三重県議会議員西場のぶゆき2022年県政リポート

 

西場信行が県議会で一般質問

 今年も年の瀬が近い季節となりました。多くの皆様のご理解ご協力のおかげで元気に議会活動に専念しております。

 本年5月に県議会臨時会にて、役員改選が行われて新体制がスタートし、私は、「総務地域連携デジタル社会推進常任委員会」に所属して活動しています。

 コロナウィルス感染対策など医療福祉対策とともに感染収束後における新しい社会や暮らしのあり方検討、地域経済と産業の活性化、観光振興、スポーツ振興等に注力して取り組んでまいります。

またこの度、県議会9月定例月会議にて、一見県政の基本となる10年先を見据えた長期計画「強じんな美し国ビジョンみえ」と中期戦略計画「みえ元気プラン」が可決されスタートいたしました。

 今年は、3月2日と9月30日に県議会で2回登壇して、一般質問をいたしましたので、ここにその概要と県政トピックニュースを県政リポートとしてお届けします。

 

32日、大杉谷森林鉄道跡の活用、宮川流量回復、伊勢茶、柑橘振興、松阪木綿、史跡斎宮跡について質問しました。

 

伊勢茶振興計画について

《西場信行》

 三重県は、全国3位のお茶産地であります。

しかし、茶の消費量は減少、販売価格も低迷しており、生産者は大変厳しい経営環境におかれています。

こうした中で、県では、「伊勢茶振興計画」を策定し、茶業振興に取組もうとしています。

現在の茶業を取り巻く厳しい状況の打開のために、どのように茶業振興を図っていくのかお聞きします。

《農林水産部長》  茶生産者の所得向上とお茶の消費拡大に取り組む

県では、昨年12月に「伊勢茶振興計画」を策定しました。今回の計画では、「生産者の所得向上」と「伊勢茶の消費拡大」の両輪で取組を進めていきます。

「生産者の所得向上」では、低コスト化や省力化を図る茶園整備、有機栽培など多様な生産流通体制の構築、新規就農者確保と労働環境改善などに取り組みます。また「伊勢茶の消費拡大」では、「マイボトルキャンペーン」に加えて、伊勢茶の名称の商品・サービスの開発、新需要の創出、県内小売店や飲食店との連携、食育、伊勢茶の歴史文化の発信などに取り組みます。

 

〇全国カンキツ研究大会を契機とした柑橘振興について

《西場信行》

 県内の柑橘産地では、生産者の高齢化や担い手の減少により生産量が減少してきており、今後、需要に応じた品種の生産を伸ばしていくことが課題です。このような中、令和5年度に「全国カンキツ研究大会」が三重県で開催される予定であり、本大会を契機とした柑橘生産の発展が期待されます。そこで、大会の開催テーマと今後の柑橘生産の課題への取組についてお聞かせください。

《農林水産部長》

 令和5年度に、本県で開催される「全国カンキツ研究大会」では、柑橘産地の課題を踏まえて、「省力化に向けたスマート技術の導入」と「需要に応じた売れる商品づくり」をテーマに設定する予定です。大会の開催に向け、財政面と人材面の支援を行い、開催後には、全国柑橘主産県の取組の情報や知見を生かして、スマート技術の導入に向けた園地整備や販売戦略の強化に取り組みます。

 

〇宮川流量回復対策と「宮川のより良い流況に向けた流量回復等検討会議」の取組について

《西場信行》

 宮川総合開発計画で、宮川ダムが完成して、貯留した水を導水管で流域変更して、熊野灘に放出して発電を始めました。その結果、治水・発電効果は増大したものの、ダム下流の宮川河川環境が悪化したため、流量不足と水質問題が生じ、宮川ルネッサンス事業が進められました。

 「より良い流況にむけた流量検討会議」は、一昨年10月に、ルネッサンス委員会の流量回復目標である宮川ダム直下毎秒2トンの再現渇水流量を宮川上流部へ実現させるための検討会議として発足した。できれば3年を越えない期間限定で検討を進めていただきたい。現在の状況と今後の見通し、スケジュールを伺います。

《地域連携部長》    宮川ダムから三瀬谷ダムの間の流量回復について

宮川ダム直下から三瀬谷ダム間のより良い流況の実現に向けて、部局横断的に検討調整し流量回復取り組み方針をまとめるため令和2年11月に検討会議を設置しました。令和3年度に本格的な調査検討を着手したところであり、現時点で「ダム直下毎秒2トンの実現に向けたスケジュール」を明確にすることは困難かと考えます。このような状況ではあるものの、宮川のよりよい流況実現に向けた取組みを着実に進めるため、4年度からこれまでの検討結果をもとに利水者などの関係者と意見交換を開始していきたい。

 

930日、祓川の自然環境保全活動、森林吸収クレジットの推進、歴史文化と斎宮跡、県農業研究所について質問しました。

 

〇祓川の自然環境保全活動について

《西場信行》

祓川は、櫛田川から分派して多気町、松阪市、明和町、伊勢湾へと、自然の土堤に沿って流れる豊かな生態系を有する河川で、平成16年に県と流域3市町、住民、研究者が関わり「祓川環境保全協働ビジョン」を策定して以降、様々な活動が行われてきましたが、近年、祓川に生息するタナゴ類等が減少しています。県は、希少淡水魚類の生息数減少の原因究明に向けて、また、今後の協働ビジョン推進に向けてどのように取り組むのかお伺いします。

《農林水産部長》    タナゴ類減少の原因究明と調査を進める

タナゴ類や二枚貝類の生息数減少の原因究明に向けては、地域の不安の解消につながる調査方法を検討した上で、地元関係者や市町と協議を行うとともに、専門家と連携しながら調査を進めていきます。またビジョンの推進にあたっては、県の関係部が連携し、地元の皆さんの要望を伺いながら対応していきます。

 

〇Jクレジット制度における森林吸収クレジット推進と森林林業の活性化

《西場信行》

国ではカーボンニュートラルの実現に向けた動きが加速化しており、現在、「J-クレジット制度」の活用が進められている。

J-クレジット制度は、省エネ設備や再エネルギーによる企業活動のCO2排出削減量や森林管理によるCO2吸収量を森林(吸収)クレジットとして国が認証し、クレジット売買を通じて社会全体で温室効果ガスの排出削減と吸収の活動を推進していく制度である。

本年8月に、J-クレジット制度が改正され、今後、森林クレジットの取り組みが活発化してくることが期待される。

そこで、本県における森林吸収クレジットの創出拡大と販売促進にどのように取り組むのか伺う。

《農林水産部長》

森林クレジット販売による収入は、森林施業を行うための貴重な財源となることから、積極的に推進していく必要がある。

今後も、申請に必要な森林データの収集・提供や制度の活用に向けた支援を充実することで、森林クレジットの増加につながるよう積極的に取組を進めていきたい。

また、クレジットの販売促進については、カーボンニュートラルの実現に向けて、J-クレジット制度に対する企業の関心が高まってきており、企業に対して森林由来のクレジット購入を促進する必要がある。

このため県では、企業に対して、森林クレジットを購入することが、カーボンオフセットに使えるだけでなく、森林整備促進、地球温暖化防止、水源涵養、国土保全など良好な地球環境維持に貢献することを積極的にPRする。

県としても、今後、J-クレジット制度を通じた森林林業の活性化に向けてしっかり取り組んでいく。

《西場信行の要望》   県行造林でJ-クレッジット制度の活用を

現在、大台町が町有林約1500haを対象として、クレジットを取得して、森林整備を進めており県内の先行モデルである。

今後、県において、森林クレジットを拡大していくためには、県自らが率先して県行造林で森林吸収クレジットに取組み、実践を通じてノウハウを学び、その経験に基づいた情報、知識を県内関係機関、事業所へ普及させていくことを要望する。

また、公有林のみならず民有林の森林所有者に対しても、森林クレジットへの理解と参加を広く呼びかけ。林業振興につなげてもらいたい。既に、宮川森林組合が、カーボンオフセットJ-VER制度を活用して取組をされている。

 

〇歴史文化政策と史跡斎宮跡

「文化・歴史立県」の取組について

《西場信行》

今議会に美し国ビジョンと元気プラン(案)が上程されている。歴史文化に関する政策が数多く盛り込まれていることを期待していたが、観光への活用以外ではあまり見当たらないように思う。ビジョン・プラン(案)における歴史文化に関する記述について県当局の見解を伺う。

約1年前に、一見知事が県政への志を掲げ、県民に訴えためざすべき三重の姿の中に「文化・歴史立県」政策があって、今後の展開を強く期待している。そこで、知事に「文化歴史立県」について、現在どうなっているのか、取組状況と今後の方針について伺いたい。 

また、本年3月の県議会において、斎王制度や史跡斎宮跡について、ビジョンやプランへの位置づけ記載を要望した。 ところが、この度のビジョン・プランには一行一句も斎宮跡は記載されていない。どうなっているのか、県の説明と今後の対応の仕方を聴きたい。 

《一見知事》    多くの人に斎宮の良さをわかっていただきたい

 ビジョンとプランをつくる際には、歴史文化について議論をしてきた。ビジョンでは、第2章と第3章で、「文化芸術を継承・発展・創造しようとすると取組を支援する」、「伝統文化をキーワードに各地の歴史文化資産や自然を生かし、さまざまな価値や快適な空間を提供していく」と記述している。

それは県として、文化や歴史に敬意を払い、さらに進展させて住民の理解を深めていきたいという思いである。

 斎宮につきましても、斎宮歴史博物館が非常にすばらしく、多くの方に斎宮の良さをわかっていただきたいと考えている。ビジョンとプランについては、具体的な部分、個別の施設について、記述しているのはほとんどない。これから行政展開方針の中で、どう対応をしていくか今議論している。

「文化歴史立県」については、なかなかわかりにくいため、わかりやすくするために、ビジョンの中では、「文化歴史の継承・発展・創造」と言葉を変えているが、心は同じである。

《環境生活部長》

 現在、「三重県文化振興条例(仮称)」について、議論しており、三重県文化審議会からは、「斎宮はじめ文化財の保全と活用が今後重要になってくる」との意見をいただいている。

今後、条例に基づく基本方針を策定することとしており、斎宮跡については、しっかり議論したうえで織り込んでいきたいと考えている。

 

〇農業研究のあり方と農業研究所について

《西場信行》  農業研究所のあり方と施設整備を今後どう取り組むのか

本県農業試験場の研究は、明治10年からの歴史の中で、必要な作物の導入や品種改良、栽培技術開発等に取り組んできた。特に成果を紹介するとすれば、茶畑の防霜ファン開発であり、次に温州ミカン超極早生新品種「みえ紀南1号」、他にも、イチゴ新品種、「かおり野」や水稲新品種「三重23号(結びの神)」など数多くの研究成果を出している。

 しかしながら、農業農村をとりまく環境は、今、大きく変わりつつある。新型コロナウィルスの感染拡大、ウクライナ侵攻問題、肥料・飼料高騰など輸入依存のリスク、気候変動、人口減少などが想像を超えるレベルで変化し、食料の自給率向上が新たな重要課題となってきており、今後の農業研究において同様である。

県農業研究所は、昭和45年に現在地嬉野に移転整備され、「県農業技術センター」としてスタートして以来51年が経過している。しかし、研究所本館の老朽化や雨漏りなど、経年劣化が進む施設設備について懸念を強くしている。

そこで、農業研究のあり方と研究所の本館改築など今後の整備に向けてどのように取り組むのか伺う。 

 

《農林水産部長》 老朽化が進む研究所の施設整備に取り組む

 県では、現在、令和8年度を目標とする「農林水産試験研究中期ビジョン」を策定しているところであり、持続可能な農業の実現に向けた研究開発に注力していきたい。

 今後はさらに、本県農業の動向や社会情勢の変化などを見据えながら、長期的な視点から試験研究の方向と合わせて、施設整備のあり方を検討していくことが必要と考えている。

 このため、施設整備のあり方を含めた長期の試験研究ビジョンの検討を2か年程度かけて行っていきたい。

早速、長期ビジョン策定までのロードマップを検討した上で、「有識者を交えた懇話会の設置」、「国や民間の農業関係の研究者や県内の農業者など関係者との意見交換」、「他県の試験研究機関の状況の聞き取り」などを進めていく。

 

県政トピックニュース

〇紀伊半島一周高速道路の早期実現に向けて、建設促進大会開催される

近畿自動車道紀勢線の建設促進大会が、10月25日に東京の全国都市会館にて開催され、出席してきました。

紀伊半島をぐるっと回る近畿自動車紀勢線は、建設工事が進み、現在では勢和多気インターから鬼ヶ城がある熊野大泊インターまで、約一時間程度で車の走行が可能となりました。

 今後さらに、新宮方面へのトンネル工事を進め、紀伊半島一周高速道路早期実現と共に、トンネル内において簡易なポールで仕切られた対面通行の危険性を回避するために、勢和多気インターからの4車線化工事を促進していきます。

 なお、当日は、鈴木英敬衆議院議員、山本佐知子参議院議員と会わせていただき、地元課題の東又谷復旧治山、野又越線林道開設、大杉谷ビジターセンター設置について陳情してきました。

 

〇伊勢湾の栄養塩類の不足による黒ノリの色落ち被害対策

 伊勢湾では最近、窒素・リンなどの栄養塩類が減少しており、黒ノリ養殖等に深刻な被害が続いている。特に昨年度は、1月から2月にかけて、雨が少なく大型植物プランクトンの発生により色落ち被害が大きく、生産量も減少した。

この問題については、平成29年に県漁連など関係生産団体から県に対して、要望書が提出されており、県において、農林水産、県土整備、環境生活の3部局連携取組みが進められてきました。

この度、10月には、環境省から第9次水質総量削減計画と新しい総量規制基準が発表され、従来の削減一辺倒から海域の状況に応じて「水環境管理」ができることとなりました。キレイだけでない豊かな海づくりに期待が高まります。

 県では、今後、流域下水処理場の栄養塩類を含む管理運転などの試行と効果検証を行い、海域への施肥投与などの検討を進めていきます。

 

以上、県政報告とさせていただきます。お読みいただきありがとうございました。

ご健康をお祈りいたします。

 

   令和412月吉日

                     三重県議会議員 西 場 信 行