「すごーい」って言われたい。

正直、少年時代の私自身の「行動の動機」は、それが大きかったように思います。

 

誰かに認めてほしいから頑張る、

それは、社会的動機(social motivation)、といいます。

「お兄ちゃんより絵を上手く描いてママに褒めてほしい」とか、

あるいは「お友達と一緒に遊びたいから幼稚園に行く」ということも、

行動の動機、モチベーション、になります。

 

自閉症の子どもさんの多くは、社会的動機が弱いと言われます*1*2

(自閉症児の中には、社会的動機が非常に強い子もいます*1)。

シャツが後ろ前でも、気にならなかったり、

それよりも、自分の好きなミニカーを並べていたいと思うかもしれません。

社会的動機が弱い人は、しばしば、

自分が興味のない、または重要でないと思う作業を完了しないことを選択します。

(たとえば、ひげを剃らない、学校の課題を終わらせない、ということです)*2

 

社会的動機が弱い子どもたちの学習のために、

TEACCHは、「構造化された教育(Structured teaching)」を提案しています*3

*3の、Hume先生のPDFファイル、2ページ目をご覧ください。

「ピラミッド」の図が描かれています。

3段目の「Work Systems(作業システム)」について、ごく簡単にまとめます。

 

作業システムは、自閉症の生徒が教室に到着したときに何が期待されているかについて、

以下4つの情報を、一気に視覚的に提供します。

 

1.生徒が行うことになっている作業と手順。

2.完了すべき作業/ステップの数。

3.生徒は自分が終了したことをどのようにして知るか。

4.生徒は、終わった後、何をすべきか。

 

    (参考 *4 より転載

(Hume先生のPDFファイルの4ページ以降の3枚の写真を参照いただくのもいいと思います)

 

 

作業システムは、見通しを与えることで、学習の動機づけを高めようとするものです。

その子の、もともと弱かった「社会的動機」を、高めようと意図するものではありません。

 

このような作業システムをただ作ればいい、というのではきっとなくて、

個々のお子さんの特性を理解して、個々に合ったシステムを作ること、

どうして作業システムが有効なのか、その理由を知っておくこと、

そのほうが大切なのだろうと思います。

 

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*1 

 

*2

 

 

*3 

https://www.iidc.indiana.edu/doc/resources/structured-teaching-strategies-work-systems.pdf

 

*4