ぼくの母方の曾祖母は、明治元年生まれで、祖父母の介護を受けながらこの家に住み、95歳の天寿を全うしました。医療の進んでいなかった時代、白内障で眼が見えなくなっていましたが、身の回りのことは全部自分でし、ぼくが生まれた時は「自分のように長生きするように・・・」と、布団や着物を縫ってくれたそうです。
当時ぼくはまだ他の所に住んでいて、よく遊びに来ていました。居場所だった日当たりの良い部屋の一角に正座して、自分の時を静かに過ごしていた姿が目に浮かびます。“凜”とした、立派な姿だったという記憶が強く残っています。
ぼくも、子供や孫に(願わくはひ孫にも)、「立派だった」と言ってもらえるような“老いの姿”を示したいものです。