2月定例府議会教育常任委員会が3月13日開かれましたが、高校入試の内申書に人間性の評価を加えた総合評価制度を導入すべきだと主張しました。
また、震災や津波対策が強く叫ばれていますが、学校の緊急災害対策に疎漏がないように、緻密な対策を求めました。
高校入学選抜に人間性の評価を
Q.酒井議員
小中学校でいかに人間性を磨いても、高校入試では、点数が中心。小中学校で学力と人間形成の二つの課題に対応してもらうためには、そのことを評価する仕組みが必要。入試改革がチャレンジテストなどテクニック改革に終わっている。もっと本質の議論が必要であると思うが?
A.教育委員会
入学選抜資料としての学力検査、内申書について「どのような子どもを育てるのか」の視点に立ち、それぞれの学校の求める生徒像に沿った柔軟な選抜方法の構築が必要。学力検査の実施教科、前期・後期のあり方とあわせ検討していく。
昨年より、高等学校の入学選抜にあたっての内申書の記載について、相対評価から絶対評価への切り替えが提議され、絶対基準を決めるための統一テストを府下の中学校で一斉に実施する方向で検討されています。
学校選択や競争ということが声高に叫ばれ、学力の伸長が強く求められ、それに即した高校入試制度をつくろうとしていますが、実は高等学校の入試制度は、小中学校の学校現場での教育そのものを決めるという性格を持っています。
言うまでもなく、小中学校の教育は学力の向上と豊かな人間性を育むことにありますが、残念ながら今の入試制度ではどんなに人間形成に励んでもそれは評価されない仕組みになっています。これではいきおい、学校現場が点数主義に陥る危険があります。
社会では、虐待やいじめ、びっくりするような事件が毎日報道されていますし、日本社会全体が都市化、マンション化で地域社会も充分機能しなくなってきています。
国際競争力のある人材を育てることも必要ですが、社会をしっかり支える人間性豊かな人材を育てるのも大阪の教育の大きな役割です。そのような観点からもっと人間性を育てる入試制度を考案すべきではないかと思っています。
学校の緊急災害対策について
Q.酒井議員
災害時、否応なく学校は避難場所となる。東北大震災でも、避難場所の指定があるかないかではなく、目の前の学校へ避難している。災害が起こったとき、まず避難を考える場所は学校である。避難施設の指定を受けているからとか、受けてないからという次元でなく、本来そういうものであると認識して学校の災害対策をすべきである。
災害時の備蓄物資も学校の生徒に対するものや、市町村の避難場所の指定によるもの、あるいは帰宅困難者に対するものなど、いろんなケースがあるが、ばらばらの対応となっている。私学では備蓄をしているところもあるが、公立では統一的に対応していない。
もっと危機管理や関係団体が連携して、緻密な対策を講ずるべきである。
A.私学課&教育委員会
大阪府の総合的な帰宅困難者対策の考え方や、府庁全体の取り組みを踏まえ、備蓄物資の整備や市町村と連携した地域社会の避難所としての対応などについて、市町村や学校、私学団体や関係部局と連携を密にしつつ、調整、検討する。
平成26年3月5日の2月定例府議会本会議で職員給与減額措置の縮減と、私立学校の支援措置の不公平、運輸団体への補助金の取り扱いについての不合理、府県の行政区域を越えての経済対策の重要性について指摘しました。
広域経済対策よりも府市の制度変更に固執する知事の政治手法に「地方政治は権力闘争の場ではない」と厳しく批判、本当に大阪や関西の再生を考えているのか、疑問を呈しました。
6年ぶりの府職員給与減額措置の縮減
昨年12月の府議会本会議において、わが会派の朝倉秀実議員は「大阪府では警察官3万人、教員6万人、府職員1万人の給与削減が6年間続き、警察官や小中高の教員の給与は全国最低となっている。厳しい仕事内容もあって、優秀な人材は他府県に流れ、大阪で先生をやりたいという若い人たちが少なくなり、教科によれば先生がいないという危機的な現象がおこっている」と指摘しました。
府民へのサービスの多くは警察官や教員というマンパワーによって提供されており、財政だけで見ていては、健全な府政にはなりません。
こうした質疑を受け、ようやくこのたび、6年にわたる給与減額が縮減され、給与減額前の水準にもどすことになりました。
ところが、これほどの回復措置が図られながら、不思議なことに6年間協力してくれた府職員に対し、知事からは何らのメッセージもありませんでした。民間の会社では考えられないことです。
仕事に励んでもらうときは厳しく求め、感謝する時はしっかり感謝するというのがリーダーの心得だと思いますが、一体なぜだかよくわかりません。
官より民に厳しい私立学校への運営補助金
Q. 酒井議員
私立学校への運営補助金について、削減率を従来より緩和したのは一定評価するが、府職員の給与減額の縮減にくらべ縮減率が少なく、私立学校の教員には、官より厳しい措置が続くことになっている。
また、私立小中学校では引き続き補助金の大幅削減を続けることになるが、26年度からの公立学校での学校選択性の導入で、削減根拠がなくなっているではないか。
A. 府民文化部長
私立小中学校を取り巻く状況をも踏まえ、私立高校生の授業料支援など、私学助成を全般的に検討し、今夏には府の考え方を示す考えだ。
運輸団体への補助金カットは不合理
Q.酒井議員
運輸事業振興助成補助金制度は国や都道府県、各府県トラック協会などの運輸団体が役割を分担し、交通安全や環境保護を進めるための制度である。
事実、この制度等により大阪府では、NO2(二酸化窒素)やSPM(浮遊粒子状物質)などの有害物質を規制する大気環境基準が達成され、府民が健康な生活がおくれるよう守られている。
このうち、中央出損金事業は、事業の性格上、運輸車両は一県のエリアだけでなく、全国を走り回っており、全国的な統一対策をするため、やむを得ず中央団体がいったん各府県からの補助金(出損金)を集約し、全国的に事業実施しているものである。
ところが、大阪府が補助金を負担しないため、大阪府民や事業者が利益をこうむっている大阪府内の事業も、他府県の補助金や府トラック協会という民間団体の自己資金で、ようやく実行されているのが実情である。
本来、全国の都道府県がそれぞれの責任を果たすことによって成り立っているこの制度で、大阪府だけが責任を果たさず、補助金を計上しないというのは、あまりにも身勝手、大阪のエゴである。
A.知 事
補助金の元となる軽油引取税は府の一般財源であり、使い道は府が決める。「出損金」として、中央団体を通じて事業を進めるやり方では、補助しない。
本来であれば、大阪府が負担すべきサービスを民間に肩代わりして実行してもらっているのがこの運輸事業振興助成補助金制度です。
国が法律を作り、国や都道府県、自動車メーカーや中央と都道府県のトラック協会が役割を分担し、協力しながら大気環境や交通安全を守る取り組みが全国的な仕組みで進められています。分権という自らの主張を守るためだけで、大阪府だけが本来負担すべき補助金を負担しないということにより、他府県や民間団体に大変な迷惑をかけています。
本当の経済対策は大阪の枠を超えた認識から
Q.酒井議員
グローバル経済の時代、大阪が世界レベルの産業振興や経済成長を目指すならば、府県や市域という行政区域を超えた関西全体での連携が必須。知事は経済対策について大阪の枠の中で考えすぎているのではないか。
A. 知 事
関西広域連合で連携事業に取り組んでいるが、意見の違いをまとめきれない場合も
ある。まずは大阪から府市の広域機能を一元化する制度を実現すべきだと考えている。
府市の制度変更と経済対策はまったく別の問題。大阪の次世代産業の中核は電池産業やバイオ産業だといっているが、パナソニック社は米自動車メーカーと共同で自動車用電池の工場を米国に建設することを決定。実際には、電池単体だけで競争できる時代でなくなっている。
もっと産業を複合的にとらえ、何をすべきかを議論し、関西全体で広域経済対策を進めることが必要です。
地方政治は「権力闘争の場ではない」
「政治は権力闘争」というような意識が、府と民間、府と大阪市、府と他府県のそれぞれの関係に混乱を生じさせている。地方政治は決して権力闘争の場ではありません。
政治的アピールのためではなく、大阪や関西の再生という本来の目的のために今やるべきことにしっかり取り組むべきです。
大阪再生にはもっと緻密な産業経済対策が急務
~特区だけで本当に大阪経済がよくなるか~
2013年3月15日 商工労働委員会で質問する酒井議員
平成24年度補正予算案と平成25年度当初予算案を審議する平成25年2月定例府議会が、2月22日から3月22日まで会期30日間の日程で開かれました。
今議会は、国の緊急経済対策を受けての景気回復への大きな期待が懸かった大変大事な議会となりました。
国民の大きな期待のもと昨年暮れ誕生した安倍晋三内閣は金融・財政・規制緩和の3本の矢を総動員し、日本経済の再生に全力で取り組むことを表明しました。その3本の矢のひとつが国の平成24年度補正予算と平成25年度予算に計上した緊急経済対策の早期実施であります。
この緊急経済対策予算は主として府県を通じて行う災害対策などの土木関係の予算と、国が大部分直接執行する産業経済対策予算などがありますが、大阪府でも、本当にこの狙い通り景気対策の効果が図られるよう予算化が行われているのか本会議での代表質問や商工労働常任委員会等での質疑を行い確認しました。
さて、松井知事や橋下市長はかねてから大阪の経済状況の悪いのは、大阪の行政制度が大阪府と大阪市の二つの組織があるためであり、組織をひとつにし、大阪都にすれば、政策が一元化され、大阪の競争力を回復することができる、このため大阪都構想を進めるのだと主張してきました。
このことに対し、私たち自民党府会議員団は、大阪の二重行政をなくし政策の一元化をするには、別に大阪都にしなくても、関西広域連合と同じように大阪広域戦略協議会のような仕組みをつくれば充分対応できるし、また、そのほうが実現が早いこと、そして、本当に大阪経済を再生させるには、制度の問題ではなく、むしろ、今すぐにも出来る経済振興策にこそ全力をあげるほうが先決だと主張してきました。
前回の委員会でもこうした観点から、大阪の経済浮揚のためには、現在やっているような大阪という狭い範囲での対策におわるのではなく、関西全体をにらんだ経済対策を進めることが必要なことを資料を示し指摘しましたが、残念ながらその後、府でどんな検討をされているか何も伝わってきていません。
こうした中、昨年秋、大阪にも国際戦略総合特区が設定されましたが、これに伴い、別表1の通り、企業誘致の対策地域を従前の区域より大きく狭め、特区以外の産業集積促進地域では、誘致税制対象企業を大企業を外し、中小企業にのみ特化するという条例が今議会に提案されました。
松井知事の経済対策では特区を作れば大阪がよくなるかのように言いますが、実際に大阪経済を支えているのは、むしろ従来からの繊維や化学、医薬品などの基礎素材型の産業が(例えば衣料品を中心にした繊維が今や飛行機や自動車のボデイをつくる炭素繊維を作り出したように)最先端の技術革新に努めてきた結果であります。
もちろん、これからの新産業を創り出すための特区の必要性については私たちも早くから主張してきたものですが、しかし同時に、40兆円に届く大阪の府民総生産額を維持しようとすれば、経済対策を単に特区内や特定業種に絞り込んでしまうのではなく、もっと幅広く産業振興策をはかることが必要だと私たちは考えており、そのための質疑を行いました。
また、産業経済の対策は府県でも行っていますが、別表2に記載の通り、実際には国の予算で直接企業や団体に対して補助金等を使って支援策をとることのほうが圧倒的に大きく、そういう意味では、大阪での産業振興を進めようとすれば、国との連携が必須の課題であります。
ところが今の大阪府政では、大阪府・市という行政制度の変更には大変な力を入れますが、大阪経済を本当によくするために欠くことのできない国との産業経済対策の連携に果たしてどれだけ力が注がれているのか、全く心もとない限りであり、商店街の振興対策ひとつとっても、市町村任せ、国任せであり、商店街の省エネ対策すら国頼みになっています。
こうした問題点について、福島区選出酒井 豊議員が松井知事ならびに商工労働部理事者に質問をいたしました。
特区外の企業誘致はどうするのか
【酒井議員】特区外の企業立地誘導策を中小企業に特化するとのことだが、立地した企業の調査では、立地誘導策が立地決定をした主たる要件であったと言っており、また、対象地域の市町村では、今までどおり大企業も対象の誘導策をとっている。ところが、府では大企業は国の施策でやってもらうのだと言って大阪府だけが大企業を対策から外してしまうが、これで企業誘致ができるのか?
【商工労働部】税収構造から考えると大企業に対する税財政措置は国の役割と考えている。
【松井知事】国の支援策が大企業の設備投資に厚みを増しており、府の支援策を中小企業の成長促進に集中した。
【酒井議員】大企業は外し、その分中小企業に特化して中小企業に厚みを増すというが、中小企業の対策は従来どおりしかしてないではないか。
国頼みの商店街対策
【酒井議員】このたびの国の緊急経済対策で省エネや防犯対策に多額の補助が計上されるということで、府下の商店街でも非常な期待をしているようであるが、府では商店街対策は市町村の仕事、府の仕事は広域的に支援することと言いながら、環境農林部の省エネ対策のLED補助制度は23年度で打ち切り、知事重点事業の商工労働部の24年度の省エネ設備導入貸付金の予算9億円は補正予算で全額減額され、来年度は1億8千万円に縮減されている。いずれの事業も国からの補助事業をただそのまま計上しているだけなのでこんなことになっているのだが、広域行政体としての大阪府が一体どうしようとしているのか全くわからない。
【商工労働部】省庁ごとに立案される事業の影響により、自治体における政策の連続性を欠くことが生じた。大阪全体を俯瞰して国の政策を落とし込み施策展開できるよう広域行政の役割を果たしてまいりたい。
【松井知事】まさに政策遂行の形が中央集権型になってしまっている。広域を担う仕事を広域行政体に任してもらえるようにこの国の統治機構システムを変えていきたい。
【酒井議員】それは違う。東京都は東京都として自前でやることをやっている。都合が悪くなったら国だ、制度だと言う前に、せめて国から来るものぐらい広域行政体として調整するべきではないか。
産業政策の国との連携について
【酒井議員】国の産業政策の大阪での展開についてどう把握しているか?
【商工労働部】経済産業省の補助金のほぼ全てが地方自治体を経由せず、直接民間に交付されるので、大阪にいくら投下されたか把握できてない。
【酒井議員】国の緊急経済対策の地域関連分の予算が大阪にどれだけ投下されるか推計すれば、大阪は産業面だけで見れば10%ぐらいの比率が想定され、推計で900億円もの予算が大阪に投下されることになる。(別表2を参照)一方、25年度の大阪府の商工の主な事業予算は金融対策や労働対策を除けばわずか60億円なのが実体。
制度論の前に、国との産業政策の連携強化を図る仕組みをつくることがまず先決だと思うが?(大阪の産業振興は大阪で展開されている国の対策を抜きには図れない)
【商工労働部】国との情報共有に基づく政策形成と推進への関与というレベルには不十分と考えている。指摘を踏まえ、経済産業局等との情報共有を初め、連携の強化を図りたい。