「犬の訓練」と聞くと、「厳しそう」「そこまでしなくても」「ペットの犬に必要あるの?」という反応が多いように思います。
ですが訓練は、ドッグトレーナーの立場、そしてこれまでの経験から、「絶対に必要」と考えます。
◯訓練によって成長する
訓練は「言うことを聞けるようにする」という面はもちろんあります。
しかしそれ以上に、「犬の精神的な成長」を後押しする効果も大きいのです。
訓練によって、犬は精神的に強くなります。
もし、訓練する機会を与えられなければ、犬はどうなるでしょうか。
いつでも与えられ、許され、気に食わなければ吠えて噛んでわがままを通す。
どんどん好き放題でわがままな振る舞いをするようになります。
そのように育ってしまった言うことを聞かない犬、甘やかされて育った犬ほど、少しの変化に対応できません。
我慢を知らないからです。
訓練によって、「これはしてはいけない」「いつでも好き勝手にできるわけではない」と、我慢すること・自分の欲求を自分でコントロールすることを学びます。
また、噛んだり吠えたりしなくても大丈夫だと気がつけば、犬の心にゆとりができます。
いつも不安でピリピリしていなくても、悠々と過ごせます。
訓練によって、ちょっとずつ精神的にオトナになっていく、といったところでしょうか。
◯災害時や飼い主の不在時にも
将来、何が起こるか私たちにはわかりません。
大きな地震、大寒波による停電、そのほか様々な災害の影響を受けることもあるでしょう。
飼い主自身が入院などのため、愛犬を預けなくてはならないこともありえます。
そのような「もしもの時の変化」を思うと、日頃からの訓練によって、犬を成長させておくことは、とても大事なことだと思うのです。
変化に耐えられなければ、ストレスがたまります。
このストレスに負け、体調を崩す犬も多くいます。
必要な訓練をせず、ひたすら可愛がり、なんでも好きに与え、わがまま放題に育つと、本当に「打たれ弱く」なります。
災害時、避難所や車中で過ごすことになれば、環境は変わります。
パニックでケガをする犬、不安でかわいそうなくらい吠え続ける犬。
誰かに預けたとき、不安で落ち着かない犬。食欲が落ちる犬。
このような非常時の犬の不安やパニックはもちろん、訓練された犬の落ち着きも見てきました。
「もしもの時」の不安やストレスを少しでも軽減させる方法が、訓練によって犬を成長させることなんです。
◯幸せに過ごす犬が増えるように
私は、不幸な犬を減らせるように、1匹でも多く犬が犬らしく幸せに生きられるように。そう強く思っています。
だからこそ、しつけや訓練、飼い主の影響について繰り返し伝えています。
飼っているのは人間だからです。
飼い主こそが愛犬の将来を守ることができます。
いざというときの反応、
不安やストレスへの耐性などは
訓練の積み重ねで変わります。
いざというときに、吠える・噛むという方法しか知らない犬。
飼い主の姿が見えなくなっただけで不安でストレスをかかえてしまう犬。
犬は「命あるもの」という自覚がない飼い主のもとで育てられた犬。
そのような犬が辛く、悲しい道をたどるのを何度も見ています。
犬にとって、飼い主の影響は非常に大きなものです。
訓練は、時間がかかってもいいんです。
ゆっくり成長していけばいいのです。
犬が犬らしく、幸せに過ごせるよう、犬の成長を促す。
そして、犬と一緒に私たち人間も、心や考え方を成長させていけたらいいと思います。