シリコンインプラントによる再建と自家組織による再建④ 〜再建後のケアって❓〜 | 乳がん症例数日本一 がん研有明病院 乳房再建外科医のブログ

シリコンインプラントによる再建と自家組織による再建④ 〜再建後のケアって❓〜

再建方法ごとのメリットデメリットは以下の通り。


①シリコン
入院期間:3泊4日
手術時間:2~3時間+麻酔時間の1時間
術後安静:術当日
次回外来:手術一週間後


メリット
身体を傷付けずに乳房を作る事ができる
短時間で手術が終わり身体の負担が少ない
手術の次の日には自由に歩け、その次の日に退院できるため拘束期間が短い

デメリット
人工物であるため感染のリスクが伴う
違和感を感じる人がいる
再建乳房が冷たく感じる方がいる
再建乳房が動かない、ゆれない
下垂感は出せない
上胸部の陥凹は残ったまま



②自家組織(腹部の穿通枝皮弁の場合)
入院期間:約2週間(最短で8日で帰られた方がいます)
手術時間:10時間
術後安静:術後3日ベッド上安静、その後トイレ歩行、車椅子、歩行器の期間を経て、一週間程度で独歩
次回外来:退院後1週間(術後3週間)


メリット
自分の身体の一部が乳房になる(人工物を用いない)
下垂感が出せる
感染の心配が殆どない
腹部の脂肪を取るため身体が細くなる
温かい
揺れる


デメリット
手術時間が長く身体の負担が大きい
入院期間が長く仕事をしている人はなかなか時間が作れない
腹部に大きな傷ができる


というのが前提ですが、実際に良くある質問などを挙げてみます。



Q1.シリコンって10年で入れ替えなきゃいけないんですか?

A.1990年代に今のシリコンの基礎となる第五世代のシリコンインプラントができ、現在乳房再建に使用されているアラガン社のシリコン、ナトレル410も同様に第五世代のシリコンにあたります。この世代のシリコンができて20年以上経ちますが、その期間を経ても破損していない例も多くあり、必ず入れ替えなければならないと思ってらっしゃる方が多いですが、そのような決まりはありません。ただ破損した場合は比較的早期に入れ替えが推奨されます。



Q2.壊れるんですか?

A.人工物なので破損する可能性があります。胸の形をしていたシリコンインプラントが突然変形したり、感触が急激に変わったら破損を疑います。



Q3.壊れたかどうかってどうやって分かるんですか?

A.まずはエコーで破損している可能性のある部分を大まかにチェックします。エコー上で破損が見つかったらより詳しく調べるためにMRIで評価します。MRIであればほぼ確実に破損の有無を判断できます。しかし、特殊な撮り方をしなければならないので、専門施設でないと撮影は困難です。MRIの技師さんの腕と知識が大切です。



Q4.どんな時に壊れるんですか?

A.交通事故などで強い衝撃を受けたりすると破損する可能性がありますが、耐久テストを行っているため、普通に生活している範囲でいきなり破損する事は稀です。修正などの追加手術で医原性に破損する場合もあります。



Q5.マッサージってしなきゃいけないんですか?

A.乳房再建用シリコンを扱っているアラガン社はマッサージは必要ない素材で作っているとの意見ですが、マッサージすることで拘縮が和らいだりする患者さんがいるのは事実です。担当するドクターの方針にもよりますので主治医にご相談下さい。がん研ではマッサージ推奨しています。


シリコンインプラントで実際によく出る質問でした。
次回は自家組織の質問に触れてみます。