日米安保条約の枠がなくなろうとしているいま、日本が必要としているの
は、これまでアメリカに頼ってきたもの、つまり日本の国際的な立場や利
益を守る役目をいかにして自分たちの手に取り戻すかを考え、実施できる
指導者である。

これから日本は否応なく、国際社会の現実に直面する。まず自分の足で立
ち、自分の責任で行動して、自分の利益を自らで守るために強くなつ必要
があれば、国民は犠牲を払わなければならない。

国家もまた同じである。国家が国家利益を守るために強くなる必要があれ
ば、国民は犠牲を払わなければならない。指導者はその犠牲を国民に求め
なければならない。

イギリスのチャーチル首相は断固としてそれを実行した強い政治家だった。
だがその重圧から逃れるために、チャーチル首相は断固としてウィスキー
を手放したことがなかったというのだが、強い国を作るためには国民の犠
牲を必要とする。

日本の指導者が強く美しい国家の建設をめざすならば、まず汚職政治家を
すべて追放することである。

少なくとも公の仕事で金銭を稼いだり、私利私欲をむさぼる政治家を追放
しないことには国民に犠牲を要求できない。


軍事力を強化し国の利益を守ることには、国民の犠牲がともなう。
そうしたときに指導者が汚職まみれで信頼できないとあれば、国民の誰
もが犠牲になろうなどとは考えない。

これまで日本の自民党が存在してきた理由はただ一つ、国を守るために
国民に犠牲を強いる事がなかったからである。国民に犠牲を強いる必要
がない自民党と日本の政治家は、政治に金をからませて国を動かしつづ
けてきた。

日本では地価が高い東京に政治家のための特別な宿舎を建てたが、アメ
リカでは考えられないことだ。アメリカでも地方の議員たたいは少なく
とも週三日ないし四日はワシントンで暮らさなければならない。
多くの場合家族、子供たちは地元で生活することになり、議員本人は
自分でワシントンに暮らす場所を探さなければならないが、その費用は
自分で負担する。

ワシントンにやってくる若い政治家たちは、安く寝泊りができる場所を
探すのにエネルギーを費やしている。

日本の政治家たちが行っている姑息な政治資金の使い方などは、アメリ
カでは明らかに犯罪行為である。
自民党を中心とする日本の古い政治体制がこれまで生き長らえてきたの
は、日本の政治が経済だけに対処し、国の安全を考えなくてよかったか
らだ。

アメリカでは多くの場合、政治の仕事をする人は、プライベートなビジ
ネスでの成功を基盤に新しい仕事としてチャレンジする事が多い。

この政治家たちは、人々の協力を得て政治家として出馬する。大勢の支
持者たちが送ってくれる資金が基本になる。
たとえ自分の資金で選挙運動をしたとしても、支持者たちから資金を集
める能力を示さなくてはならない。

一言で言えば、アメリカの政治家は公の仕事をするにあたって金儲けを
しようとは思わない。大きな家を建てたりはしないし、国に議員宿舎を
作らせることもしない。

国民の代表として政治を行うのが政治家だと考えているからである。



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