人類の歴史は宇宙の経綸に従って刻まれていると感じる。

 

矛盾と苦悩に満ちた人類の歴史だが、じつはそれが宇宙の大きな愛の経綸であると得心できることがある。

 

 

 

21世紀に入るまで、われわれ人類は「成人では脳細胞は新生しない。減少する一方である」という常識に騙されていた。

 

それは、「成人の脳は障害を受けると残った神経細胞が機能を代償することがあるが、神経細胞そのものが再生することはない。というのは再生に必要な神経幹細胞がないからだ」──―というものだった。

 

今日現在もそう信じている人が多いのではないだろうか?

 

こうして人類は与えられた新生と再生の能力を自己否定してしまい、人類の進化を止めてきたのである。

 

 

 

しかし、今世紀に入るころから状況はガラリと変わってくる。

 

まず20世紀の終わりに、スウェーデンのサールグレンスカ大学病院のエリクソン博士とカリフォルニアのソーク生物学研究所のゲージ博士が、それまでの人類の常識をひっくり返す発表を行った。

 

「成人脳においても神経細胞が日常的に新生している」―――と。(日経サイエンス19998月号)

 

 

 

そして今世紀に入って、

 

ロンドン大学のサンドリン・チュレ博士はさらに、人類が人類史の主人公であることを証明する発表を行った。

 

「脳の神経細胞は新生し、しかもその新生は人為的にコントロールできる」―――と。

 

 

 

(サンドリン・チェレ博士 ロンドン大学の脳神経科学者)

 

 

 

以下、サンドリン・チュレ博士の2015年11月のTED Conferenceの講演より。

 

 

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(前略)

 

 

同僚でガン専門医のロバートからこう言われました。

 

ロ「サンドリン、不可解なんだ。治癒したガン患者にウツの症状が現れる人がいるんだ」

 

サ「患者に与えた薬がガン細胞の増殖を抑えたのと同時に、脳内の新しい神経細胞の生成も抑えてしまったのよ」

 

ロバートは「気は確かか」というふうに私を見ました。

 

ロ「サンドリン、成人の患者だよ。新しい神経細胞は成人になったら作れない」

 

サ「いや、じつは作れるのよ」

 

ロバートはびっくり仰天していました。

 

 

(中略)

 

 

脳細胞の神経新生はコントロールできるのでしょうか?

 

できます。

 

 

少しクイズを出します。いくつか態度や活動を挙げますので、神経新生が向上するか低下するかを答えてください。

 

学習はどうですか? 向上されますか?

 

・・・そうですね。学習は新しい神経細胞の生成を向上させます。

 

ストレスはどうですか?

 

・・・そうです。ストレスは海馬の新しい神経細胞の生成を低下させます。

 

睡眠不足はどうですか?

 

・・・確かに神経新生を低下させます。

 

セックスはどうですか?

 

・・・うわー すごい!(笑) そうです。新しい神経細胞の生成を向上させます。でも要はバランスなんです。セックスで睡眠不足になるなんて状況にはしたくないですね(笑)

 

年を取ることはどうですか?

 

・・・神経新生は年齢と共に減少しますが、それでも生成されています。

 

走ることはどうですか? これはみなさんに判断してもらいましょう。この図を見てください。回し車のない籠で育てたマウスより、回し車のある籠にいたマウスのほうが新しい神経細胞になるマークが大幅に増えています。

 

食物も海馬での新しい神経細胞の生成に影響があります。有効性が認められた食品や栄養素を示します。

 

2030%のカロリー制限は神経新生を向上させます。

 

・断続的な絶食、つまり食事の間隔を空けることは神経新生を向上させます。

 

・ダークチョコレートやブルーベリーのフラボノイドは神経新生を向上させます。

 

・サーモンなどのオメガ-3脂肪酸は新しい神経細胞の生成を向上させます。

 

・反対に飽和脂肪の多い食事は神経新生に悪影響を与えます。

 

・アルコールの摂取は神経新生を低下させます。でも赤ワインに含まれるレスベラトロルは新しい神経細胞の生存を促進することが分かっています。次回夕食会に行ったらこの「神経新生に中立」な飲み物を選ぶかもしれませんね。

 

最後にお話しするのは斬新なものです。日本の研究グループが食感に注目して、柔らかい食べ物は神経新生を損なうことを提示しました。咀嚼の必要がある歯ごたえの良い食べ物とは逆の結果です。

 

 

(後略)

 

 

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こうして、

 

脳の神経細胞の新生能力を自己否定して「進化」を止めてきたわれわれ人類は、

 

進化が止まっていたがゆえに、はるかな昔から戦争や貧困をそれこそ何の進歩もなく何度も何度も繰り返してきたのかもしれないが、

 

今世紀、その時が来て、新生と進化を再開したのだと思えてならない。