年金問題の本質 | 古川元久オフィシャルブログ Powered by Ameba

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金融庁の金融審議会のワーキングチームがまとめた「高齢社会における資産形成・管理」という報告書が契機となって、年金問題が再燃しています。

「年金は100年安心」と言っていたのに、人生100年時代、「年金だけでは2000万円足らない」と言われれば、「話が違うじゃないか」と誰もが思います。

私は今回の報告書の内容は間違ってはいないと考えています。

間違っているのは2004年、小泉政権の下で行われた「100年安心」とうたった年金改革です。

この「100年安心」という言葉、多くの国民は主語は自分たち国民だと思っていました。

しかし実はこれ、主語が違ったのです。

あの改革で安心できるようになったのは、国民ではなく政府なのです。

なぜならばマクロ経済スライドを導入して、「入ってくる保険料と積立金の取崩しで支払える範囲内に年金給付をカットする」ことにした結果、財政的には年金制度は今後100年間破綻しないこととなったからです。

これにより、政府の立場からすれば「公的年金制度は破綻しない」と言うことができるようになりました。

安倍総理が今でも「『100年安心』は間違ってはいない」と言うのは、年金制度を政府の立場から見ているからです。

しかし、それが国民が求めている年金制度かと言えば、それは違います。

むしろ基礎年金部分も含めてマクロ経済スライドが発動されるため、年金額が少ない人ほど老後の不安は増すことになりました。

つまり政府のそろばん“勘定“としては、年金制度は安心できる制度になったけれども、年金に老後の安心を求める国民の“感情“からすれば、あの改革で老後の不安はますます高まったのです。

当時、私はこのことを何度も国会で質しました。

「求められる改革案は、政府のそろばん“勘定“さえ合えばいいというものではなく、国民“感情“として『これなら安心できる』というものでなければならない」と主張し、老後の所得を最低限保障する最低保障機能を高めた新しい年金制度を提案しました。

政権時代にこの新しい年金制度の制度設計を試みましたが、私たちの力不足で成案にまで至ることができませんでした。

これは私自身、深く反省しています。

しかしだからといって私は新しい年金制度をあきらめたわけではありません。

現行の年金制度が抱える問題はなんら解決していません。

このまま進んでいけば、近い将来、大きな問題が生じてきます。

いくら政府のそろばん勘定上は「100年安心」でも、国民感情的に安心できない、信頼できないような年金制度では、公的年金の役割を果たしているとは言えないのです。

この機会にもう一度、政府にとって不都合な事実もすべて明らかにした上で、国民が安心できる年金制度はどうあるべきかの国民的議論を行うべきです。