都構想について(3) | 大阪市会議員 福田武洋(ふくだたけひろ) オフィシャルブログ(大阪市旭区)

都構想の問題点として、次に「住民サービスの低下」についてです。

 

「特別区設置の際は住民サービスは維持する」と協定書に記載されていますが、では、いつまで維持することが約束されているのか?

それは、特別区が誕生する2025年1月1日だけ・・・なのです。

 

都構想に移行して特別区が誕生した後、「5年間や10年間は住民サービスを維持します」という訳ではないのです。

ただ単に、今の大阪市が担っているサービスを4特別区に割り振るだけ・・・。

割り振った後、それを維持するかどうかはその時の特別区長・特別区議会が決めること・・・。

とされています。

 

なんとも無責任な話です。

それをもって住民サービスは維持されます。などとよく言えたものです。

 

残念なことに、全ての特別区における財源と職員体制は精緻に積み上げられたものではなく実態に基づかない机上の数字に過ぎません。

そのため、特別区の財政は極めて脆弱であり、加えて、都構想移行にかかる莫大なコスト負担が足かせとなり、財政運営に大きな影響を及ぼすことでしょう。

 

限られた財源の中で、特別区長が独自の施策を進めるためにも「優先順位」が付けられ、「施策や事業の選択と集中」が進められていきます。

そのため、例えば子育て支援に力を入れようとすれば、高齢者支援を縮小するなど、サービス展開の大小をつけて取り組んでいく必要が出てきます。

 

維新の会や公明党は、「現在の大阪市が担っているサービス水準が下がることはありません」と言っていますが、“下がることはない”と聞くと、現在の住民サービスの取捨選択をせず、今のサービスは残したまま、追加で施策を展開していくものであると多くの人が考えるでしょう。

 

しかし、特別区においては基礎自治事務に限定されるため、歳出は扶助費や公債費といった義務的経費の割合が非常に大きくなります。

財政の硬直化は避けられず、政策選択の幅は狭まり、特別区長のマネジメントも当然厳しくなります。

 

しかも、新型コロナの影響で大阪全体の税収は大幅減が見込まれ、財源不足に陥ることが危惧されている中で、軽々しく「住民サービスは維持する」などと宣伝してはならないと考えます。