スピード・ハンドル!気をつけて! -2ページ目
  • 25Feb
    • 『アブニール夢見が丘』は,新宿スターフィールドでやっていた。

      『アブニール夢見が丘』は,新宿スターフィールドでやっていた。第二話は,売れないアベック漫才のちょっといい話だった。自分たちの漫才は,なかなか売れない。どちらかと言えば,女の子の方が人気もある。また,ネタを作る才能も,男より女の子にある。だんだんと自信がなくなっていく男は,そのイライラを女の子にぶつける。しかし,彼女の夢は,彼と始めた漫才であって,それ以外の想定はないのだ。第三話は,深刻な女性が出て来た。会社で不倫の責任を一方的に自分だけに押しつけられた。挙句の果てに,苦労して就職した会社からは退職せざるを得なかった。悔しい気持ちは,ネットで集めた情報をもとに,失業中の彼女に,簡易爆弾を作らせる。そこに現れた幼なじみは,慰めのことばも出て来ない。間の悪いことに,自分は結婚が決まったのだ。お話がとてもわかり易かった。非常に楽しい時間が持てた。第一話は,自分の間抜けさを劇にされたような気がして,楽しめなかった。新宿には,こんな狭い地下劇場があちこちにあるのか。そこに知らないで入っていくのは,勇気がいる。でも,実際にコントが始まると,結構話に没入できた。とりわけ二話と三話は,気にいった。演技をしている女性の笑顔が素敵だった。

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    • 吉祥寺シアターで『夜、ナク、鳥』をやっていた。

      看護師でありながら,殺人魔に化していく四人の女。だらしない夫に人生を狂わされた腹いせに,多額の保険金をかけて次から次と男たちは殺される。男は,夢の中に幽霊となって出て来る。私たちは,どうして殺してしまったのだろうか。果たしてほかに方法はなかったのだろうか。そうは言っても,やらないと自分たちのお金はほとんど使ってしまうだろう。ほかに女もいるようだ。生命保険をかけて,なんらかのワナにかけて,最後は自然死・事故死にみせかける。しかし,健全な人間はそう簡単には死なないだろう。ならば,看護学校で学んだ医療技術を駆使して目的を達成すればいい。そもそも新薬を開発して,その効果を試すためにあの手この手で末期ガン患者をモルモットにするような日常なのだ。なんのためらいがあろう。ちょっと待ってください。どのようにいい加減な人間でも,一度は結婚もし,子どもたちもいる。それなのに,夫婦で殺し合えば,いつかは刑務所ゆきになってしまう。たとえ迷宮事件となっても,あなたたちのように何度も同じようなことをすればばれることもある。第一,四人がみな良心の呵責がないとは限らない。吉祥寺シアターで『夜、ナク、鳥』をやっていた。暗い作品ではあるが,春日神社の鹿を密かに撃ち殺して食べてしまうようなブラック・ジョークもあって,おもしろかった。そのような犯罪をして良いわけもないが,彼女たちの保険金殺人事件はもっと重大だ。

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  • 12Feb
    • 上野ストアハウスで,『富士見町の朝日荘』

      キャバ嬢だった彼女は,常連のお客に追い回される。そのために何度も住居を変えてみたが男がいつもあとを追って来る。そもそもどうして自分はあの男に絡まれたのか。彼はお店では最初いい客だった。一度自分のアパートに泊めたことがあったが,そのあとは彼氏気分で自分を監視するのだ。最後は,逃げ場所がないと感じ自殺してしまった。人生の早いうちに両親を亡くし,やっとつかんだ夫はどこかの女と蒸発してしまった。どこが悪かったのかよくわからない。夫はきっといつか帰って来るにちがいない。自分は,夫の両親からの冷たいまなざしに耐えて生きていけるのだろうか。お父さん,お母さん,どうしてこんな人生なの。アタシちゃんとやったよ,がんばったよ。上野ストアハウスはよくいく場所だ。この場所でこんな胸の痛くなる演劇はなかったと思う。どちらの例もなにか考えさせられた。自分の目の前で,こんなに痛切に哀しみを伝えて来ると,演劇とはわかっていても心に響いてしまう。おそらく映画やTVとちがう演劇特有の効果だと思う。全体としては,コミックさもあり楽しい作品集。演劇で食べていけるか。そもそも小劇場は満員になるのは至難であるし,さらなる新顔を呼ぶには当日券もあった方がいいらしいから,たいへんだ。演劇のことを取り組むのがプロであった方がいいのかもしれないが,ときにはセミ・プロが参戦するのでいい演劇ができるのかもしれない。もちろん,そこはプロが脇を固める必要はあるが。

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    • 『マーニ:その隠された人生』を池袋シアターグリーンで観た。

      『マーニ:その隠された人生』を池袋シアターグリーンで観た。主人公マーニは,気の合ったミュージカル仲間とオーディションを受けては落ちている。ある日仲間の一人が合格するが,それはどうやら大物スターが可愛い男の子を身近においてみたいという衝動からだった。彼は,自分を突破口に端役でもいいから一人でも救済しようとした。そのように名もない新人がミュージカル・スターとしての仕上がっていくのはきっかけが大事だ。だから,マーニは,役者としてはつまりルックスはダメだが,歌唱には抜群の良さがあるとなった。そのことはみんな知っていて,ぜひゴースト・シンガーになってみないかと打診された。本人は苦渋の選択で映画界の発展にでもなるかもしれないと考えた。やがて,ウソがばれていく。そのために,彼女が失うものがあったかもしれないが,結局は彼女の個性をみなが認めていく。彼女をかげからそっと見守っていた同郷の男性は置きざりにされて,ゴースト・シンガーとして共演したスターとつきあっていく。ミュージカルの世界がなんとなく見えたような気がした作品だった。全体的にわかり易く展開して,テンポもあって楽しかった。ときどき見せる独唱も気が利いていて心地よかったと思う。またいつかこうした演劇も観たいと思う。

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    • 文楽を国立劇場で観た。

      文楽を国立劇場で観た。近松門左衛門は,『女殺油地獄』というひどくショッキングな作品を残している。金銭を強奪するために,お吉との油まみれの殺害現場は,人形劇の方が少し落ち着いて見られるだろう。そのために,歌舞伎でなく,人形浄瑠璃でヒットしたのだろうか。今回のその情景は,確かに見事だったと思う。『女殺油地獄』のはじまりでおもしろいのは,泥だらけになった男をお吉が親切心で,家に入れる。女が一人になった家で,男が裸同然になっているわけで,たまたま帰って来た亭主が子どもから,かかさまが男の人を連れ込んでいると告げられる。言われてみれば,確かにお吉にもどこかスキがある。後日そのことが悲劇につながる。お吉は,どうして男をもっと警戒しなかったのだろうか。男は俺と不義をしてくれ,俺が相手をしてやるから,家の金を残らず出せとすごむのだ。もっと潔く金でもなんでも渡せば命は助かったかもしれない。そもそも男の方は,事件を表ざたにしたくなかったに過ぎないのだから。なにも可愛い子どもたちを残して惨殺されることもなかったのだ。作品の最後は非常におもしろい。どのように隠蔽されたウソもなにかのきっかけで暴露される。そのことが私はこの作品の魅力だと思う。今回の演劇では,ネズミによって天井から落ちて来た血だらけの証文にだけ男は追いつめられたわけではなかったようだ。その手のウソつき野郎はいつも土壇場まで往生際が悪いのだ。

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  • 29Jan
    • ダンスについては,とても引かれるものがあった。

      ダンスについては,とても引かれるものがあった。それを,じっくり今回は体験できた。それも,東京ドームシティというホールは,それにぴったりの場所。前半の三時間は,スタンディングで,気がついたら楽しむことができた。そうはいっても,全体像を観るには,三階の自由席からもいいものだ。後半の三時間は,やや見るのも疲れたが最後までいた。印象に残ったのは,xD(クロスディー)の歌とダンス。過去の自分でも知っているようなメロディにあわせて楽しい歌とダンスがあって良かった。ほかには,KARA young jioとかあるいは,クリスタルケイだった。ほかにも,子どもが目立っていて,全体を引っ張っているのが多かった。また,あまりにセクシーなショットにびっくり。たしかに,演劇・ミュージカルほか,すべては,どこかパフォーマンス志向だ。だから,基礎にバレエがあるのか,新体操があるのか,全体としては集団パフォーマンスは,とても印象的で楽しく,美しいだろう。

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    • ハンドシェーイカーとは,何だ。

      ハンドシェーカーとは,何だ。そういう研究を大学の教授はやっていた。だいたいが,大学とか,研究とかいうものは,人の興味を持たない,あるいは,研究の価値があるかないか,そのあたりが良くわからない,世間の常識を破った奇行からスタートするようなことが結構ある世界だと思う。だとすると,その雰囲気をびっくりするほどつかんでいた作品。主役の2人が非常に魅力的だった。ダンスも,料理の場面などもあっておしゃれ。音楽も,照明ほか演出もすごくさえていたと思う。結局,バトルは向こうからやって来る。それに,あれこれ反論し,不満を現わしても,標的になったらそれでオシマイなのだ。だいたい人間の争いとか,もめごとは不合理なものだ。また,人間には,何か自分が原因で誰かが不幸になったとか,そんな後悔を引っ張ることがある。それはそれで仕方ないが,ぶち破って,すこし展開を変えたいと思うものだ。きれいな劇場で,非常に若いエネルギーを感じた楽しい演劇だった。また,いつかこういう企画に会いたいものだ。楽しかった。

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  • 28Jan
    • つかこうへい『寝盗られ宗介』は,非常におもしろい演劇だ。

      つかこうへい『寝盗られ宗介』は,非常におもしろい演劇だ。つかの作品は,結構屈折している。最下層になった人間をあつかうことが多い。たしかに,浮上しようにも,もともとハンディがあまりにひどいならば短い人生でそう簡単には楽な場所に移動できない。今回は,そういう作品の中でも少し異色であり,かつつかのはちゃめちゃの,ぶっ飛びの特徴はやや抑えていて良かった。Gフォースという劇場は,雑居ビルの屋根裏にでも作ったのかもしれない。裏の駐車場に回って入口で,トイレはないのでご承知おきくださいとかある。屋上にでも登るようにらせん型の著しく急な鉄骨の枠で階段がある。帰るときはずり落ちないようにとの注意も出る。しかし,そのとんでもない狭い舞台が一度始まると,良くある普通のシアターかというと,あれれ,床がフカフカし始まるのである。気のせいかというと,実際役者が跳ねると地震かと思うほど揺れる。そのために,初めて観劇したときは床が抜け落ちるのでないか,と不安になったものだ。このような数ある小劇場の中でも抜群にユニークなところだが,それでも花やしき駐車場で極寒の中で観た演劇とか,新宿花園で蒸し暑い中で経験したものに比べてみればいいことも多い。だいたい,おぼんろでジョウキゲンを観たときは,段ボールを敷いただけのざぶとんで尻が痛くなったことを思い出すと,パイプ椅子とはいえイスがあるのだし,まあいい方かもしれない。かくて,入場料がほかよりやや低くなっていてくれるのだから,得だったりもするわけだ。さて,今回は,大衆演劇を観にいったと思った方がいい。浅草に近い場所で,浅草橋の駅からもさほど遠くない。非常に質の高い,味のある大衆演劇を観たような感じだった。だからといって,そこは,つか作品によって格調高い現代劇が挿入されていて見事だった。つかの作品を論理的に,あるいはつじつまがあっているか,なんていう観点からあれこれいうのは相当無理もあるから,それは今回も望まない。むしろ,ギャグと,シリアスが,シームレスで繰り返されていた。そういうやり方もあるものなんだろう。宗介は,親が裕福なぼっちゃんで,大学でチェーホフのなんたるかを卒論にでもした過去があるから,今回も,大衆演劇中に,突然三姉妹がモスクワを口にする場面にひっかける。これは,おしゃれで知らない人にはつまらない,わからないシーンだ。でも,少しあちこち演劇を回ったひとにはごく常識的アピールなんだろうか。熱海殺人事件でのあいちゃんは,風俗の悲しさを良く出していたが,今回もややそれに似たところがあった。つかはそういう点で他の追随を許さない。上から目線で見てるやつらは,本当に恥ずかしいところだ。つか作品の良さは,つぶされた人間とか,虐げられた人生を引きずった人がみると少し癒されたりする。自分とにたような,もっとひどいことがあるものだ,といった感覚だろうか。

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  • 14Jan
    • 吉祥寺シアターで,『SHIT AND LOBSTER』を観た。

      吉祥寺シアターで,『SHIT AND LOBSTER』を観た。吉祥寺シアターに限らないが,劇場で上演する作品の内容が相当決まってくる。そのために,内容などがあまり見えない演劇では,そこでやるからには,あるいは,ほどほどにいいチケット代だから,・・・大丈夫かな,そんなにはずれないと考える。『SHIT AND LOBSTER』は,スタートがとても良かった。最初が印象的に美しい。集団ダンスなのだが,まとまっているし,幻想的であってずっと見ていたい。そのまま開始が遅れてもかまわない。そのあと,なぜかひとり,田原としちゃんの真似の方をいじっていたが,ややしつこかった気がする。物語は,カップルになってみたものの,必ずだれかと付き合った過去はあるようで,それが現在の悩みになる。そもそも何もないような人は,ずっと何もないことが多い。だから,ごく普通に結婚などにまで到達するからには,かつての恋人にテクニシャンがいたりして,彼女がその技を自分に教えてくれる!作品そのものは,深いといえば深いが,性の奥義などというものは幻想にほかならない。きっと,誰もそれを知らないし,個別の体験がうまく演劇などで表現されるはずもない。想像力がたくましい方には,少しだけインスピレーションが刺激されるのだろうが,そのあたりに,劇の隠し味があるのだ。そう思った。日本の歴史についてすごく痛烈に批判している。戦国時代に確かに,ポルトガルなどが支配した論理は,キリスト教で洗脳し,気がつくと植民化していった事実がある。日本人は,鉄砲などをごく短時間で改造し,同様の武器を手に防戦できたようだ。そもそも騎馬を使えない原住民は滅びたのだから。確かにそうだと!同感した。そういうなぜか正統的日本史観を垣間見た気がする。あとは,そのような問題が,うまく日本人が持つ恋愛とか,結婚とかの感性にどうつながるのかは,飛躍もあろうが,当たったいるものもあるかもしれない。結局誰も良く説明できないし,話題にもしない世界を,楽しく拝見できたので良かった。

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    • 上野ストアハウスで,『ジャガーの眼』を観劇した。

      上野ストアハウスで,『ジャガーの眼』を観劇した。これは,偶然見つけたもので,唐十郎では,『吸血姫』『透明人間』『少女仮面』などを観たことがあった。いずれもたいへんな人気である。この劇は,テントで最後に周囲もの風景が見えるような演出がおもしろい。また,どぎつい音楽が流れたりするが,その場面で非常にインパクトがあってなるほどなあと思うばかりだ。上野ストアハウスは寒くて,暑いテント劇場の過酷さとか,みなで膝をならべてぎゅうぎゅう詰めになるような悪条件はまったくなく快適に楽しめた。しんいちは,女探偵くるみの存在に苦しめられた。あなたの眼は,あなたが移植した右目は,じつはまだ角膜が以前の持ち主が脳裏に焼き付けた風景やら,思い出が残されているのよ。その思い出がよみがえり,きっとあなたは今の妻ではなく私を選ぶのだ。と,そのようなやり取りがある程度の説得力と,不思議な時間体験が続く。アングラという世界なのだろうか。だんだん慣れるとおもしろい。今回みたいなのは,寺山修司の世界も示唆しているようで,わかる人はもっと懐かしいのかもしれない。コントのやり取りがすごいし,盛り上がって踊りになって軽快だし,すごく良くできていると思う。

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  • 24Dec
    • 新宿シアター・ミラクル『バックホーム』

      新宿シアター・ミラクルは,西武新宿駅付近にあった。雑居ビルでエレベータを登ると,小さなシアターはもうほぼ満員だった。いくつか関係者用に残していた席を開放してくれたようで,かろうじてミュージカルなのか,ストレートプレイなのか,はたまたピアノ弾き語りのミニ・コンサートのようなものは始まった。入口で物販を手伝っていた少年は,なかなか味のある子役でひとを引き付けるものがあった。話は,大林・転校生みたいな男女の身体がいれ変わった設定で,それはミュージカル座ではニッキーでも採用されたものだ。また,性同一性障害というようなものがどういったものかよく理解できていないが,そのことも加味されていた。あとは,幽霊となった少女が,軽快に舞台で狂言まわしの役をやっていた。これがなかなか楽しい展開だった。いままで非常にくだらない現代演劇,めりはりとか筋とかが良くわからないものがあった中で,これもちょっとそんな傾向はあったけど,しかし良くできていた。ソフトボールというものが,楽しそうに背景にあって,なるほどよくできていた。こういう演劇がどこでやっているのか,知らない。でも時間のムダとか,見ない方が良かったとかはまったく思わない。ぜひ,また再会したい!

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    • さいたま芸術劇場『アテネのタイモン』

      毎日陽気にみんなに親切にする。そのことで,彼は人格者だったり人気ものだったりする。だからといって,よく考えたら話がどこかおかしい・・・って,話題になってもおかしくないだろう。そのしあわせな出会い,やりとりを誰かが,まちがっている。だまされるな,あとで仕返しされるぞ!って,どうして言い出さないのか。たしかに,そのような集団催眠のようなゾーンにはいっている。このシェークスピアの『アテネのタイモン』では,藤原竜也がひとり早いうちから,吉田鋼太郎のあやうさ,偽善性を暴いている。さらに,彼にたかり,コントロールしていく集団というもの,民衆は真の悪党なのかもしれない。ただ,そのような愚民たちに,翻弄された吉田鋼太郎を笑うべきか,彼もまた破れかぶれで破滅への道を楽しんでいたのだ。何が悪い!演劇の中には,人生がある。ふだんの生活でも見事に同じようなコメディがくりかえされている。そのような嵐の中に自分もよく遭遇する。シェークスピア演劇は,人生の欠陥,人生のおそまつさ,裏切り,憎しみ・・・そういう連鎖を的確に再現していく。恐ろしいのは,冷めた目で,ひとりその痴話騒動を観察していると,たいへんな目に自分もあいかねないということだ。おもしろい演劇,人生の恥部というか,軽薄な判断,・・・それらをシェークスピアはみんな知っていた。たまには,苦しい,哀しい演劇を観るのもありだ。

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  • 17Dec
    • アクト青山で,三島由紀夫近代能楽集『班女X熊野』

      アクト青山で,三島由紀夫近代能楽集『班女X熊野』(はんじょXゆや』を観た。劇は対立するものがあるが,そのようなものがない能を演劇にすることはできるが成功するか,見ておもしろいか,まだ疑問点はある。今回は,優れた演出ですごく楽しめた。たぶん,そのままやったら帰りたくなったかもしれない。眠くなったかもしれない。そういうのはなかった。比較的短時間だったが,非常に良くまとめていて二つの戯曲がうまく絡みあっていたと思う。舞台には,演じないときも舞台装置的に出演者全員が存在しているのも良かった。『豊穣の海』(ほうじょうのうみ)は,三島由紀夫の最後の長編小説。『浜松中納言物語』を典拠とした夢と転生の物語,『春の雪』『奔馬』『暁の寺』『天人五衰』の全4巻から成る。最後に三島が目指した「世界解釈の小説」「究極の小説」である。そこで少し似た展開があったことを思い出す。待っていた男が来たが,その男が現れたらどうしても会ってくれない。やっとあったところで,その人は本人ではないと言い張る。小説『豊穣の海』においても,あれほど狂おしく熱愛だった二人が女性からの拒絶で再会が実現できない場面があったと思う。このあたりは共通する要素がある。熊野は,ひどいあばずれだ。二人のおとこを手玉にとっている。北海道にはぴんぴんと元気な母親がいるが(実母でもないのかもしれない),病気であるからと愛人との花見を避けて,帰郷したいとだだをこねる。そのような女を手放したくないパトロンは嘘をあばくが,結局許す。『白蟻の巣』に少しにた結末だ。

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    • 劇団俳小第43回本公演『袴垂れはどこだ』シアターX(カイ)にて

      村にはうさんくさい長老がいた。彼は反骨ではあったが,さりとて建設的な人間でもなかった。そのような長老のおさめる村に事件があった。情け知らずの地頭がいて,そのバカ息子に家族を凌辱された男が,逆上し謀反を起こしたのだ。もはや,村が皆殺しにあってもおかしくない事態で,長老はおかしな提案を始めるのだ。なにも村から出てどこかでひっそり暮らす選択もあったであろうに,この際伝説の義賊になろうと言い出すのだ。伝説の義賊は本当のところいるのかいないのか,定かではない。本物が出てきたらその配下になればいい。とりあえず旅先で,現地調達の盗賊を始めた。ほどほどの悪事にとどめて,社会改革とは程遠いただのドロボーだ。あるとき旅人がやって来た。彼は厳しく長老の偽善を暴く。あわてた長老は行き当たりばったりで言い逃れた。旅人も,長老と似たようなインチキ野郎だったので,長老とその配下は旅人をとうとうなぶり殺しにする結末。死に際で旅人は,おまえたちは所詮人殺し集団でしかなかったのだ・・・とつぶやくのだ。インチキおじさんが仕切る社会がある。そこで老練な手練手管に騙されることがあるのかもしれない。本当の改革者は,不正を指揮したりしないであろうに。

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  • 26Nov
    • ゆうなっちの千葉交響楽団出演!

      大いなる演劇・ミュージカルの鑑賞旅行は,今回は,ゆうなっちの千葉交響楽団出演だった。当日まで参戦を迷っていた。そもそも朝起きて天気も気になった。甲府から,佐倉までは結構遠い。実際に行って間に合わないこともあるだろう。結局のところ時間にも余裕を持って音楽ホールにたどり着いた。同じホールも良いが,ときどき地方にある素晴らしいホールも良いものだ。そもそもクラシックなのか,それ以外なのか,事前知識がなかった。そこで始まったのは,劇団四季の初体験『オペラ座の怪人』。天井のシャンデリアが落ちて来る場面を思いだす。映画音楽『ロミオとジュリエット』が懐かしい。涙が出て来た。ほかにも,『サウンド・オブ・ミュージック』が結構楽しめた。島田歌穂さんは,初期の『レ・ミゼラブル』を観たような気がする。さらに,『音楽劇:二十四の瞳』でたくさんの歌を聴いたことがあった。ゆうなっち『アニー』は健在だった。ほかにも初めて聴いたものがあった。

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    • アクト青山で,『海猫は泣ている』を観た。

      アクト青山で,『海猫は泣ている』を観た。下北沢とか,劇団四季とか,上野ハウスとか,池袋グリーンシアターなどで開始した演劇・ミュージカルの散策は,ここに来てアクト青山になった。演劇はどうやら,知人とか,子どもとかの応援などから参戦するようだ。私は,同時に,演劇史なども読み漁った。しかし,その本質たるもの,核心などは,わからない。観劇はなんとなく漂流していく。それは,どういう場所のものが魅力なのか,次はどこにいくのか?そいうことが全く良くわからないことになっていく。アクト青山はやや正統的な演劇団体のようだ。過去の名作も多い。そのような安心してみられる演劇の場があったのは幸いだった。『海猫は泣ている』は,よくわからない演劇だった。しかし,あとでしんみりと心に残る場面も多かった。良い演劇だった。100%納得いくものより,少し謎めいていたり,解釈を自分でする部分があるのもたまには良い。そういえば,イプセンの作品などでも,別の演出で観ると,新しい発見やら,背景になる真実が見えて来たりする。実は,演劇,ストレートプレイの持つ魅力は,そのようなものだ。たぶん,想像力が鍛えられる。ゆえに,その人は翌日から,職場などでも表面的には見えない「いじめ」などがわかる。『海猫は泣ている』の時間は,プルーストのようになにかに触発されて,その場面が浮かんでは消える。ために,前後がごちゃごちゃになるものの,実際に人間の記憶では良くある。ことばがしゃべれない設定である物理学者が,記憶の中で雄弁にことばを発することがある。あれは,夢の中で起こったことなのかどうか・・・全体としては,小劇場の良さというのは,その場面に自分も参加しているような錯覚が起きる仕組みだと思う。そこで,実際にことばを発するのは,めったに許されないが,小劇場ではそのくらい現実のできごとになっていく。自分なら,こんな人にどのような批判やら,態度をするか。そういった真剣さが生まれる。

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  • 13Nov
    • 東京国際フォーラムで,One Night Dreamを見た!

      東京国際フォーラムで,One Night Dreamを見た!東京国際フォーラムは,『赤毛のアン』で一度訪問したことがあった。今回の企画は,どちらかというとジャズが大好きなタイプ向きだった。私自身過去に,ニニ・ロッソとかメイナード・ファーガソンのトランペットが好きで,管楽器に憧れがあったから,懐かしい気持ちになる。サッチモで有名な,『ワンダフルワールド』が始まると,居心地は最高。タップ・ダンサーも半端ではない仕上がりで盛り上げてくれた。ヴァイオリンもまた秀逸だったと思う。宝塚出身のひとたちはいつも歌が上手だと思う。あっというまの二時間,楽しい記念すべき夕べとなった。最近は,ミュージカルか,ストレートプレイしか夢中になれない。たぶん音楽を音楽だけで楽しむ心の余裕がないのだろう。しかし,ときには,素敵な音楽会があるのなら,いいものだ。もう少し自分が聴きこんだ曲なら,なお良かったと思う。

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  • 12Nov
    • 板橋サブテレニアンで,森本薫作『みごとな女』を観た!

      化学が強い女は,研究者になっても良かった。しかし,そこまでの才能や展望も,あるいは決意もないまま普通の生活に戻ろうとした。しかし,化学に興味があり,薬学の知識を役に立てることはできても,裁縫やら,女らしい料理にはなじまない。そんな彼女が,その欠陥やら,特性ゆえに二人の結婚候補から求愛された。ひとりは,将来有望な温厚な医師であり,こちらは日は浅いが,すっかり夢中になった。才気煥発で,医学的方面で良きチームが組める。しかし,いままでずっと身近で彼女を友として来た年若い男は困惑する。自分は先行きのわからないドイツ文学者だ。ピアノでは彼女に指導もできる。だが,彼女を本当にしあわせにできるのは,果たして自分なのだろうか。彼女自身やら,彼女の母も多少の迷いはある。こころは,若い詩人であろうが,しかし,にわかに現れた社会的地位に優れた医師にこそ娘は嫁ぐべきかもしれない。この医師も本当は絵描き志望だったが父親にその志をつぶされた過去があった。主要四人の思惑,ひとがら,人生観,相手に対する優しさ・配慮,そういうものがいくつも浮かんでは消えていく。背景は,明治時代であろうか。だから,価値観も今とはちがう。そうは思うし,かつて支配したある種の結婚観とか,家庭に対して望むものが,やや色あせてみえるが,でも良い演劇だった。ひとの心理分析,表現,表情が良かった。全体的に静かな気品が漂い,最後は,たぶん『みごとな女』を失うであろう片方の男性があわれで泣けた。感動的で,非常に印象に残る名作だと思う。漱石『心』は,同じ女を奪いあう後味の悪い悲哀があった。こちらの方は,誰もがしあわせを願いながら,結論は一人の花が誰かのものになっていく点では共通なのかもしれない。

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  • 29Oct
  • 09Oct
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プロフィール

ふじたん

性別:
男性
誕生日:
1956年7月5日
血液型:
B型
お住まいの地域:
静岡県
自己紹介:
岡田カレン(花やしき少女歌劇団)応援中

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