眠れぬ夜に思うこと | 白血病のらりくらり ~余命ゼロからのピースフル❤ライフ~ 

白血病のらりくらり ~余命ゼロからのピースフル❤ライフ~ 

20代MDS → 骨髄移植、30代急性骨髄性白血病 → 臍帯血移植、40代になった現在、再々発 → 宣告された余命がとうとう切れました(笑)。無治療でふつうに暮らしていましたが、2019年4月よりいよいよ末期の日々。命が尽きるまで、在宅でのらくらいきます。

Ⅰ 無菌室の思い出

 

その頃、ユッコは28歳で

私と同い歳で

 

無菌病棟の中の

私の隣の病室で

3度目の臍帯血移植を待っていた

 

移植をしても移植をしても

生着しない細胞

 

ユッコの髪は抜け

肌は薬の副作用で

黒と白のまだらになって剥がれ落ち

腕も首も 注射やカテーテルの入れ直しで

硬くなって内出血していた

 

トイレや洗面所で

骨と皮ばかりになったユッコに出くわすたび

私はうつむき 思ったものだった

 

なんてこと

先生なんとかしてあげて

あまりにもひどすぎるよ

 

でもああ あれが

わたしじゃなくて よかった

 

あの時 自分の中から自然と湧きあがった

どす黒い安堵感

 

 

あの気持ちを15年経った今も憶えている

 

 

わたしじゃなくて よかった

 

 

15年 私はそれを恥じてきた

あの世で顔向け できないと思った

 

 

今 私はあの頃のユッコと

同じ体をし 同じ目をしている

 

深く穏やかな あきらめとかなしみ

 

やっとあなたの気持ちが

わかったよ

 

もう恥じることはない

 

計りしれない大きな力が

わたしをずっと苛んできた

大きな罪から救ってくれた

 

あなたの場所へ 下りたことで

 

やっとこれで再会できる

 

あの頃 夜中に啜り泣いているあなたに

声をかけることも 手を握ることもできなかった

 

あの声が 私の中に響いてる

 

傷だらけになった体を脱ぎ

とうめいな ひかりになって

さあ あなたのいる場所へ行こう

 

 

 

 

Ⅱ 帰宅

 

伯母ちゃんはいつも

 「さあ帰ろ」と言ってからが長い

 

「帰ろ」と言って立ち上がり

死んだダンナの話をし忘れたことを思い出し

話し始めて また座る

 

30分くらいして

また帰ることに決め 

バッグを持って 玄関まで行ったはいいが

 

昨日聞いたキムラさんの嫁姑問題が頭をよぎり 

バッグを置いて もう30分

やっと息が切れて 「はいじゃさよなら」と

自転車に乗って 去っていった

 

さいしょに「帰る」と言ってから

ほんとに帰るまでに小一時間

 

いつもやきもきしていたが

 

私もさすがこの人の姪

最初に「還るわ」と言って15年

しぶとくくだらぬ話を ばらまいてきた

 

「あら いつのまにかのんびりしちゃったわ」

 

遠くで 正午を告げるサイレンが聞こえる

ここで還らなくては 午後になってしまう

 

私の家は 大地だったか 天空だったか

でかけて見れば 思い出すだろう

 

自転車にまたがり バッグを持って

出てきた場所に 戻るのだ

 

 

 

 

 

Ⅲ 

 

肌が治ったらお風呂に入ろう

湯船にたっぷりの お湯をはって

ユーカリの香りの 入浴剤を入れて

手足を伸ばして

骨の髄まで あたたまる

 

 

足が治ったら 

歩いてセブンへ コーヒーを買いに行こう

早く起きて 会社に行く人たちの列にまじって

カフェラテのLを注文し

ちょこちょこ飲みながら 公園まで行って

木の下のベンチで 最後の泡まで

ずずずと飲み干す

 

 

病気が治ったら

もういちど 前の施設でバイトをしよう

あっちゃん やまぐちくん 恵子さん

おはようと言って 入って行ったら

きっとみんな走ってきて 体当たりで抱きしめてきて

おかえりといって 歓迎してくれる

 

みんなの好きな チョコのアイスを

両手いっぱいに抱えて

英雄気取りで配りまくる

 

 

叶わないと分かっていても

望みは何度も 深夜のベッドを訪れる

 

そのたくましい 無知の力で

今をまた 生きていくんだ

 

 

 

 

当時ユッコ(仮名)がよく聴いてたCD。中島みゆき「転生」

この中の「命のリレー」をリピしていました。

 

 

 

ここ数日40度前後の高熱が続き、T病院から急遽、

近くのがんセンター(緩和ケアの予約を入れてあるところ)の

血液内科に紹介状を書き変えてもらい、転院しました。

 

紹介状のデータと、私の今の状況を見て、の見解は

 

 

「これからなにか治療をして、体調を立て直して元気になる、

という方法は現実的ではない

のだそうです。(笑)

 

もうなすすべがないんだなーというのが、その言葉の節々から

わかりました。

 

皮膚はGVHDで、入院治療もできるそうですが、

GVを免疫抑制剤で押さえると、一気に白血病がすすむ可能性があるらしく

保湿のみの処置になるそうです。

 

「やってもなあ・・・、治るわけじゃないからなあ・・・」

とすごく親切な今度の主治医が、

やりきれないといった表情で呟いてくれました。

 

今夜もまだまだ掻いています。

 

書くことで気がまぎれて良かったです。ヽ(^o^)丿

 

 

いつもたくさんのご訪問&いいね

(メッセージなどなど)を

ありがとうございます!

 

今日も良い一日でありますよう♪

ヽ(^o^)丿