深夜に警察からの電話!補導された生徒とモンスターペアレント?の母親をお願いします? | 元中学校教師が教える学校のウラ話

元中学校教師が教える学校のウラ話

公立の中学校で25年間、勤務していた私が「クラス替えの仕方」「修学旅行」「部活」「未納」「モンスターペアレント」「学級崩壊」「いじめ」「不登校」「人事異動」など、今まで話すことができなかった、学校のウラ話をお伝えしていきます。

補導した生徒と母親を家まで送迎!



1.夜の11時に警察から電話が!
2.警察署には私の学校の女子生徒が!
3.愛情を求める女の子!
4.口の悪い体育の先生!
5.いつも声をかけてもらって喜ぶ女子生徒
6.警察からの電話呼び出し!
7.警察署から家に帰る手段がない!
8.女子生徒とその母親を家まで送迎!
9.謝る生徒といびきをかく母親
10.大学を目指し高校へ進学した生徒



1.夜の11時に警察から電話が!

今から5年ほど前の話です。

自宅で風呂に入り、家族と一緒にTVを見ていた夜の11時頃。

私の携帯に電話がかかってきました。

電話をかけてきたのは、近くにある警察署の刑事?さんでした。

この刑事さんに始めて会ったのは生徒指導の研修です。

その刑事さんは警察署の代表として、教員の研修に参加していたのです。

休憩時間にその刑事さんと話をしていると、その刑事さんが私の高校の先輩であることが分かりました。

私が高校1年生の時に、3年生として同じ学校に通っていたのです。

そんなこともあり、私はその刑事さんと連絡先を交換していたのです。

電話の向こうで、その刑事さんがいいます。

「深夜補導で女の子を見つけたんだけど、名前が分からないんだよね!」
「学校を聞いたら、A中(私の勤務校)だって言うんだよ!」
「悪いんだけど、署に来てくれない?」

先輩からの依頼です。無下に断るわけにも行かなかったので、私は警察署までは車を走らせました。


2.警察署には私の学校の女子生徒が!

警察署に行くと、見たことのある女の子がいます。

1つ上の学年の女の子です。

そのクラスの授業を担当していたのので、名前も分かります。

『奈美(仮名)だ!』

すると、私をの方を向いた奈美はこう言います。

「やっぱり先生だ!」
「この刑事さんの話を聞いて、先生だと思ったんだよね!」

私は、彼女にこう言います。

「お前、ふざけんなよ~!」
「先生を呼ぶんじゃなくて、お母さんに迎えに来てもらえよ!」

すると彼女はこう言います。

「だって、あの人と話したくないんだもん!」
「今、家にいるかも分からないし!」
「いたとしても、どうせ怒られて終わりだし!」


3.愛情を求める女の子!

奈美は、生徒指導の会議でよく名前がでてくる子です。

お母さんと2人暮らしですが、お母さんとの仲はよくありません。

その理由は、お母さんが彼氏をポンポン返るからです。

また、お母さんは奈美を家において、彼氏の家に行ってしまうこともしばしば。

そのため、奈美は夜に家で1人になってしまい、夜な夜な家を出ては繁華街に遊びに行ってしまっていたようです。

ただ、学校を休むことはほとんどありません。その理由を奈美はこう言っていました。

「先生たちが声をかけてくれるから!」


4.口の悪い体育の先生!

当時50代後半の体育の先生がいました。

いつもジャージで、色つきメガネをかけた、昔ながらの体育の先生です。

口が悪い先生でも有名でした。

女子生徒に向かって、「そこのブス!」などと言ったりすることで、保護者からの苦情も多々ある先生です。

ただ、その先生は悪意でそのような言葉を言っているわけではありません。

その先生なりのコミュニケーション?でもあるのです。

実際、口は悪いのですが、生徒のことを真剣に考え、行動する先生でもありました。


5.いつも声をかけてもらって喜ぶ女子生徒

そんな先生ですので、奈美のことも気にかけて、いつも声をかけていました。

先「おいブス!」
先「ちゃんと学校に来てるんだな!」
先「エラいぞ!」

奈「ブスって誰?」

先「そこにいるだろ!(奈美を指さし)」

奈「ココにはかわいい女の子しかいないよ!」

先「どこに?」
先「目の前にはブスしかいないぞ?」

奈「最悪!」
奈「教育委員会に訴えてやる!(笑)」

先「それは辞めてくれ!」
先「家のローンが払えなくなる!」

奈「しょうがないな~!許してあげるよ!」

始めてこのような会話を聞いたときは、とても驚きました。

ただ、2人の楽しそうな表情を見て、私はこのように思いました。

『この先生は奈美を心配してるんだな!』
『奈美は、声をかけてもらうことを喜んでいるんだ!』


6.警察からの電話呼び出し!

警察からの電話呼び出しがあってから、1ヶ月たった頃。

夜の11時頃に、また、警察からの呼び出しの電話がかかってきました。

奈美のことは気にかけていた私ですが、正直、夜中の呼び出しはされたくありません。

ただ、高校の先輩からの電話ですので、断るわけにもいかず・・・・。

私は警察署へ向かいます。

すると前回とは違い、警察署には奈美と奈美のお母さん(奈美ママ)がいたのです。


7.警察署から家に帰る手段がない!

今回は、このようないきさつがあったようです。

①深夜補導で奈美を見つけ警察署へつれてくる。
②名前は分かっているので奈美ママを呼び出し。
③奈美ママは彼氏の車で警察署へ来る。
④彼氏は警察署から仕事へ行く(トラック運転手)。
⑤警察から、奈美ママ、奈美への指導が入る。
⑥警察が帰宅を促す。
⑦奈美ママが警察に「パトカーで家まで送ってほしい!」と言う。
⑧警察は「タクシーなどで家に帰るように!」と伝える。
⑨「お金を持っていないのでタクシーで帰れない!」と奈美ママが言う。
⑩警察が「知り合いに迎えに来てもらうように!」と伝える。
⑪「こんな夜中に迎えを頼むなんて非常識な事はできない!」と奈美ママが逆ギレ。
⑫困った警察が奈美の知り合い?の私を呼ぶ。


8.女子生徒とその母親を家まで送迎!

警察署に到着した私に、先輩がこう言います。

「悪いんだけど、家まで送っていってあげて!」
「歩いて帰るには辛い距離だし。(歩くと1時間30分~2時間)」
「お母さんは酔っ払ってるから、警察署から追い出すわけにはいかないし!」

奈美は私にこのように言います。

「先生!」
「本当に、ごめんなさい!」
「私が補導で捕まっちぇたのが悪いの!」

『いやいや、捕まったのが悪いんじゃなくて、夜に出歩くのが悪いから!』

こう突っ込みたくなりましたが、そこは我慢をします。

先輩からの頼みと、奈美の申し訳なさそう表情から、私は奈美と奈美ママを家まで送迎することを承諾しました。


9.謝る生徒といびきをかく母親

「先生!」
「本当にごめんなさい!」
「でも、来てくれてありがとう!」

帰りの車の中で、奈美は何度も何度も謝ります。

ただ、奈美ママからは謝罪や感謝の言葉はありません。

かなり酔っている状態だったこともあったのでしょう。警察署を出発してから数分で、波間ママはいびきをかいて寝始めてしまいました。

『30そこそこの(奈美を17才か18才で産んでいる)のお前が寝て、40才のオレが運転か!』
『お前、何様だ!』
『っていうか、オレ、担任じゃないし!』

心の狭い私は、とてもイライラしました。

もちろん、全体の奉仕者である公務員であり、教育者でもある私は、こう思って奈美ママを許しました。

『酔いが覚めれば、お礼を言いに来るだろう!』


10.大学を目指し高校へ進学した生徒

奈美は私に対して、とても感謝をしていました。

そのおかげか?それまで以上に、私の授業に力を入れるようになりました。

テスト前には職員室に問題集を持ってきて、分からない問題を質問するようにもなりました。

中学3年まで、奈美の教科担任をしましたが、最初は2だった成績が、中学3年生の最後には4にまであがりました。

テストも20点程度だった点数が、最終的には常に80点以上をとれるまでになりました。

他の教科は2や3だったのですが、少し勉強に自信をもった奈美は、大学進学を希望し、普通科高校に進学することを決めました。

奈美が卒業するまでに、奈美ママと数回ほど会いました。

もちろん、私への謝罪や感謝の言葉や態度は1度もありませんでした。

 


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