玉名を発車した36ぷらす3は高瀬川橋梁を渡り、熊本方面へ向かいます。
しばらくすると客室乗務員の方から田原坂の戦いの案内があり、その直後田原坂駅を通過。
一部普通列車は通過することもある、鹿児島本線の中では比較的秘境駅っぽさを感じる駅です。
やがて高架に上がり、新幹線の線路と並走するようになると熊本です。
36ぷらす3赤の路最初の客扱い停車駅、熊本に到着です。
熊本に来るのはSL鬼滅の刃以来のことです。
すでに17分遅れていますが、さらにここで新幹線からの乗り換え客を待つべく通常より長く停車します。
せっかくなのでその間に36ぷらす3を撮影。
ちょうど三角線のキハ47が入ってきました。
停車ホームに戻る途中、こんな看板を発見。
36ぷらす3は日曜日に門司港を経由する影響で毎週編成向きが逆転するので注意が必要なのです。
(特に海側の個室・座席を狙う方はお気をつけください)
この日は1号車が鹿児島中央向きの編成向きAでした。
改めて私が乗っている3号車のロゴを撮影。
つばめ時代を踏襲した、点で書かれた号車表示と4色ライン。
そしてなんといってもナイフとフォークの食堂車マークが誇らしげです!
車番もサロシ786-363 と食堂車を表す「シ」が付いているのが特徴です。
ちなみにつばめ時代は「サハシ787-2」とやはり「シ」が付いており、その後「サハ787-202」を経て今の車番になったようです。
自席に戻るとすでに食事の準備がされていました。
36ぷらす3赤の路最大の目玉、鮨コースの始まりです!
こちらが鮨コースのメニュー。
お寿司を提供するお店は「鮨 仙八」というお店。
熊本市花畑町にあるお店でなんと2018年のミシュラン2つ星を獲得した名店なのです。
そんなお店の大将自らが列車内に来て握ってもらえるなんて…!
さらに、にぎりはその日おすすめのものがネタとなるため毎回異なるとか。
こだわりを感じますね。
※鮨プランは3号車2人用個室のみの提供です
お寿司への期待を高めつつ、熊本駅を発車です!
発車するとすぐ事前に聞かれていたドリンクが運ばれてきました。
お酒は苦手なので柑橘ジュースを。
このコースターもコップも特別仕様です。
その間に列車は熊本車両センターを通過。
本日は運転のない「かわせみ やませみ・いさぶろうしんぺい」や「あそぼーい!」、
試運転で来たと思われる「イカ釣り漁船」こと821系も停泊していました。
ダイヤ改正後は定期で乗り入れるのでしょうか…?
遠くには「シーサイドライナー」で使われたキハ66 3番ユニットが疎開留置中。
熊本にいるのはなかなかの違和感です(笑)
さて、そろそろ最初のお料理が運ばれるころ…
ちなみに食事の時間帯はビュッフェとマルチカーへ行く用事を除いて車内を移動しないようお願いする車内放送が事前に流れていました。
ゆったり食事を楽しんでほしいという配慮なのでしょうね。その効果もあって食事中に他の座席の方から覗き見られる、なんてことはありませんでした。
最初に運ばれてきたのはお通しの「お出汁の中にシャリ玉を入れたお椀」。
竹でできた容器の中にお出汁とシャリ玉が。
お寿司のシャリをこのような形で味わうのは初めてですね。
続いてはおつまみ一品目「天草産 太刀魚とふきのとうの酢味噌和え」。
太刀魚と酢味噌の愛称が抜群です!
続いては「酒蒸しにした天草産 地牡蠣と菜の花、カリフラワーにあおさのジュレを添えて」。
あまり牡蠣を食べる機会は無いのですが、この牡蠣はとても柔らかくて食べやすかったです。
酸っぱいジュレのおかげでさっぱりと味わうことができました。
こちらは「白魚の玉締め 銀餡かけ」。
巾着のような生地の中に白魚が入っています。
今日は寒いので温かいものはありがたいですね。
ここまで出てきたところで列車は新八代を通過。
リレーつばめ時代のアプローチ線も見えました。
そして…
鹿児島本線の北の終点・八代に到着です。
運転停車のためドアは開きません。
この先路線は2004年3月12日までは鹿児島本線だった肥薩おれんじ鉄道線、そして人吉方面へ向かう肥薩線へと分かれます。
JR九州の列車はここで折り返すか肥薩線へと向かい、肥薩おれんじ鉄道線に入ることはありません。
でも…その例外がこの「36ぷらす3」、そして「ななつ星in九州」。
さらに、肥薩おれんじ鉄道は全線電化されているものの経費節減の観点から旅客列車はすべて気動車での運行となっています。
この36ぷらす3は肥薩おれんじ鉄道線を通る唯一の電車ということになります。
そんな例外づくしの36ぷらす3。わずかな停車の後、ついに肥薩おれんじ鉄道線へと足を踏み入れました!
八代を発車した列車は、まずは球磨川を渡ります。
2020年7月、この上流の人吉・球磨地方で氾濫が発生し、肥薩線が甚大な被害を受けたことはまだ記憶に新しいですね…
復旧計画は未だ定まっておらず、その行く末は心配です…
八代駅に停車中、ついにメインのお寿司が運ばれてきました…!
右上にあるこの山形になっているのはおしぼり…ではなく「フィンガータオル」というもの。
指でお寿司をつかんで食べた後に指を拭くためのものだそうです。
初めて見ました(笑)
最初にやってきたのはサヨリとアオリイカ。※2人前。以下にぎりの写真はすべて2人前となります
アオリイカは10日間寝かせたものを包丁で叩いたもので、口の中に入れるとイカとは思えないほどふんわりととろけたのには驚きました…
手間ひまを感じさせるこのお寿司。私的には一番好みでした。
左のは忘れちゃいましたが、右はマダイだったと思います。
コハダとサワラ。
そして最後に現れたのが「JR九州ファームで採れたうちのたまごの卵焼き」とエビ。
こんなところにも現れるうちのたまご。さすがです(笑)
ちょっと天気が残念ですが、肥薩おれんじ鉄道線から見える海を見ながらのお寿司は最高です!
これが体験したくてこのプランを選んだ…その甲斐があるというものです。
(ちなみに個室向きを間違うと山側になってしまうのでご注意を。1号車が先頭のときは3号車2番D・4番D・6番Dが、6号車が先頭のときは3号車1番A・3番A・5番Aが海側となります)
お寿司を食べている間に列車は日奈久温泉で運転停車。
地元の方々の見送りを受け、すぐに発車です。
日奈久温泉より先では列車のすぐそばまで海が迫ります。
先ほどのお寿司と海の写真はこのあたりで撮影しました。
海から離れたところで列車は佐敷に停車。
ここも運転停車です。
2020年4・7~9月に放映されたアニメ「放課後ていぼう日誌」ではこの佐敷付近が舞台となっており、この佐敷駅や肥薩おれんじ鉄道の車両も劇中で登場しました。
できれば降りて聖地巡礼したいところですが…残念ながらドアは開かず、すぐの発車となります。
再びお料理の紹介に戻って、佐敷到着前に出てきたのはお口直しの「とこぶしのリゾット」。
らっきょうがアクセントです。
これは仙八では有名なメニューなのだとか…
そして、最後のメニューは、自分で巻く手巻き寿司…なのですが、作るのがちょっと難しいのか客室乗務員の方がまずはフェルト製の手巻き寿司でお手本を見せてくださいました。
わかりやすい…!
それによると、
1.まずお塩を適量振りかける
2.スポイトでオリーブオイルをかける
3.のりのご飯側の端を持って巻いていく
4.ご飯が見えなくなるところまで巻いたら、のりに付いている切れこみの部分でのりを切る
5.切ったのりを1/3ほど上にずらして巻いている方ののりの上に置く
6.のりを最後まで巻き、ずらしたのりを断面にかぶせて手に持って食べる
…だったと思います。
ということで満を持し登場したのが「熊本産ミックスリーフを使った手巻き寿司」。
塩とオリーブオイルをかけ、先程習ったとおりに巻いていきます。
できました!
自分で作ると美味しさも格別ですね。
最後にあがりのお茶を飲んで鮨コースはすべて終わりとなります。
食べる前は少ないのかな?と思いましたが、けっこうお腹いっぱいになりましたね。
できれば握るところを見たりとか、大将に直接ご挨拶をすることができたらさらに良かったと思います。
手巻き寿司を食べている間に列車は水俣・袋に停車。
この駅を過ぎると列車は鹿児島県に入ります。
袋から2駅、列車は出水に到着です。
ここで列車番号が9003Mから9005Mに変わるほか、乗務員の交代と仙八の大将の降車も行われます。
乗客は降りられませんが…
出水はツルが有名なのでホームにはツルのオブジェが。
14:00、列車は出水駅を発車しました。
ホームには肥薩おれんじ鉄道の社員の方が「おれんじ食堂もよろしくね」という横断幕を手にお見送り。
おれんじ食堂は肥薩おれんじ鉄道が誇るレストラン列車。
こちらもいつかは乗りたいものです。
それでは、次回は肥薩おれんじ鉄道線内の停車駅、牛ノ浜駅から終点・鹿児島中央駅までの様子をご紹介します。
次回
前回