いますし


改めて考えさせられました。



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