【あらすじ】

テヘランの牛乳工場に勤めるミナ(マリヤム・モガッダム)は、夫ババクが殺人罪で逮捕され、処刑されたシングルマザー。悲しみと失望感に苛まれながらも、彼女は聴覚障害で口のきけない愛娘ビタを心の拠りどころに、内職をしながら生活していた。

そんな1年後のある日、裁判所に呼び出されたミナは、夫が無実だったと告げられショックを受ける。裁判所に通い、死刑宣告をした担当判事に謝罪を求める中、ミナのところへ夫の友人だったという男性レザ(アリレザ・サニ・ファル)が、昔、夫から金を借りたと訪ねてくる。

親切な彼に少しずつ心を開き、やがて親密な関係を築いていくミナだったが、ある出来事で、彼の本当の正体を知ることに。その時の彼女の対応は…。

 

【見どころ】

イランの厳格な法制度の下、一般庶民が抱える実際の困難を描いたストーリー。

主演&監督を、女性であるマリヤム・モガッダム自身が務めたところも、この作品で伝えたいところが明確化され必見。

特に、要所要所で、女性ならでは!の行動パターンが見受けられ、そのシーンにその後の彼女の行動への強い決意を感じる。(これ以上はネタバレになるので書けないが…汗)

ラストシーンは注目!!映画のタイトルや彼女の職業がここに来て生きてくるシーン。

全体として、サスペンスと評している解説が多いが、個人的には、サスペンス?と思うところが多々あるので、そこは個々で判断して頂きたい。

 

【評価】★★★☆☆星3.9

既述の通り、マリヤム・モガッダムが監督(他1名)を務め、かつ脚本・主演も兼任しており、2021年・第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門にも出品された。

本国イランでは上映3回のみ、という程、政治的な意味合いの強い内容ではあるが、それに屈することなく、可能なところで上映し続けていることに、主演&監督のこの作品にかける情熱や、今イランで起こっている情勢を世に知らしめる、という強いアピールを感じる。
(イランは死刑執行世界2位とか)

実際、海外での評価は上々の様子なるも、全体として暗い雰囲気に4には届かず。(まぁテーマがテーマなだけに仕方ない部分もあるが、もう少し何とかできないものか?と思うところもあり…)