山中のわかりにくい場所に
まるで結界が張り巡らされて
その空間には心の迷いし者にしか辿り着くことができないような
そんな場所にボランタリーパークは確かにそこにあった
中央の式をあげる男女の人形
海を静かに見下ろす扉はハート形にくり抜かれている
山あいの薄暗い場所 道路の曲線のデッドスペースにその扉はある
ボランタリーとはボランティアの意味とは異なる
無償の任意の自由意志という意味を表す言葉だったり
いわゆる宗教的な儀式などで演奏される音楽のようなものだ
その割には、ほとんど車の通りもなくただただひんやりとする静かさだ
いやガラスのように透き通り目にも耳にも見えないオルガンが鳥の鳴き声のように響いている
ウエディングドレスを着た人形には近寄りがたい
その人形からは何かしらの祈りを感じる
だから近寄りたくない
ただ伝えたかったのは もうここには何も無く
ただこうやって日々を忙しく楽しく生きているだけで大丈夫だよと
そう伝えたかっただけなのに
何故にも人はそう遠廻りをして生きているのだろう
七隈不動産 出田秀浩 記