今日は料理教室に異動になって、初の一大イベントで早朝から大忙しの一日だった。
授業で使っているプロ仕様の鍋やフライパン、その他ケーキ作りに使う生クリーム絞りの専用袋やパンの焼型といった小物類やカクテルの授業で使うシェイカーなど、様々なクッキングウェアのバーゲンセールである。
普段は教室で販売しているのだが、今日は年二回だけの特別なフェアなので、結婚披露宴に使われる最上階の景色の素晴らしい豪華なバンケットルームを会場として使うことになった。
我々料理教室のほかにも、お中元用のお菓子やケーキのコーナーやブティックなどの販売コーナーが設けられ、大きなパーティー会場は大変賑やかだった。
料理教室から出展する商品の数は大きな段ボール箱にたくさんあるので、本当なら昨日から最上階の会場まで運んで準備する予定だったのだが、会場が急遽決まった宴会で使えなくなってしまい、当日の今朝8時前に出勤して運ぶ作業となった。
エレベーターで何往復もして慌ただしく運び終え、10時開始とともにフェアがスタートした。
素晴らしいお天気で、眺めのよいバンケットルームにはだんだんとお客さまが集まってきた。
今日はたくさんの買い物をしてもらいたいので、お茶とお菓子の無料サービスまである。
ちらほらと顔見知りの生徒さんから声をかけられ、前から欲しがっていらしたフランスの有名なブランド製品のルクルーゼの鍋をどんと買ってくださった。
お昼を過ぎる頃にはお客さまの入店がピークになり、大忙しで会計をしているとあっという間に6時のフェア終了を迎えた。
今回は、私が選んで仕入れた新商品の柳宗理というデザイナーズブランドのトングが、とてもよく売れて嬉しかった。
朝一で運びこんだ商品をまた教室に下ろし終え、どっと疲れが押し寄せため息をついた。
すると、なんと新人の私が一番大切な会計を任せられるという驚くべき展開が待っていたのだ。
疲れた体と頭で計算がなかなか合わず、気づけば時計は8時を回っていた。フェアの大変さを新人に身を持って体験させるため、はじめから最後まで全て任せるというのが、古い体質の料理教室の仕来たりなのだろうか。
事務長はじめ、みんないつの間にか帰ってしまい、指導係りの先輩一人が残ってくれていた。
一言もなく帰るなんて、みんな冷たいなぁ…。なんとも言えない寂しい気分で電卓とお金を計算した。誰もが通る道だから、と先輩が缶コーヒーをごちそうしてくれた。じゃ、お先、と先輩も帰ってしまい、初めてひとりぼっちの料理教室のラストになってしまった。
もし明日、お金か合わなかったらみんなの作業が全てやり直しになっちゃうから、大変だからね、といつものように先輩が言って帰っていった。
非常に悔しい思いで、文句を言われたくないから念のために再度計算して帰宅した。
時計は早くも9時半になってしまった。いつも裏口として通らせてもらうレストランも、日曜日の今日はさすがに入り口か締まっていたので、二番目の裏口のカフェテラスを通らせてもらうと、売店のキャプテンが同じく今日の売上の計算をしていた。
キャプテンと同じ責任ある締めの作業をしたんだ…。
なんだか不思議な気分で、いつものように守衛さんに挨拶をして会社を出た。


