汗疱性湿疹(汗疱)は異汗性湿疹ともよばれ、

手足に汗をかきやすい体質の人に多く、季節の変わり目などに手足の皮膚に汗が溜まり直径1~2㎜の小水疱ができる。

 

何らかの原因で汗を出す穴が詰まり、溜まった汗によりアレルギー反応が生じるなど、汗が間接的に影響を及ぼしていると考えられている。

 

無症状のこともあるが、

赤くなって強い痒みを伴う場合や痛みを伴うこともあり、多くは原因不明であることが多いが全身性接触皮膚炎による場合も指摘されている。

 

 

この全身性接触皮膚炎とは、極々簡単に云えばアレルギーによる皮膚炎といえるだろう。

この皮膚炎の症状として一番多いものが汗疱性湿疹であるが、発熱、全身倦怠感、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢などの全身症状も伴いうるとされている。

 

この全身性接触皮膚炎を起こしうるアレルゲンとして、ネオマイシン、クロマイシン、消毒剤などの医薬品。

ペルーバルサムなどの香料や化粧品。

金属などがあり、最も頻度の多いものは金属であると考えられている。

 

金属は食物や歯科金属中に含まれるため、一定程度の金属吸収により全身性接触皮膚炎を引き起こすことが考えられている。

 

当然、アレルギー症状が起きていればパッチテスト陽性になると思うかもしれないが、意図的に金属を摂取させて皮疹を誘発させても、パッチテストが陰性になることも少なからずあるようだ。

 

何でもそうだが陰性だから100%大丈夫と安心することはできない。

 

日本皮膚免疫・アレルギー学会によるパッチテスト陽性率、2016年上位アレルゲン集計では、ニッケル24.8%、金23.2%、コバルト7.9%、水銀5.3%、クロム2.3%と5つの金属が占めている。

 

近年のニッケル、コバルトの陽性率上昇は女性に著名であり、特にピアスがニッケル感作の原因となることが多いと指摘されている。

 

ニッケル、コバルト、クロムなどの金属は、

チョコレート、ココア、豆類、香辛料、貝類、胚芽などの食物に多く含まれる。

 

一方、歯科金属では、パラジウム、金、水銀、錫などを含有していることが多く、ときにニッケル、クロム、コバルトなども含んでいるという。

 

パラジウムはニッケルと交叉反応を起こすことが知られており、重要なアレルゲン金属である。

 

この交叉反応という言葉。

身近なものとして、スギ花粉にアレルギーがある人が、スギ花粉と構造が似ているカバノキ科のシラカンバやハンノキ花粉に対してアレルギー反応を起こし、やがてバラ科(リンゴ、桃など)の植物にも反応してしまうことである。

花粉症の人で

リンゴや桃、サクランボにアレルギーがある方がいますね?

 

イネ科やキク科の花粉はメロンやスイカなどのウリ科。

キク科花粉はセロリやニンジンなどのセリ科のものと交叉反応を起こす。

 

まだまだ認知されることは少ないが、口の中の金属が全身的な影響を及ぼすことがあり、口の中金属が電流を発生して引き起こす慢性的な頭痛もその1つである。

 

電流?と思うかもしれないが、

 

金属製のスプーンやアルミ箔を噛むことで体験することができる。

 

ピリッとした嫌な感覚が得られるだろう。これについてはまた別の機会に紹介したい。

 

話を戻すが、このように金属は様々な経路から吸収(皮膚、粘膜、腸、気道から)されており、【汗】、乳汁、涙、尿、糞便中に排泄されている。

 

汗として体外に金属を排出しても、汗を洗い流さなければ、また皮膚から吸収されることは容易に想像できるだろう。

 

汗疱性湿疹の治療だが、保湿や抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬などの薬物療法が行われるが、アレルゲンとなる金属が明確な場合、食品中の金属摂取を制限するという食事療法が行われる場合もある。

 

しかし、厳格な金属制限食は微量元素欠乏症をきたすことがあるため、素人が安易に取り組むことではないだろう。

 

さて、この汗疱性湿疹であるが、

東洋医学では汗が上手く排泄できず、肌が蒸されて生じるものと考える。(※これだけに限らない)

 

【蒸す】という言葉からは【熱】と【水】をイメージすることができるが、おおまかに漢方薬や鍼灸ではこの熱や水に対しての処置を目標とする。

 

そこで、一口に【熱】といっても、旺盛な熱(実熱)不振な熱(虚熱)が存在する為、この【熱】だけを考えても治療方法は異なっていく。

 

汗疱性湿疹は手足に現れる特性上、この熱の多くは【不振な熱】に当てはまることが多いのかもしれない。

 

このように、

漢方薬や鍼灸による汗疱性湿疹の治療は十分可能である。

 

 

このほか、

水500mlに食塩5gを入れたものに5分程つけおくセルフケア方法も。

 

 

からだのことでお悩みの症状は、

 

札幌市豊平区豊平

 

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参考資料

高山かおる,片山一朗 他(2018).「手湿疹診療ガイドライン」日本皮膚科学会誌.vol.128,3.pp367-386.

足立厚子(2020).「金属アレルギーの対処法~全身型金属アレルギーを中心に~」アレルギー.vol.69,3.169-173.

食物アレルギー研究会HP.閲覧日2021年11月22日.

埼玉県皮膚科医会HP.閲覧日2021年11月22日.