こないだ、”自家焙煎の専門店”を名乗る いかにも素人臭い店主の店で『こいつは偽者なんじゃないか?』と疑惑を感じたのだけど

 

 

それ以外の専門店に行ったことがなく 比較のしようがなかったので ”こだわり”を持ってやっているであろう珈琲店に行ってみました。

 

 

 

 

 

実は、私が去年まで借りていたテナントの目と鼻の先に ”バリスタチャンピオン”のお店があったにもかかわらず

移転までの8年間 一度も行ったことがなかったのだ。

 

 

 

 

喫茶店は世の中履いて捨てるほどあるけど ”憩いの場を提供する”というスタンスの店の方がおそらく多く 

 

訪れる客の目的も そちらの方がコーヒーの味よりも比重が高いのではないだろうか? 

 

 

 

 

今回は職人への取材が目的なのと 最高峰のコーヒーをさほど変わらない料金でいただけるということで バリスタのお店に伺った。

 

 

 

マスクなしで普通に入店すると 作業場が良く見えるカウンターに座らせてもらう。

 

 

 

 

あいにく バリスタチャンピオンのオーナーは不在だったけど それなりの職人を立たせているのは間違いないので全然構わないし 

 

自分の舌もそれを受け入れるだけのベースはまだない

 

 

 

 

朝一で行ったので コーヒーの価格でトーストとスクランブルエッグの付いたモーニングになるところ 

 

いつも朝昼は食べないのと コーヒーに集中したいので遠慮した。

 

 

 

 

画像はないのだけど 目の前には4台ほどのサイフォンをしつらえており 直火ではなく水分だけに反応するであろう光を当てる装置でお湯を沸かしている。

 

 

(画像検索より引用)

 

 

濃いめが好きな私は エスプレッソにしようか サイフォン形式でコクのあるおススメコーヒーにしようか迷ったので

どちらがおススメか聞いたところ

 

 

聞き方が悪かったのか エスプレッソは濃過ぎて飲めないくらいとのことだけど エスプレッソで抽出してから薄めるのでもよかったのだ。

 

 

ただ、せっかくなので普段飲まない サイフォン形式の方にした。

 

 

 

前回のインチキ臭い店は 自宅で淹れるようなペーパードリップだったので 『サイフォンとドリップはどう違うのか?』と聞くと

 

 

 

 

『ドリップよりもサイフォンの方が 味がクリア』という。

 

 

 

抽出法の用語にも触れていただいたが 影響するのはWikipediaにあるような”ブレのない安定性”や”濃く淹れられる”ことよりも

 

 

私が昔から嫌っていた 自宅のドリップコーヒーで受けてしまう”やかんの金属味 と フィルターの紙臭さ”ではないか? と、ここでも思わされた。

 

 

 

 

サイフォンは”金属”も”紙”も どちらにも触れていないから雑味が出ないのだろう。

 

 

ただ、使用が手軽ではないので一般家庭で使われることは少ないが 少なくとも

 

 

こだわった豆で お客においしいコーヒーを出そうと思うなら 

 

 

サイフォンの方が優れていることは 間違いないことが容易に伺える。

 

 

 

 

 

前回の やかんで沸かした湯で サラっとペーパーフィルターを使って出したドリップコーヒー¥420に対し

 

美味しく淹れる一連の作法をこなす 職人の入れたコーヒーが¥550。

 

 

 

寿司の世界なら 5~10倍は価格に差の付くところが これほど安価で味わえるのは 

こちらが良心的でもあり 前回がぼったくりでもある。

 

 

 

 

(”スタバ”でコーヒーをオーダーすると ドリップコーヒーになるのだが 

 

おそらく職人ではなくバイト集団なのと 回転率に対する効率や 取り扱いの難易度からは当然の選択で 

 

客層のレベルを考えると ドリップ以上の味は求められてすらいないのだろうと思われる。

 

 

コンビニのマシンの方がどう考えてもクオリティは高いし美味いが ボタンをピッと押すだけよりも 演出としてドリップの方が満足するのだろう。

 

 

 

 

 

ひと口目は熱すぎて味が分からなかったのと 自分が入れるのに比べて一般向けで薄めだったので 最初は物足らなさを感じたけど

 

 

次第に『豆そのもののポテンシャル』が違うのか ということと サイフォンの”クリアな味わい”に 普段の自分好みのコーヒーとはまた違った良さを感じた。

 

 

 

前回の自称自家焙煎は 本当に何も感じない”虚無のコーヒー”だった。

(むしろ、¥420で不味いので 虚無というか怒りが沸く)

 

 

 

 

その美味さを納得したあたりで 職人が手が詰まっていないのを見計らって

 

『実は、、、』と ここへ来た理由を話し始めた。

 

 

 

 

 

職人は、やはり最初は近隣の店に遠慮して無難な返答をされたのと 私の勘違いな発言に角が立たないよう気を遣ってくれたのだと思うのだけど

 

 

前回書いたような”手焙煎”という 一人一人の好みに合わせてその場でフライパンで煎る方法を

 

 

 

『自分たちは ”煎りたては美味くない”ので出さない』

 

 

と驚くような評価をされた。

 

 

 

 

 

どうやら、煎りたての豆は中にガスを含んでおり 

それは”辛み”として 舌を刺すような刺激になってしまうので 2日ほどは寝かしてから使うらしく

 

それと並行して ”コク”にあたる豆の油分も出てくるという。

 

 

 

 

『職人としてそれを美味しいと思って提供するのは否定しないけど 自分は美味しいとは思えない』

 

とハッキリ言われた。

 

 

 

 

そういえば 私が座ったカウンターの斜め前くらいに 透明の箱に入ったコーヒー豆があり 私のオーダーしたコーヒーはそこから取り出して淹れたもので

 

あたかも、いつからそこにあるのか分らない駄菓子屋の菓子箱のようで 

 

煎って入れ替えたのは昨日なのか? 一週間前なのか? それともひと月経っているのかすら分からない。

 

 

 

 

 

ミルで挽いたものは直ぐに使う必要があるけど 豆粒の状態なら”その程度の扱い”でも差し支えなく

 

 

素人はそんなことすらも知らずに 自家焙煎という言葉に釣られて店を選別しているのだ。

 

 

 

 

彼らのお店は豆の販売もしていて もちろん”自家焙煎”も行っているけど

 

”それぞれの豆の良さを引き出すのに最適な焙煎”が目的であるとリーフレットには書かれていた。

 

 

 

 

 

どうだろうか?  

 

 

 

これを読んだだけでは 実際の味の違いは伝わらないと思うけど

 

謳い文句としての”自家焙煎”が 消費者にとってどれほど満足度を左右するものなのか冷静に味わってみるのは面白いと思う。

 

 

 

ちなみに 

 

 

 

 

丁度一年前、話題に出した 去年のファミマコーヒーの謳い文句

 

『本当に旨いコーヒーは 甘い』から

 

 

今年は 『絶世の香り』 になっていた。

 

 

 

 

果たして コーヒー豆のブレンドそのものは変わってるのだろうか?

 

 

 

去年と変わっていないのであれば 去年も『絶世の香り』で

 

今年も『本当に旨いコーヒーは 甘い』でもいいはずだ。

 

 

 

 

こだわりのない大衆にとって中身はどうでも良く 

 

謳い文句さえ変えれば スルスルと買っていくのだろう。無気力