アイルランドの憲法改正国民投票が否決に驚き | 笑う門には福来るのブログ

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【政府の憲法改正案に74%が反対】

 アイルランドの国民投票で、女性の権利擁護の観点から、政府・主要政党の殆どが一致して憲法改正案を提案していたが、圧倒的な74%の反対で否決されたという。21世紀の今、驚きでしかない。

 

 第二次世界大戦前の1937年に制定された同国の憲法で、「非常に古風な」規定があり、これを改正しようとして、政府案には事前の世論調査でも過半数が賛成していた。

 

 女性が家庭における「義務」を怠ってまで外で働くことがないように、国家が務めるようにとした規定が憲法にあった。女性を家庭内に留めるものとしてこれを削除し、「家族の構成員間の絆を理由とした思いやり」こそが国家にとって重要だという条文を入れようとしたもの。

 

 これに賛成が26%、反対が74%と圧倒的な否決となった。投票率は、これまでの国民投票よりかなり少なく44%。

 

【多様な家族形態の反映も否決】

 また、多様な家族の在り方を反映するため、「家族」について「婚姻関係か持続的な関係かを問わず」との一文を挿入する改正案も、賛成32%、反対68%で否決された。

 

 アイルランドは伝統的にカトリックの影響が色濃いが、近年の数々の国民投票を経て離婚・同性婚・人口妊娠中絶が相次いで合法化されてきたが、今回の否決はその対極にあるもの。

 

 同国の宗教界や保守派は、「永続的な関係に基づく」という考えに異議を唱え憲法改正案を否決するよう運動していたという。また、家族に障がい者がいる人を中心に、「家族構成員が助け合い、国がその支援に務める」改正案に「介護に国の積極的支援がなく障がい者差別だ」との批判もあったという。

 

 今回は、政府・主要政党による憲法改正運動のリーダーシップが欠如して、投票率が半数にも及ばず、「どちらかというと賛成」という層がほとんど投票しなかったといわれる。

 

【アイルランドって】

 英国の西隣のアイルランド島にある国。人口512万人。英国との激しい戦争を経て1922年12月にアイルランド自由国が誕生。1949年にイギリス連邦を離脱した共和国。

 

 IMFによると、国民一人当たりのGNPは、ルクセンブルク・ノルウェーに次いで世界第3位の裕福な国。そんな国が「女性は家庭内」を圧倒的多数で維持したことになる。