ヤマ:アート・ファーマー | かえるの音楽堂

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70年~80年のCROSSOVER(FUSION)とJAZZを中心にAORか
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YAMA : ART FARMER

(1979年)

ハード・バップのトランぺッターとして活躍したアート・ファーマーは、1977年にクリード・テイラーのCTIレコードと契約しました。同年に初のフュージョン作品となる“CRAWL SPACE(クロール・スペース)”を録音しました。翌年には旧知の仲のギタリスト、ジム・ホールとの双頭作品となる“BIG BLUES (ビッグ・ブルース)”を録音しました。この作品はアート・ファーマーの“官能的”とも言える美しいフューゲル・ホーンの音色と、それを背後から控えめに支えるのジム・ホールのプレイが素晴らしいジャズの作品でした。今回紹介するアルバムでは同じくハード・バップのサックス奏者ジョー・ヘンダーソンを迎えフュージョンを演奏しています。元々フュージョンはモダン・ジャズが時代に合わせて進化してきたものですから、彼らにとってはこの時代の流れとして制作されたものだったのでしょうね。アルバム・ジャケットのにはART FARMER WITH JOE HENNDERSONと記載されており、アートのリーダー作というよりアートとジョーの双頭作品とも言えます。プロデュースは“BIG BLUES (ビッグ・ブルース)”ではヴィブラフォンで参加していたマイク・マイニエリが担当しています。全5曲すべてカヴァーでビージーズ、ウェザー・リポートの曲などちょっと意外な選曲でした。参加メンバーはドン・グロルニック、ウォーレン・バーンハート、フレッド・ハーシュ(keyb)、マイク・マイニエリ(vibessynth)、ウィル・リー(el-b)、エディ・ゴメス(ac-b)、スティーヴ・ガッド(ds)、サミー・フィゲロア(perc)、デヴィッド・スピノザ、ジョン・トロペイ(g)、スザンヌ・チアーニ(synth Programming)とマイク・マイニエリ人脈です。

 

1.Dulzura(ダルズーラ)

2.Stop (Think Again)(ストップ)

3.Young And Fine(ヤング・アンド・ファイン)

4.Lotus Blossom(ロータス・ブロッサム)

5.Blue Montreux(ブルー・モントルー)

 

1曲目「Dulzura」はクレア・フィッシャー作曲のザ・ジャズ・クルセイダースの曲で軽快な演奏です。2曲目「Stop (Think Again)」はギブ兄弟作のビージーズの曲は一転スローテンポな演奏です。アートのフリューゲル・ホーンに続くジョーのテナーが聴きどころです。マイクのヴィブラフォンもいい味を出しています。3曲目「Young And Fine」はジョー・ザビヌル作のウェザー・リポートの曲です。ミディアム・テンポで演奏されます。ここではジョーのテナーがとても味わいがあります。4曲目「Lotus Blossom」はドン・グロルニックの作品でデヴィッド・サンボーンのライヴ・アルバム“STRAIGHT TO THE HEART(ストレイト・トゥ・ザ・ハート)”にも収録されていました。サンボーンにかわってジョーが吹いています。5曲目「Blue Montreux」はマイク・マイニエリの曲です。実に格好いいこの曲のオリジナルは前年にモントルー・ジャズ・フェスティバルで“アリスタ・オールスターズ”により演奏されました。この時の記録はライヴ盤“Blue Montreux(ブルー・モントルー)”に収録されています。“Blue Montreux(ブルー・モントルー)”ではトランペットがランディ・ブレッカー、テナーがマイケル・ブレッカーでしたので聴き比べてみるのも面白いですね。こころで79年にはこのアルバムに参加したマイク・マイニエリ、ドン・グロルニック、エディ・ゴメス、スティーヴ・ガッドの4人にマイケル・ブレッカーを加えたメンバーで“ステップス”を結成しました。また“ステップス”でも3曲目の“Young And Fine”を演奏しており、この当時すでに“ステップス”結成の思いが頭にあったのではないかとも思います。