先月の稲生座でのLIVEにお越し頂きました皆様、本当に有り難うございました。
LIVE後記を書こうと思っても、スマホでチョイチョイと書いてUP出来るような心境ではなく…
やっとパソコンの前に座ることが出来たので、「愚弁」さんのこと、書こうと思います。
「愚弁」谷口カズヒト(うた.からだ)・ 狩俣道夫(Fl.Ss.Vo)
7月に初めてご一緒させて頂き、その緊張感あるステージに度肝を抜かれ、惚れ込んで頼み込んで稲生座での共演が叶ったのは10月18日の事。
もう20日も経つ。
20日間の間、ずっとこのLIVEの事を考えていた。
余韻…というのも簡単すぎるな。
なんというか、何度も夢に見るような…そんな感じ。
素晴らしいステージを本当に有り難うございました。
谷口さんの鍛え上げられた身体を見れば、その鍛錬の厳しさは手に取る様に分かる。
この表現をステージに上げるために、どれほどの努力をされたのか、考えただけで目頭が熱くなる。
踊りと歌、台本1冊分の長い台詞を独白の形で演じ、物語を紡いでいくのだが、この物語がまたとてつもなく哀しい。
泣けてくるよ…
そこにふわっと風が吹いてきた…と思えば、それは狩俣さんのフルートだ。
包み込むような優しい春風も、荒れ狂う嵐の暴風も、狩俣さんはいとも簡単に表現する。
語りも見事だ。闇から現れ出た水先案内人のごとく、低く太い声は水面を静かにすべっていく。
充満する死の香りの中で、突如スパークする生のエネルギー、それは狩俣さんのサックスだ。
嗚呼…ここでまた泣けてくる…
不思議なのは、完全に二人の世界がクロスする瞬間が確かにあるのに、二つの魂のそれぞれ違う物語を同時進行で見ているような不思議な時空間を感じたことだ。
私は、二人が闇の底に沈んで行って見えなくなってしまうのではないか…と、心底心配になった。
とても声なんかかけられない。
とにかく息を殺して見入ってしまう愚弁のステージ。
観ている間、私はなにか繭のようなものに包まれていたような気もする…
そうそう。
昔、子供の頃見た夢を突如思い出したのだ、この日。
LIVEに「二日月夜ノ宴」とタイトルをつけたこの夜は、まさに二日月。
しかしあいにくの曇り空で、糸の様に細い月は見ることが出来なかった。
チラシに使った二日月の写真を眺めていると、松が谷口さん、月が狩俣さんに見えてきた。
LIVE後記はいろいろ書いても伝わらないなあ…と、今回心底思いました。
愚弁さん、まだ観てない方は、是非体験して頂きたいです。
最後に、踊りの方をお迎えするにあたって、会場作り等諸々に全面協力して下さった稲生座さんに感謝いたします。
皆様、有り難うございました。