職場で「分かりやすい文章」
を書くためのコツを
シリーズ3回で紹介ます。
本日は第1回目。
皆さんは、日々、職場で企画書、報告書、顧客へのメール、会議の資料作成などで忙殺されていることでしょう。
これらは全て文章によるコミュニケーションです。
皆さんの日々のお仕事には「分かりやすい文章」で伝える力がいかに重要かが分かります。
私は全国の企業様向けに「分かりやすい文章」をテーマとする講演や研修などをやっております。
そうした機会を通じて、分かりやすい文章を書くための数多くのテクニックを紹介しています。
しかし、ここでは、そうした細かいテクニックよりも重要な「意識改革」を中心に紹介させていただきます。
まず、皆さんの長年の習慣になっている、いわゆる「甘い勘違い」から目覚めていただきたいと思います。
例えば、皆さんは、職場での回覧物に細かく目を通すでしょうか?
あるいは、色々と渡される資料の全てを丁寧に精読しているでしょうか?
かなり重要な文章でさえ、書かれている内容を無意識のうちに予測しながら大雑把に「斜め読み」しているのではないでしょうか。
つまり、私たちは自分が「読み手」の立場にあるときは、文章は朝から晩まで「斜め読み」しているのが実態です。
ところが、自分が「書き手」の立場に立つと、どうでしょう。
「斜め読み」という表現はあっても、「斜め書き」という表現はありません。
文章を書くときは、一文字も飛ばさず、全てビッシリと責任を持って書いているはずです。
このとき、皆さんが「一文字も飛ばさず」書いたその力作を、読み手も「一文字も飛ばさず」丁寧に精読してくれるはず、と思い込んでいませんか?
文章中に明記したことは、必ず読み手に伝わるはず、と甘く考えていませんか?
自分は朝から晩まで斜め読みしているのに、自分が書いた文章だけは精読される、と思い込むことは、あまりに虫がいいと思いませんか?
地震国の日本では、ビルなどを建築する際、地震発生という厳しい現実を織り込み済みにするため、耐震基準を守ります。
【出典:かわいいフリー素材集・
いらすとや】
「日本は地震国である」という厳しい現実を忘れて建築されたビルは、どうなるでしょう?
「文章は斜め読みされる」という厳しい現実を忘れて書かれた文章は、どうなるでしょう?
日本では、地震が起こってもビルが倒壊しないように、耐震基準を守る、という工夫をするのが常識です。
同様に、文章でも、「斜め読み」されても意図が伝わる工夫をしなければならないのです。
私は、そうした工夫のための様々なルールを「斜め読み耐性」と呼んで色々な講演などで紹介しています。いわば、耐震基準の文章版です。例えば、
■全文に目を通してもらえる、という甘い想定を捨てる。
■文章量を可能な限り少なくする。
■重要情報は目立つように強調して早めに提供する。
■ダラダラと長い文は短く切断する。
■重複部分を整理して文字数を減らす。
等々の配慮が必要です。全て文章の「ハードルを下げる」という狙いです。
斜め読みが常習化している社会で、文章をなるべく読んでもらうには、文章のハードルを下げるしかないからです。
もし、あなたの文章が、よく誤解されたり、ちゃんと伝わらないとしたら、その理由は、読み手の「斜め読み」を全く想定していなかったからではないでしょうか?
【次回へ続く】