マーニ

 

『マーニ:その隠された人生』を池袋シアターグリーンで観た。主人公マーニは,気の合ったミュージカル仲間とオーディションを受けては落ちている。ある日仲間の一人が合格するが,それはどうやら大物スターが可愛い男の子を身近においてみたいという衝動からだった。彼は,自分を突破口に端役でもいいから一人でも救済しようとした。

そのように名もない新人がミュージカル・スターとしての仕上がっていくのはきっかけが大事だ。だから,マーニは,役者としてはつまりルックスはダメだが,歌唱には抜群の良さがあるとなった。そのことはみんな知っていて,ぜひゴースト・シンガーになってみないかと打診された。本人は苦渋の選択で映画界の発展にでもなるかもしれないと考えた。

やがて,ウソがばれていく。そのために,彼女が失うものがあったかもしれないが,結局は彼女の個性をみなが認めていく。彼女をかげからそっと見守っていた同郷の男性は置きざりにされて,ゴースト・シンガーとして共演したスターとつきあっていく。ミュージカルの世界がなんとなく見えたような気がした作品だった。

全体的にわかり易く展開して,テンポもあって楽しかった。ときどき見せる独唱も気が利いていて心地よかったと思う。またいつかこうした演劇も観たいと思う。