遠野探訪5 遠野物語に優しくない遠野
遠野探訪二日目。
この日から宿で出会った
県内在住の女性が、我々のツアーに参加。
総勢十名の大行軍となったが、
この女性、なかなか面白い。いろんな意味で。
この日最初に訪れたのは<松川姫>の伝説が残る、
遠野小学校である。
<松川姫伝説>
元禄の頃、この地に松川姫という美しい姫君があった。
或る頃から咳がでる病気にかかり、とかくふさぎがちであった。
ある日のこと、「松崎の沼を見に行きたい」と言われ、
駕籠に乗ってこの沼の岸に来たのだが・・・
一瞬薄ら笑いを浮かべたかと思うと、
そのまま水の中に没してしまった。
それからというもの、沼の傍らにある大石の上に時々女が現れ、
沼の中からは機を織る音が聞えるのだという。
・・・何もなかった。
沼も何も。
何でも学校の敷地内の“何処かに”
姫の碑があるというのだが、ぜんぜん見つからない。
ってか、いくら休校日とはいえ十人ものよそ者が
小学校の敷地内をうろつくのもどうかと。
次に訪れたのが<化け栗>だ。
<化け栗伝説>
遠野町字蓮華の九頭竜権現の境内横に、
化け栗・枕栗と呼ばれる栗の老木がある。
九頭龍権現の正体は実はこの栗の木であり、
昔は村の女を人身御供に取った。
女を食う折、枕にして頭を乗せたのが枕栗であるという。
・・・ちょっとグロ入ってる。
ここの神さんはドSだ。
それで必死に探したんだ。十人で。
・・・見つからない。ぜんぜん。
半ば諦め掛けていた時、中村が気付いた。
宿から手渡された写真の向きを、
自分たちの現在の立ち居地にあてがってみる。
ん?・・・何かある!
切り株。
切られてる。
しかもかなりばっさりと。
そこには注連縄も碑もなく、
ただただ切り株。
なんだよこの街っ!!
単なる観光名所じゃねえんだぞ!
列記とした土地の民話として残されていたものを、
いとも簡単に切るのか!?
う~ん・・・なんだか釈然としないなぁ。
遠野物語は一級品の町興しアイテムであり、
事実それらを売りにしたイベントやお祭りも開催されている。
なのに何故か遠野物語に優しくない。
なんでだろ??
前日訪れた早池峰神社でも感じた事なのだが、
この地には二つの思いがあるように感じる・
・・・のは気のせいだろうか?