国際刑事裁判所検事局がネタニヤフ首相ら5人に逮捕状を請求 | 笑う門には福来るのブログ

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【プーチン大統領に続きイスラエル首脳・ハマス幹部5人に逮捕状請求】

 今週5月20日、オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)の検事局は、イスラエルとハマスの衝突を巡り、イスラエルのネタニヤフ首相・ギャラント国防相、ガザ地区のハマス指導者シンワル氏・ハマス軍事部門のディアブ氏・ハマス最高指導者ハニヤ氏に対して、逮捕状を請求すると発表した。

 

 ガザ地区で犯された戦争犯罪や人道に対する罪を問う方針で、ICCの予審裁判部が逮捕状の発行を判断する。1ヶ月程度で逮捕状が発行されるものとみられている。

 

 昨年3月に、ウクライナでの子どもの連れ去りに関与したとしてロシアのプーチン大統領に逮捕状が請求され、この時は3週間あまりで逮捕状が発行されている。

 

 ICCは、日本を含む124ヶ国・地域が加盟していて、加盟国はICCの捜査や訴追に協力する義務を負っている。加盟国に逮捕状が出されている者が入国したら逮捕される可能性がある。ウクライナは2015年に加盟したが、アメリカ・イスラエルは加盟していない。

 

【反発するイスラエルやアメリカ・欧州】

 これに対しネタニヤフ首相は、「歴史的な道徳上の暴挙」「国際法廷に、消えることない汚点を残す」「世界中で猛威を振るっている反ユダヤ主義の火にガソリンを注いでいる」と非難声明を発表。バイデン大統領も、逮捕状請求を「言語道断だ」とし「イスラエルとハマスが同列だということは全くない」と強調した。

 

 イギリスやドイツ・イタリアなどの欧州諸国も反発しているようだが、フランスはイスラエルへの逮捕状請求についてICCへの支持を表明した。フランスは、これまでも米国の国連での停戦決議案の拒否権行使を非難してきた。イスラエルのジェノサイドをICCに提訴した南アフリカはICCの決定を「歓迎する」と声明を出した。

 

 アメリカのニュースサイトの報道では、4月28日に、ネタニヤフ首相がバイデン大統領に対して逮捕状請求を阻止するよう懇願したと報じられている。それでも逮捕状が請求されたので、アメリカの圧力も効果がなかったことになる。

 

【ガザの現状は】

 ガザの保健省によると、5/19現在死者は34,012人、うち1/3の1万人以上が女性だという。負傷者は76,803人。一方国連女性機関は「女性に対する戦争」だとし、6千人の母親が死亡し、19,000人の子どもが孤児になり、ガザに住む100万人以上の女性と女児が飢餓に直面していると発表した。

 

 国際機関による食料支援も危険のため中止されていて、検問所もイスラエルによって閉鎖されていて食料・医薬品の搬入もほとんどできないでいる。

 

 そんな中で、イスラエルはアメリカの反対を押して南部のラファを攻撃し始めている。ガザは周りを全て塀に囲まれていて、避難民もガザから外には出る事できず、ただ毎日の飢餓と爆撃との怖れに明け暮れている。

 

【ICCの新所長は赤根智子裁判官】

 国際刑事裁判所の所長は、今年3月から赤根智子裁判官が就任した。任期は3年間。日本人としては初めてで所長として最初の大きな仕事となった。

 

 昨年3月には裁判官の1人としてプーチン大統領に対する逮捕状を出したが、これに対してロシアは、赤根氏らICCの裁判官や検察官を指名手配する報復にでた。

 

 インタビューを受けた赤根所長は、身の危険を感じないかとの質問に「裁判官は仮に1人が死んだとしても、いくらでも替えが利くものですから、別に狙う価値はないわけですよね」と気丈に語る。「証拠に基づき法律的な手続きで責任を追及していくことが、戦争犯罪の抑止につながる」とも。

 

 所長選出にあたって上川外務大臣は、「法の支配や人間の尊厳のためにICCが果たしている役割について、日本として支持を伝達したが、赤根所長のもとでも引き続き支持していく」と就任時記者会見で述べていたが、逮捕状発行にあたってもその立場は変わらずに維持してもらいたい。

 

 欧米諸国にも、法の支配、国際法の重視を謳ってきたので、それでもイスラエル支持を続けるかどうかの判断が迫られている。ICCのほとんどの加盟国は形式的にも実質的にもICC支持と思われる。

 

 最後に、「言語道断」とコメントし反発した米バイデン大統領だが、私にはイスラエルによるガザへのジェノサイドに対する少なくとも「ほう助犯」にはなり、「共犯」にもなりうると思えるのだが、バイデン氏への逮捕状請求はないのだろうか。アメリカがイスラエルに送った沢山の爆弾で多くの死者が生まれたはずなのだから。