設計とは暮らしを新しく設定すること
「暮らし」という言葉には、過ぎてゆく時間と、これからやってくる時間が内在していて、
過去でもない、未来でもない、現在この今です。ただ、過去から現在、現在から未来と
いう時間の流れだけでは、「暮らし」にならないように思います。そこには、目にみえ手
に取れ、思い感じる、何らかの質があるということです。
その質とは、おでかけの時に着る特別な服ではなく、飾らない普段着のもので、
普段着の質を考えること、整えることが、暮らしを新しく設定することで、
そして、どういう質であれ、それはとても豊かなことだと感じます。
建築家つばたしゅういち さんは著書の中で、こんなことを語っています。
『 未来に向けて新しい暮らしをするんだって思っていた。
いつも前だけ向いて、あまり心配しなかった。 』
いろいろある毎日の「暮らし」ですが、灯りがともるように感じる言葉です。
質をともなった時間だから、積み重ね、ためることができる。
小さな質をつみかさねる、それが暮らしなのだなあと思ったのです。