下腹部に感じる痛みに目が覚めた。
じん。じん。じん。じん。・・・・時計を見ると午前2時。
そっとお腹を触ってみる。昨日まで大きかったお腹はペッタンコになっていた。
あぁ、やっぱり産んだんだ。
昨日のバタバタ出産を思い出してまた涙が出てきた。
でも無事生まれてよかった。
ベッドの横に母がつきそいでいた。といっても簡易ベッドでいびきをかいてねている。
写真がみたい・・・あかちゃんの顔が見たい・・・
そう思って母を呼んだのだが声が出ない。扁桃腺がはれているような感じがする。
お腹にも力が入らなくて
「お母さん、お母さん」と呼んでも一向に起きてくれない。母、爆睡中。
お腹の傷はどんどん痛みだして、耐えられなくなってきた。
ナースコールを押す。
看護師さんがやってきて、痛み止めを注射してくれた。
「付き添いの方、よくお休みですね」
ふふっと笑ってでていった。ちょっとはずかしかった。(* ̄へ ̄*)
もう少し寝ようかな・・・
目をつぶっても、廊下を歩くナースの足音が胎児の心音に聞こえてきて
はっ
と目が覚めてしまう。そんな感じで明け方までうつらうつらとしていた。
母が起きてきて
母「どんな?」
私「・・・痛い。赤ちゃんの写真見せてよ。」
母が写真を引き出しからだしてきた。
やっぱり夫にそっくりだ。でも、鼻にチューブが入り手には点滴の針がささっている。
その姿はとてもショックだった。やっぱり上手に呼吸ができないのだろうか?肺に異常があるのだろうか?
これは後から知ったことなんだけど、帝王切開で生まれた子供はよくこのような処置をされるそうだ。
というのも、いきなり取り出されるのでまだ呼吸の準備ができてないのだという。肺がうまく膨らまずに、呼吸が乱れているのだという。
自分の子供がこのような処置をされていて、嘆く親も多いそうだが、だいたい当たり前の事でまったく心配することではないのだそうだ。
術後、2日目にしてベッドから起き上がる練習をはじめる。
夫一人NICUに入り、私より先に抱っこした写真をうれしそうにもってきたのが悔しくて悔しくて、早く歩けるようになって抱っこしに行こうと動き始めた。
お腹に力が入らないので起き上がるだけでもやっとこさ。喉もすごく痛くて
「扁桃腺がはれたのかな?熱がでるかも」
と思っていたけど、この喉の痛みは人工呼吸の着脱のさい、機材が喉に摩擦するので腫れてしまう場合があるのだという。
あれも、これも、事後に分かったことで、事前に分かっていたらきっともっと余裕でいられたに違いない。
兄家族が会いにきてくれた。
私は小さな声で話していた。
「なんで、そんな小さい声で話すんか?」と笑われた。
腹に力が入らないし、喉が痛いので声が小さくなってしまうんだけど、それだけではない。
私が入院した病室は婦人科病棟なのだ。
産科病棟の病室が工事中で入れないので、急遽婦人科病棟に入れられてしまった。
いつもカーテンを閉めているのだが、カーテン越しに聞こえてくる話は
「抗がん剤ではげてきちゃった」 とか
「何個残ってる?私2個」
「3個全部とったよ」 とか
病室は子宮がんや卵巣捻転で手術をした方達のたまり場だったのである。
カーテンを開けて、出産おめでとうなんてできる場所ではなかった。
よって、話す声も小さくなってしまう。
その日の夜、尿管をとってもらって歩く練習をした。
これが自分の体?というほどいうことが聞かない。腹筋って大事なんだなーと思った。
ナース「トイレに行きたくなったらこれを使ってくださいね。」
と歩行器を廊下に置いておいてくれた。
夕方、トイレに行きたくなった。
一人でゆっくり立ち、廊下の歩行器にもたれながらゆっくりと歩いてトイレにむかった。
毎日たくさんの点滴をしている私はトイレがとても近くなっていて
「あっっっもっっっもれちゃう(((゚◇゚; )))」
と危険な状態になった。ゆっくりとやっとこさ歩いていたのに、競歩ぐらいのスピードでトイレにむかった。
痛かった。お腹とっても痛かった。でももう膀胱が限界でした。走るしか助かる道はありませんでした。
んで、無事間に合いました。
そのあと病室までまたゆっくりとやっとこさ歩いて帰りました。
歩けるようになったので、出産して3日目やっと面会することができました。
手を消毒して白衣を着て帽子をかぶってNICUの中へ。
ふごふご眠るわが子と初めて対面した時、うれしくてうれしくてまた涙がでました。
小児科で検査した結果、肺に異常もなく、あと3日ほどしたらNICUから出られるとのこと。
そしたら母子同室になるとのことでした。
それまでには産科病棟も入れるようになるとのことなので一安心。
抱っこさせてもらって、ミルクを上げて、おしめをかえました。
「ミルクよくのみますよー」
といわれている通り、すっごい勢いでんごきゅんごきゅ飲みました。
もうすぐ一緒の部屋になります。
とっても待ち遠しいです。