また出る過去問分析【復刻版】社会的養護(自立援助ホーム) | 保育士試験:社会福祉・教育原理等攻略講座

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<また出る過去問分析【復刻版】社会的養護(自立援助ホーム)>

このブログの過去問分析の記事のうち、少し古くて埋もれてしまっているものの、内容的にまた出題されそうな過去問分析の記事を、(必要に応じてアップデートしながら)「復刻版」として掲載しております。
今回は、平成29年8月3日の「社会的養護」の過去問分析の記事の「復刻版」です。


【平成29年(前期)社会的養護 問5】

次の文は、自立援助ホームに関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 自立援助ホームは、「児童自立生活援助事業」として第1種社会福祉事業に位置付けられる。

B 自立援助ホームへの入所は児童相談所の措置により実施されるため、本児の費用負担はない。

C 自立を支援する第一は「枠のある生活」とも言うべき施設の規則を遵守させ、次に心の安心感と生活の安定につながる環境の保障を位置づけている。

D 自立援助ホームのスタッフは、利用者と一緒に仕事を探し、採用されるように履歴書の書き方、面接の練習などの支援も行い、採用後は就労を継続できるように支援することが重要である。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × × ×
4 × ○ ○ ○
5 × × × ○


【解答・解説】

A 不適切
自立援助ホームは、「児童自立生活援助事業」として第2種社会福祉事業に位置付けられます(社会福祉法2条3項2号)。

第1種社会福祉事業は、公共性が高く、サービス利用者に重大な影響を与え得るため、強い規制・監督が必要と考えられる事業であり、第2種社会福祉事業は、社会福祉の増進に役立つ事業であるが、第1種社会福祉事業ほど強い規制・監督は必要ないと考えられるものです。

B 不適切
自立援助ホームへの入所(入居)は、児童相談所による措置ではなく、対象者からの申込みによります(児童福祉法33条の6)。
そして、入所(入居)費用を支弁した都道府県は、本人またはその扶養義務者から、その負担能力に応じ、その費用の全部または一部を徴収することができます(同法50条7号の3、同法56条2項)。

なお、対象者の年齢については、従来、満20歳未満とされていましたが、2016(平成28)年の児童福祉法改正により、大学就学中の者等については、満22歳の年度末までとされました(2017(平成29)年4月1日施行)。

C 不適切
「自立援助ホーム運営指針」p8に、自立を支援するにあたっての基本的な考え方として、次のように記されています。
「あくまでも、心の安心感と生活の安定につながる環境を保障しなければならない。決して規則優先の生活環境であってはならない。」

なお、「枠のある生活」という言葉に関し、「児童自立支援施設運営指針」p6には、「子どもの自立を支援するための一定の「枠のある生活」とも言うべき保護・支援基盤が重要である。ただし、規則の押し付けや管理のためとなってはならない。」と記されています。

D 適切
「自立援助ホーム運営指針」p9に、次のように記されています。
「・・・利用者と一緒に仕事を探し、採用されるように履歴書の書き方、面接の練習などの支援も行い、採用後は就労を継続できるように・・・支援することが重要である。」

以上より、正解は5となります。


【検討】

自立援助ホーム(児童自立生活援助事業)とは、義務教育を終了した児童等であって、児童養護施設入所措置等を解除されたもの等に対し、これらの者が共同生活を営むべき住居(自立援助ホーム)における相談その他の日常生活上の援助および生活指導ならびに就業の支援(児童自立生活援助)を行い、あわせて児童自立生活援助の実施を解除された者に対し相談その他の援助を行う事業をいいます(児童福祉法6条の3第1項)。

法律上の名称である「児童自立生活援助事業」よりも、通称である「自立援助ホーム」という名称のほうがよく使用されるため、「児童福祉施設ではないか?」と勘違いしやすい事業です。
しかも、入居する住居の名称も「自立援助ホーム」であるため、定義づけがすっきりしない事業でもあります。

本問については、A・Bは「子ども家庭福祉」や「社会福祉」と範囲のかぶる法律系の記述内容でしたが、かなり基本的なレベルの内容だったと思います。

Cは「自立援助ホーム運営指針」に関する記述でしたが、Cは(そもそも「施設」といえるかどうか微妙ですが)「施設の規則を遵守させ」という強い言葉があることから、「社会的養護」における常識的判断で「不適切」と判断できたのではないかと思います。

Dも「自立援助ホーム運営指針」に関する記述でしたが、知識として要求されているというものではなく、余計な疑念を抱かずに読み流せていればよかったという記述だったと思います。

全体としては、自立援助ホームの特徴の把握を前提として「社会的養護」における常識的判断ができれば、正解を導き出せる問題だったといえるでしょう。


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