和の四つの心 <愛の智慧> | 藤工房(和裁士うりぼーと店長かめさん)の徒然日記

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和装肌着メーカー安本武司商店の安本社長からあるコピーを頂きました。


これは、着付けの装道さんの発行している装道新聞でした。


山中会長は、


「きものの中には、愛・美・礼・和の四徳が宿っていて、

きものを装うことによって、愛・美・礼・和の精神が身にそなわる」


と説き、世界に着物の素晴らしさを伝えるべく活動をされていらっしゃいます。


頂いたコピーはこの山中会長率いる文化使節団の世界公演の様子をまとめたものでした。




<愛の智慧>


まず、「愛の智慧」をごらんにいれましょう。皆さん、これが「きもの」の原形です。

長さは約13m、幅約38cmの細長い布がどのようにして「きもの」になるかをお目にかけましょう。


ごらんのように、「きもの」は直線裁ちですから裁断には全く無駄がなく、一針一針に装う人への

愛の心をこめて、縫い上げますから「きもの」には愛の心がこもるのです。


この縫った糸を引き抜けば、たちまち、元の形に戻りますが、それは直線縫いだから可能なのです。


そこで「きもの」は、何度でも縫いなおすことができますから、柄や、寸法を変えて、親から子へ、

子から孫へと、受け継がれるのです。


しかも「きもの」は単に『もの』として受け継がれるのではなくその「きもの」を装っていた人の

愛の心が、次代へ受け継がれていくのです。そして「お守り」にもなるのです。


今、私が装っておりますこの「きもの」は、私の父が107年前、1900年に結婚のときに

作った「きもの」でございます。


これを装いますと私は父の愛と、また、私の体形に合わせて縫いなおしてくれた、母の愛に導かれ、

守られているという実感を持つことができます。そして何度でもリサイクルできるのです。これは、

「きもの」に込められた愛の智慧と申せましょう。


<帯結び(後姿)>

これは、帯の結びですが、これは飾りや、物入れでもありません。


結びとは、即ち宇宙に存在する、天と地、男と女、左と右、左脳と右脳、心と物など、

異なる二つの働きがあり、結合しますと、愛の心と、新しい価値を生み出すのです。


たとえば、点は上から光と熱と潤いを与え、地がそれを受けて生物が育つのです。


男性と女性が結ばれると、愛情が生れ、子供が生まれますが、「きもの」の帯結びは

一本の帯の左と右の両端を結ぶことで美を作り、周囲の人にまで感じよくありたいと願う、

愛の心を表現するのです。


このように、「きもの」には、愛の智慧が込められているのです。