残酷な真実が人の心に響く | キジバトのさえずり(鳩に執着する男の語り)

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・『ガルパン』仕様の八九式中戦車が送られてきた。うれしい。

・2週間くらい今期のアニメを見ていなかったので20話近くたまっていたものを一挙に見る。脳が悲鳴を……。

・昨日は池袋のジュンク堂書店に行く。『上海海軍特別陸戦隊写真集』(吉川和篤)と『機動戦士ガンダム U.C.HARD GRAPH 鉄の駻馬』(2巻)(夏元雅人)の2冊を買う。写真集の方は、ぱらぱらとページをめくっていたら、25ページに軍用鳩の写真が載っていたので、義務買いする。ガンダムの漫画はお布施として購入する。写真集も漫画もあまりほしくはなかったのだが、何せ、軍用鳩とガンダムときたもんだ。軍用鳩は研究テーマだし、ガンダムは宗教になっている。買わなきゃならない。しかし、そうは言っても、ガンダムの漫画はつらい。どれもこれもクソ漫画ばっかり。藤本家には、ほとんどのガンダム漫画が全巻そろっているが、一つとして面白いものはない(『サイバーコミックス』も全冊持っている。分かっているガンダムファンであれば、これで俺の本気度が分かるだろう)。何でつまらないのか、いろいろと理由はあるのだが、2点に絞り込むとすれば、1・ミリタリー知識の欠落、2・情緒的過ぎること、だと思う。

 自分の所属する部隊の名や部隊規模(小隊・中隊・大隊とか)を敵に堂々と名乗っちゃったり、死を見慣れている兵隊が個人の死にいちいち嘆き悲しんだりする。あり得ない。普通は、〓〓部隊や〓〓隊と称してその戦力を明かさないし、その指揮官も〓〓部隊長とか〓〓隊長と呼称する。第2師団だの第8中隊だのと、それらしい名前を出せばリアリティーが増すとでも思っているのだろうか。変にミリタリーチックな雰囲気を出そうとして失敗している。かえって、リアリティーを損なっている。日本軍が敵の戦力をあなどって、寡少な部隊をガダルカナルに送り込んで、こっぴどくやられているが、これって、敵の兵力が分からないから生じていること。ガンダムの漫画みたいに、敵の指揮官がさっそうと現れて、自分の所属部隊名・部隊規模・役職・名前を明かしてくれたら、日本軍はガダルカナルで失敗しなかったかもな(笑)。情報の秘匿について、もうちょっと丁寧に扱ってほしい。兵隊の死についてもそう。戦場では人がどんどん死んでいくから、個々人の死にいちいち構っていられない。「へえ、あの野郎、死んじまったのか」と、うわさされるのがせいぜい。「日常の死」と「戦場の死」を混同している(その点、小林源文は一流。しみったれた描写が一切ない。本物の兵隊漫画を描いている)。戦場で人が死んだら、悲しみよりも怒りの方が強い。「ちくしょう、やりやがったな」とか言って、仲間の兵隊がちょっとムカッとしているくらいの描き方でちょうどよい。おいおい泣くような描写はやめてほしい。これはガンダムの漫画に限らないけど、アニメ・漫画・ゲーム・映画の表現は控え目な方がよい。俺は『石坂准尉の八年戦争』を情緒的にまとめてしまって後悔している。あの当時の俺は不誠実だった。結構、人間はドライである、という事実に目を背けていた。偽善は人の心に響かない。残酷な真実が人の心に響く。

・本を5冊購入。『エミュレータであらゆるゲームを無料プレーする!』(晋遊舎)、『なぜか「仕事が速い」人の習慣』(成美文庫)、『地球空洞説』(ボーダーランド文庫)、『指揮官の決断』(中経出版)、『元気が出るゲバラ語録』(リイド文庫)

・『たわいない会話集』に(七十)「怒りっぽい人たちの中にいる怒りっぽくない人」を追加。