スピード・ハンドル!気をつけて!
岡田カレン
岡田カレン

岡田栄次
  • 06Aug
    • 「ユウジョウアル夏ペクツ」&西原理恵子デビュー30周年記念公演「ぼくんち」

      毎日が暑い,そして,やることがあまりない。そのような場合,人はどこにいくのだろうか。今回の「ユウジョウアル夏ペクツ」では,とにかく狙われたエアコンありの友人宅だ。そこに次から次に,人が集まり,外人から,妖怪までも。その中で起こる会話は,どこか不思議でバカバカしい。みんなどんどん仲良くなっていくが,最後は,大どんでん返しで,信頼した妖怪にみんな食べられてしまった。途中まで見てもあきない。楽しい小劇場だ。次に見たのは,西原理恵子デビュー30周年記念公演「ぼくんち」。こっちは,しにせの池袋シアターグリーンなので,完成度が高かった。不遇な人生ばかりで,ろくでもない発想とか,日常しかない,そういう背景はつか作品と似ている。重くなりそうな作品には,哀愁もあり,共感もできる。泣けた。人生には,さほどうまくいく路線ばかりでない。また,脱線したときにこそ逃げ出そうともがく。とにかく捨てない!良い公演だった。

      テーマ:
  • 18Jun
    • 舞台版『あいたま』&ミュージカル『小公女セーラ』

      恵比寿エコー劇場は,以前にリリオムとかいうのを見た場所だった。初めていく劇場はなかなかわからない。恵比寿エコーは,JR恵比寿駅至近距離で,渋谷よりだ。アイドル系の演劇にはちがいないが結構おもしろかった。引き続き,渋谷で『小公女セーラ』を見た。この有名な物語は,小学校の読書感想文の定番だった。インドで死亡した父を思いながら,屋根裏部屋で葛藤する。いつでも,どんなときでも,自分はプリンセスであり,気高い気持ちを忘れない。そういうストーリーに心を打たれた。

      テーマ:
  • 04Jun
    • 映画『のみとり侍』

      映画『のみとり侍』は,ある日突然殿様の逆鱗に触れて,人生の裏舞台で生きる男の話。彼は,組織の腐敗に気が付き職場改革を目指していたが,同僚などから恨まれていた。そのようなおりに,彼は殿様が著作権侵害の歌などを詠んだのでそれが変だと思ってしまった。きっかけはなんでもよかった。内部の暗部を知り,糾弾しようとする人間は,その舌を抜いてしゃべれないようにするか,思い切って殺害してしまう。それが,組織を守る側の論理だという。侍は,窮屈な組織から,下町の良さを知る。また,男としてもっと女性を喜ばせるテクニックを研究する。

      テーマ:
  • 31May
    • ラクロ『危険な関係』

      ラクロ『危険な関係』は,古い映画だったがおもしろかった。『赤と黒』『パルムの僧院』のように,相手に執着し,恋愛心理劇で目的を達成する。そういった手法は,非常に良く似ていた。外交官である主人公は,学生結婚したパートナーと共通の倫理観があった。恋愛はあくまでゲームのようなものであって,仮に夫婦が不倫を勝手に開始し,肉体関係にいたってもお互い干渉はしないでやって来た。むしろ,恋愛の過程を互いに報告しあう。そのようにすることにより,人生は楽しむことができるのだと達観し,伝統的な結婚観を軽蔑していたのだ。ところが,妻は自分が仕掛けた企画であったが,夫が次第に特定の人妻にのめりこむのが許せなくなったのだ。ターゲットになったその人妻は結局精神崩壊していくが,外交官もまた,パートナーである妻がすべてを暴露したので追い込まれる。終盤では,痴情のもつれから外交官は,撃ち殺されてしまった。警察沙汰になるにいたり,あわてて証拠を焼却しようとした夫人はひどいやけどを負い笑いものになってしまった。

      テーマ:
  • 05May
  • 11Mar
    • 加護亜衣が出るというので,池袋シアターグリーンに行く。

      加護亜衣が出るというので,池袋シアターグリーンに行く。冒頭映像が流れ,出演者の名前などを紹介したなどビデオが流れたが,全体に時間をどうしても二時間におさめたい。観客は,映像を観に来たのでなく少しでも早く誰かの顔を確認したいのだからだ。なんのための映像だったのかよくわからない。全体としてはとてもよくまとまっていたので,冒頭のつかみがかえって惜しかった。刑務所から脱走する五人組の演劇はずっと見ていてあきなかった。五人のメンバーがそれぞれに個性的でいい演技をしていたと思う。いくつもおもしろい傑作の場面があった。その中で,加護亜衣らが父親の葬式に立ち会うところ。葬式の場面を不謹慎にも演劇でコントにするのはややモラル違反。しかしながら,棺桶の中から,死んだはずの父親が,真実のすべてを語りかけている息子に,飛びついた場面には唖然とした。わらいがマックスになった。デスペラードの歌は良かったと思う。女刑事のキャラも面白かった。有名女優が出る演劇にはあまりいい思い出がないが,これは良く出来ている。どこが,どうおもしろい。良く出来ていた。そういうのが,多かったので語り尽くせない。素晴らしい。この劇場で観たものの中でも最上の出来だと思う。

      テーマ:
    • 『埋没』を,高円寺で観た。

      『埋没』を,高円寺で観た。この劇団は,前に『虚像の礎』を観劇したことがあった。この作品は非常にインパクトがあった。作品の中で,一番すごいのは,非常に近い関係にある女友だちの間に,ダム問題で亀裂が生まれたところだ。ともに戦っていくが,より賢明な選択をする。そもそも反対運動というのは限界があって,金銭闘争に変質する。しかし,精神論としては,自然環境を守りたい。どこまでも子ども時代の故郷がなくなって欲しくない。そういった観点が確かに一方にはあった。ところが,今回の四国で起きたこの事件の背景には,別のことがあった。それは,一県からすれば自分たちの自然を壊してまで作るダム問題はほとんどメリットのない話だった。しかしながら,これが四国の他の三県の水不足問題を解決するという大義があったので,自分たちの方が県エゴをつらぬいているのかもしれないのだ。この演劇を注意深く観察していると,ローカルスタンダードというものが,田舎にはあるという問題点だ。私が思うのは,田舎の視点が非常に大局を見ていないことが多いのだ。そのような人間は,この作品の中で訴えるようななんらかの内省みたいなものすら全くない。ただ自分たちの世界が満足したいとか,自分中心に小さなメリットを構築するが,その近くにいる別の集団を無視し,酷使して,のうのうとする例が多いということだと思う。この劇団がとても表現を得意とするのは,人の心理。喧嘩し,相手を追い込む。近親憎悪みたいなものがあると,さらに相手を説き伏せないと気がすまない。気がつくとお互いに殺意まで芽生えた。そのような関係になる前に,刃傷事件にならないうちに関係が悪化したら逃げたい。喧嘩は買わない,パワ・ハラもできるだけブロックすること。と私は思う。それができるのは,ガンジーのような無抵抗な姿勢とか,法華経のような仏ごころだ。それにしても,人間はどこまでも喧嘩をすることがある。親が子どもを規格にはめる場合でも起きる。進学などにおいても,お金を出す側の親は,スポンサーだから子どもはある程度は親の無理難題に抵抗できないだろう。気がつくと,教育虐待が発生する。子どもが親によってつぶれていく。逃げ場がない。不幸中の幸いで,親殺しの破滅にならないまでも心に傷が残る。トラウマが人生の後半に残る。世の殺人事件の大半は親族事件だろう。

      テーマ:
  • 25Feb
    • 『卒業式、実行』を,新宿サンモールスタジオで観た。

      『卒業式、実行』を,新宿サンモールスタジオで観た。テーマは,国家とか,国旗とかなので設定からして工夫がいる。なぜかというと,治安維持法のあった戦時中でなく自由な戦後の,平和な日本とはいえ取り上げ方に多くの問題が起こってしまう。演劇のテーマが,あまりに政治色が強くなると,どこぞの政治団体の集会に参加しているかの錯覚が起こって,演劇そのものが楽しくなくなる。といったことからであろうが,おそらく教職員組合を,生徒会に置き換え,さらに,本来なら,教育委員会によって,あまりに酷い結末があったかのようなシーンをどうしても回避したい。そのために,結論としては,一貫して反国家,反国旗,反君が代,となったであろう流れを,終盤でグダグダにして作品そのものを良くわからないものにした。といったような,カモフラージュはあったので,十分には楽しめなかったが,演劇としてはハイレベルだった。口角泡を飛ばし,つばぜり合いをする。そのような議論また議論,さらに白熱する駆け引きは見事だった。中におもしろおかしく挿入されるコントとか,まぬけな教員たちの口からの出まかせ,などたいへん興味深かった。『卒業式、実行』は,スゴイ」作品だ。幼馴染みで,秀才で高校教員になった人がいた。彼は,この作品のような世界で就職したばかりから闘争を繰り返して,人生がめちゃめちゃになっていった。彼に,この演劇がどう理解されるか心配である。もしかしたら,あまりに重い問題なので,彼は酷評するかもしれない。しかし,私はこんな演劇も好きだ。

      テーマ:
    • 『アブニール夢見が丘』は,新宿スターフィールドでやっていた。

      『アブニール夢見が丘』は,新宿スターフィールドでやっていた。第二話は,売れないアベック漫才のちょっといい話だった。自分たちの漫才は,なかなか売れない。どちらかと言えば,女の子の方が人気もある。また,ネタを作る才能も,男より女の子にある。だんだんと自信がなくなっていく男は,そのイライラを女の子にぶつける。しかし,彼女の夢は,彼と始めた漫才であって,それ以外の想定はないのだ。第三話は,深刻な女性が出て来た。会社で不倫の責任を一方的に自分だけに押しつけられた。挙句の果てに,苦労して就職した会社からは退職せざるを得なかった。悔しい気持ちは,ネットで集めた情報をもとに,失業中の彼女に,簡易爆弾を作らせる。そこに現れた幼なじみは,慰めのことばも出て来ない。間の悪いことに,自分は結婚が決まったのだ。お話がとてもわかり易かった。非常に楽しい時間が持てた。第一話は,自分の間抜けさを劇にされたような気がして,楽しめなかった。新宿には,こんな狭い地下劇場があちこちにあるのか。そこに知らないで入っていくのは,勇気がいる。でも,実際にコントが始まると,結構話に没入できた。とりわけ二話と三話は,気にいった。演技をしている女性の笑顔が素敵だった。

      テーマ:
    • 吉祥寺シアターで『夜、ナク、鳥』をやっていた。

      看護師でありながら,殺人魔に化していく四人の女。だらしない夫に人生を狂わされた腹いせに,多額の保険金をかけて次から次と男たちは殺される。男は,夢の中に幽霊となって出て来る。私たちは,どうして殺してしまったのだろうか。果たしてほかに方法はなかったのだろうか。そうは言っても,やらないと自分たちのお金はほとんど使ってしまうだろう。ほかに女もいるようだ。生命保険をかけて,なんらかのワナにかけて,最後は自然死・事故死にみせかける。しかし,健全な人間はそう簡単には死なないだろう。ならば,看護学校で学んだ医療技術を駆使して目的を達成すればいい。そもそも新薬を開発して,その効果を試すためにあの手この手で末期ガン患者をモルモットにするような日常なのだ。なんのためらいがあろう。ちょっと待ってください。どのようにいい加減な人間でも,一度は結婚もし,子どもたちもいる。それなのに,夫婦で殺し合えば,いつかは刑務所ゆきになってしまう。たとえ迷宮事件となっても,あなたたちのように何度も同じようなことをすればばれることもある。第一,四人がみな良心の呵責がないとは限らない。吉祥寺シアターで『夜、ナク、鳥』をやっていた。暗い作品ではあるが,春日神社の鹿を密かに撃ち殺して食べてしまうようなブラック・ジョークもあって,おもしろかった。そのような犯罪をして良いわけもないが,彼女たちの保険金殺人事件はもっと重大だ。

      テーマ:
  • 12Feb
    • 上野ストアハウスで,『富士見町の朝日荘』

      キャバ嬢だった彼女は,常連のお客に追い回される。そのために何度も住居を変えてみたが男がいつもあとを追って来る。そもそもどうして自分はあの男に絡まれたのか。彼はお店では最初いい客だった。一度自分のアパートに泊めたことがあったが,そのあとは彼氏気分で自分を監視するのだ。最後は,逃げ場所がないと感じ自殺してしまった。人生の早いうちに両親を亡くし,やっとつかんだ夫はどこかの女と蒸発してしまった。どこが悪かったのかよくわからない。夫はきっといつか帰って来るにちがいない。自分は,夫の両親からの冷たいまなざしに耐えて生きていけるのだろうか。お父さん,お母さん,どうしてこんな人生なの。アタシちゃんとやったよ,がんばったよ。上野ストアハウスはよくいく場所だ。この場所でこんな胸の痛くなる演劇はなかったと思う。どちらの例もなにか考えさせられた。自分の目の前で,こんなに痛切に哀しみを伝えて来ると,演劇とはわかっていても心に響いてしまう。おそらく映画やTVとちがう演劇特有の効果だと思う。全体としては,コミックさもあり楽しい作品集。演劇で食べていけるか。そもそも小劇場は満員になるのは至難であるし,さらなる新顔を呼ぶには当日券もあった方がいいらしいから,たいへんだ。演劇のことを取り組むのがプロであった方がいいのかもしれないが,ときにはセミ・プロが参戦するのでいい演劇ができるのかもしれない。もちろん,そこはプロが脇を固める必要はあるが。

      テーマ:
    • 『マーニ:その隠された人生』を池袋シアターグリーンで観た。

      『マーニ:その隠された人生』を池袋シアターグリーンで観た。主人公マーニは,気の合ったミュージカル仲間とオーディションを受けては落ちている。ある日仲間の一人が合格するが,それはどうやら大物スターが可愛い男の子を身近においてみたいという衝動からだった。彼は,自分を突破口に端役でもいいから一人でも救済しようとした。そのように名もない新人がミュージカル・スターとしての仕上がっていくのはきっかけが大事だ。だから,マーニは,役者としてはつまりルックスはダメだが,歌唱には抜群の良さがあるとなった。そのことはみんな知っていて,ぜひゴースト・シンガーになってみないかと打診された。本人は苦渋の選択で映画界の発展にでもなるかもしれないと考えた。やがて,ウソがばれていく。そのために,彼女が失うものがあったかもしれないが,結局は彼女の個性をみなが認めていく。彼女をかげからそっと見守っていた同郷の男性は置きざりにされて,ゴースト・シンガーとして共演したスターとつきあっていく。ミュージカルの世界がなんとなく見えたような気がした作品だった。全体的にわかり易く展開して,テンポもあって楽しかった。ときどき見せる独唱も気が利いていて心地よかったと思う。またいつかこうした演劇も観たいと思う。

      テーマ:
    • 文楽を国立劇場で観た。

      文楽を国立劇場で観た。近松門左衛門は,『女殺油地獄』というひどくショッキングな作品を残している。金銭を強奪するために,お吉との油まみれの殺害現場は,人形劇の方が少し落ち着いて見られるだろう。そのために,歌舞伎でなく,人形浄瑠璃でヒットしたのだろうか。今回のその情景は,確かに見事だったと思う。『女殺油地獄』のはじまりでおもしろいのは,泥だらけになった男をお吉が親切心で,家に入れる。女が一人になった家で,男が裸同然になっているわけで,たまたま帰って来た亭主が子どもから,かかさまが男の人を連れ込んでいると告げられる。言われてみれば,確かにお吉にもどこかスキがある。後日そのことが悲劇につながる。お吉は,どうして男をもっと警戒しなかったのだろうか。男は俺と不義をしてくれ,俺が相手をしてやるから,家の金を残らず出せとすごむのだ。もっと潔く金でもなんでも渡せば命は助かったかもしれない。そもそも男の方は,事件を表ざたにしたくなかったに過ぎないのだから。なにも可愛い子どもたちを残して惨殺されることもなかったのだ。作品の最後は非常におもしろい。どのように隠蔽されたウソもなにかのきっかけで暴露される。そのことが私はこの作品の魅力だと思う。今回の演劇では,ネズミによって天井から落ちて来た血だらけの証文にだけ男は追いつめられたわけではなかったようだ。その手のウソつき野郎はいつも土壇場まで往生際が悪いのだ。

      テーマ:
  • 29Jan
    • ダンスについては,とても引かれるものがあった。

      ダンスについては,とても引かれるものがあった。それを,じっくり今回は体験できた。それも,東京ドームシティというホールは,それにぴったりの場所。前半の三時間は,スタンディングで,気がついたら楽しむことができた。そうはいっても,全体像を観るには,三階の自由席からもいいものだ。後半の三時間は,やや見るのも疲れたが最後までいた。印象に残ったのは,xD(クロスディー)の歌とダンス。過去の自分でも知っているようなメロディにあわせて楽しい歌とダンスがあって良かった。ほかには,KARA young jioとかあるいは,クリスタルケイだった。ほかにも,子どもが目立っていて,全体を引っ張っているのが多かった。また,あまりにセクシーなショットにびっくり。たしかに,演劇・ミュージカルほか,すべては,どこかパフォーマンス志向だ。だから,基礎にバレエがあるのか,新体操があるのか,全体としては集団パフォーマンスは,とても印象的で楽しく,美しいだろう。

      テーマ:
    • ハンドシェーイカーとは,何だ。

      ハンドシェーカーとは,何だ。そういう研究を大学の教授はやっていた。だいたいが,大学とか,研究とかいうものは,人の興味を持たない,あるいは,研究の価値があるかないか,そのあたりが良くわからない,世間の常識を破った奇行からスタートするようなことが結構ある世界だと思う。だとすると,その雰囲気をびっくりするほどつかんでいた作品。主役の2人が非常に魅力的だった。ダンスも,料理の場面などもあっておしゃれ。音楽も,照明ほか演出もすごくさえていたと思う。結局,バトルは向こうからやって来る。それに,あれこれ反論し,不満を現わしても,標的になったらそれでオシマイなのだ。だいたい人間の争いとか,もめごとは不合理なものだ。また,人間には,何か自分が原因で誰かが不幸になったとか,そんな後悔を引っ張ることがある。それはそれで仕方ないが,ぶち破って,すこし展開を変えたいと思うものだ。きれいな劇場で,非常に若いエネルギーを感じた楽しい演劇だった。また,いつかこういう企画に会いたいものだ。楽しかった。

      テーマ:
  • 28Jan
    • つかこうへい『寝盗られ宗介』は,非常におもしろい演劇だ。

      つかこうへい『寝盗られ宗介』は,非常におもしろい演劇だ。つかの作品は,結構屈折している。最下層になった人間をあつかうことが多い。たしかに,浮上しようにも,もともとハンディがあまりにひどいならば短い人生でそう簡単には楽な場所に移動できない。今回は,そういう作品の中でも少し異色であり,かつつかのはちゃめちゃの,ぶっ飛びの特徴はやや抑えていて良かった。Gフォースという劇場は,雑居ビルの屋根裏にでも作ったのかもしれない。裏の駐車場に回って入口で,トイレはないのでご承知おきくださいとかある。屋上にでも登るようにらせん型の著しく急な鉄骨の枠で階段がある。帰るときはずり落ちないようにとの注意も出る。しかし,そのとんでもない狭い舞台が一度始まると,良くある普通のシアターかというと,あれれ,床がフカフカし始まるのである。気のせいかというと,実際役者が跳ねると地震かと思うほど揺れる。そのために,初めて観劇したときは床が抜け落ちるのでないか,と不安になったものだ。このような数ある小劇場の中でも抜群にユニークなところだが,それでも花やしき駐車場で極寒の中で観た演劇とか,新宿花園で蒸し暑い中で経験したものに比べてみればいいことも多い。だいたい,おぼんろでジョウキゲンを観たときは,段ボールを敷いただけのざぶとんで尻が痛くなったことを思い出すと,パイプ椅子とはいえイスがあるのだし,まあいい方かもしれない。かくて,入場料がほかよりやや低くなっていてくれるのだから,得だったりもするわけだ。さて,今回は,大衆演劇を観にいったと思った方がいい。浅草に近い場所で,浅草橋の駅からもさほど遠くない。非常に質の高い,味のある大衆演劇を観たような感じだった。だからといって,そこは,つか作品によって格調高い現代劇が挿入されていて見事だった。つかの作品を論理的に,あるいはつじつまがあっているか,なんていう観点からあれこれいうのは相当無理もあるから,それは今回も望まない。むしろ,ギャグと,シリアスが,シームレスで繰り返されていた。そういうやり方もあるものなんだろう。宗介は,親が裕福なぼっちゃんで,大学でチェーホフのなんたるかを卒論にでもした過去があるから,今回も,大衆演劇中に,突然三姉妹がモスクワを口にする場面にひっかける。これは,おしゃれで知らない人にはつまらない,わからないシーンだ。でも,少しあちこち演劇を回ったひとにはごく常識的アピールなんだろうか。熱海殺人事件でのあいちゃんは,風俗の悲しさを良く出していたが,今回もややそれに似たところがあった。つかはそういう点で他の追随を許さない。上から目線で見てるやつらは,本当に恥ずかしいところだ。つか作品の良さは,つぶされた人間とか,虐げられた人生を引きずった人がみると少し癒されたりする。自分とにたような,もっとひどいことがあるものだ,といった感覚だろうか。

      テーマ:
  • 14Jan
    • 吉祥寺シアターで,『SHIT AND LOBSTER』を観た。

      吉祥寺シアターで,『SHIT AND LOBSTER』を観た。吉祥寺シアターに限らないが,劇場で上演する作品の内容が相当決まってくる。そのために,内容などがあまり見えない演劇では,そこでやるからには,あるいは,ほどほどにいいチケット代だから,・・・大丈夫かな,そんなにはずれないと考える。『SHIT AND LOBSTER』は,スタートがとても良かった。最初が印象的に美しい。集団ダンスなのだが,まとまっているし,幻想的であってずっと見ていたい。そのまま開始が遅れてもかまわない。そのあと,なぜかひとり,田原としちゃんの真似の方をいじっていたが,ややしつこかった気がする。物語は,カップルになってみたものの,必ずだれかと付き合った過去はあるようで,それが現在の悩みになる。そもそも何もないような人は,ずっと何もないことが多い。だから,ごく普通に結婚などにまで到達するからには,かつての恋人にテクニシャンがいたりして,彼女がその技を自分に教えてくれる!作品そのものは,深いといえば深いが,性の奥義などというものは幻想にほかならない。きっと,誰もそれを知らないし,個別の体験がうまく演劇などで表現されるはずもない。想像力がたくましい方には,少しだけインスピレーションが刺激されるのだろうが,そのあたりに,劇の隠し味があるのだ。そう思った。日本の歴史についてすごく痛烈に批判している。戦国時代に確かに,ポルトガルなどが支配した論理は,キリスト教で洗脳し,気がつくと植民化していった事実がある。日本人は,鉄砲などをごく短時間で改造し,同様の武器を手に防戦できたようだ。そもそも騎馬を使えない原住民は滅びたのだから。確かにそうだと!同感した。そういうなぜか正統的日本史観を垣間見た気がする。あとは,そのような問題が,うまく日本人が持つ恋愛とか,結婚とかの感性にどうつながるのかは,飛躍もあろうが,当たったいるものもあるかもしれない。結局誰も良く説明できないし,話題にもしない世界を,楽しく拝見できたので良かった。

      テーマ:
    • 上野ストアハウスで,『ジャガーの眼』を観劇した。

      上野ストアハウスで,『ジャガーの眼』を観劇した。これは,偶然見つけたもので,唐十郎では,『吸血姫』『透明人間』『少女仮面』などを観たことがあった。いずれもたいへんな人気である。この劇は,テントで最後に周囲もの風景が見えるような演出がおもしろい。また,どぎつい音楽が流れたりするが,その場面で非常にインパクトがあってなるほどなあと思うばかりだ。上野ストアハウスは寒くて,暑いテント劇場の過酷さとか,みなで膝をならべてぎゅうぎゅう詰めになるような悪条件はまったくなく快適に楽しめた。しんいちは,女探偵くるみの存在に苦しめられた。あなたの眼は,あなたが移植した右目は,じつはまだ角膜が以前の持ち主が脳裏に焼き付けた風景やら,思い出が残されているのよ。その思い出がよみがえり,きっとあなたは今の妻ではなく私を選ぶのだ。と,そのようなやり取りがある程度の説得力と,不思議な時間体験が続く。アングラという世界なのだろうか。だんだん慣れるとおもしろい。今回みたいなのは,寺山修司の世界も示唆しているようで,わかる人はもっと懐かしいのかもしれない。コントのやり取りがすごいし,盛り上がって踊りになって軽快だし,すごく良くできていると思う。

      テーマ:
  • 24Dec
    • 新宿シアター・ミラクル『バックホーム』

      新宿シアター・ミラクルは,西武新宿駅付近にあった。雑居ビルでエレベータを登ると,小さなシアターはもうほぼ満員だった。いくつか関係者用に残していた席を開放してくれたようで,かろうじてミュージカルなのか,ストレートプレイなのか,はたまたピアノ弾き語りのミニ・コンサートのようなものは始まった。入口で物販を手伝っていた少年は,なかなか味のある子役でひとを引き付けるものがあった。話は,大林・転校生みたいな男女の身体がいれ変わった設定で,それはミュージカル座ではニッキーでも採用されたものだ。また,性同一性障害というようなものがどういったものかよく理解できていないが,そのことも加味されていた。あとは,幽霊となった少女が,軽快に舞台で狂言まわしの役をやっていた。これがなかなか楽しい展開だった。いままで非常にくだらない現代演劇,めりはりとか筋とかが良くわからないものがあった中で,これもちょっとそんな傾向はあったけど,しかし良くできていた。ソフトボールというものが,楽しそうに背景にあって,なるほどよくできていた。こういう演劇がどこでやっているのか,知らない。でも時間のムダとか,見ない方が良かったとかはまったく思わない。ぜひ,また再会したい!

      テーマ:
    • さいたま芸術劇場『アテネのタイモン』

      毎日陽気にみんなに親切にする。そのことで,彼は人格者だったり人気ものだったりする。だからといって,よく考えたら話がどこかおかしい・・・って,話題になってもおかしくないだろう。そのしあわせな出会い,やりとりを誰かが,まちがっている。だまされるな,あとで仕返しされるぞ!って,どうして言い出さないのか。たしかに,そのような集団催眠のようなゾーンにはいっている。このシェークスピアの『アテネのタイモン』では,藤原竜也がひとり早いうちから,吉田鋼太郎のあやうさ,偽善性を暴いている。さらに,彼にたかり,コントロールしていく集団というもの,民衆は真の悪党なのかもしれない。ただ,そのような愚民たちに,翻弄された吉田鋼太郎を笑うべきか,彼もまた破れかぶれで破滅への道を楽しんでいたのだ。何が悪い!演劇の中には,人生がある。ふだんの生活でも見事に同じようなコメディがくりかえされている。そのような嵐の中に自分もよく遭遇する。シェークスピア演劇は,人生の欠陥,人生のおそまつさ,裏切り,憎しみ・・・そういう連鎖を的確に再現していく。恐ろしいのは,冷めた目で,ひとりその痴話騒動を観察していると,たいへんな目に自分もあいかねないということだ。おもしろい演劇,人生の恥部というか,軽薄な判断,・・・それらをシェークスピアはみんな知っていた。たまには,苦しい,哀しい演劇を観るのもありだ。

      テーマ:
topbanner

プロフィール

ふじたん

性別:
男性
誕生日:
1956年7月5日
血液型:
B型
お住まいの地域:
山梨県
自己紹介:
岡田カレン(花やしき少女歌劇団)応援中

続きを見る >

読者になる

テーマ

一覧を見る

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス