ここ数日、暑い中でもいくらか過ごしやすくなってきています。

 

私は7月からの3カ月間は運動の予定を週2回しか入れていないので、それ以外の日は暑さのため、家に籠る日が続いていました。

 

今日はいくらか涼しいので、久しぶりにルイ君と一緒に竹下通りに行くことにしました。竹下通りにはまだ食べたことがない気になる食べ物があるので、ルイ君が喜ぶかなと思ったのです。

 

こんな長いポテトの揚げ物をゲット。

 

完食!私も少し齧らせてもらいました。ちょっと塩分が効き過ぎでしたが、揚げたポテトなら美味しいに決まってます。

 

これはジャガイモ一個を機械でクルクルとカットし、棒に挿して揚げているんです。

 

 

一番短い30cmの物を買いましたが600円でした。もっと長いものもありますが、並んで買う程売れていました。だってこの形を見たら、食べてみたくなりますよね。これを考えた人、偉い!

 

隣のお店ではいちご飴を売っていました。生の苺に飴をコーティングしています。ルイ君に少し味見させてもらったら、苺がとっても美味しかったです。これも600円でした。

 

ルイ君も楽しそうだったので、行って良かったです。

 

 

読書記録:「四文字の殺意」(夏木静子・作)

 

「ひめごと」「ほころび」「ぬれぎぬ」「うらぐち」「やぶへび」「あやまち」・・・4文字のタイトルの短編小説が入っていました。犯人を捜す、というより、小説を読むという気持ちで、各編を楽しみました。

 

夫婦間の愛情の有無が殺人に絡んでいる内容が多いなと思いながら、読んでいくうちに、私はあるご夫婦を思い出していました。


私は家のリフォームの会社に勤めていたので、いろいろなお客様に接する機会がありました。

 

ある時、ご主人から私の会社に外壁塗装の見積もり依頼があり、現場調査に伺いました。そこは呉服店と看板が出ている小さな戸建てのお家でした。かっては大きく商っていたそうですが、高齢になり、店じまいをして、当時は残りの和服などを小さく自宅で商っていらしたようです。

 

ご主人は60代、奥様の方が年上で70歳位だったと思います。一応正面はお店の形をしていたので、ガラリと引き戸をあけると、右側に応接セットが置いてありました。そこでご主人と対面したのですが、ハンサムで、姿勢の良い均整の取れた体つきで、和服も洋服も似合うような紳士でした。

 

物腰も上品で、営業の私を丁寧にもてなしながら、ご自分の希望を的確に述べられ、「値切らない代わりに、信頼できる仕事をしてほしい」というご希望でした。

 

ご主人が壁を背にして座り、私はその正面に座っていたのですが、私の後ろに女性が一人、小さな犬を抱いて立っていました。奥様です。

 

私はご主人とばかり話していては、と思い、体を捩じ曲げながら、奥様にも同調を求めるように話していたのですが、非常に不愛想な方でした。

 

度の強い眼鏡をかけ、歯は前歯が数本抜けているようで、下の歯が上の歯に被さっている受け口でした。背はA氏よりも高い位に見えましたが、棒のように細く、身だしなみも決していいとは言えませんでした。はっきり言って、不釣り合いなご夫婦に見えました。

 

しかも、ご主人には時々辛辣な言葉を投げかけます。何度か通っているうちに、「私はこの○○ちゃん(犬の名)だけ居たらいいんや。この人(主人)が死んでもなんとも思わんけど」などと口にされるのです。ご主人は聞こえてないふりをして、決してたしなめたりされませんが、間に入って私の方がオロオロしました。

 

結局塗装工事は受注できたので、完工まで何度か伺った記憶があります。

 

何年か経って、奥様から会社に電話がありました。工事の時に100万円のリフォームローンを組んでいたのです。それをご主人が亡くなったので、完済したいということでした。

 

驚いた私はお花を買って、ご自宅に伺いました。そして、お仏壇に手を合わせた後、リフォームローンには保険がついているので、書類を揃えて頂ければ残金の返済は不要になることを説明しました。

 

はっきり覚えていませんがローンは80万円くらい残っていたと思います。きっと喜んでいただけると思ったのに、それは不要だと言われて私はびっくりしました。

 

奥様は私にお茶を出しながら、昔の話を始めました。

 

もともと、奥様の方が呉服屋の娘で、ご主人はお店で働いていた入婿なんだそうです。とても容姿が良く、物腰も柔らかい使用人と、見かけはあまりパッとしないけれど呉服屋という資産家のお嬢さんの結婚。両方の要望が満たされたのではないかと思われます。

 

けれども、ご主人は結婚後、お店で働く女性と駆け落ちをしたのです。奥様の話によると、「名古屋に駆け落ちして、1ヶ月もするとお金が無くなり、お金が無くなると女にも逃げられ、結局、『お金を持って来てくれ』と連絡が来た」とのことです。

 

奥様は、幼児の手を引き、赤ちゃんを背中に背負い、寒い時期に夜汽車でお金を持って名古屋に向かったそうです。どんなに辛かったでしょうね。胸が痛みました。

 

今なら即離婚でしょうが、私より一廻り上の世代なので、離婚するよりは耐えるべき、という考えが強かった時代だったのでしょう。

 

しかし、それはもう40年近く前のことです。それをずっと、ずっと根に持って、嫌味を言いながら暮らしてきたとしたら、お互いの不幸としか言いようがありません。

 

それ以降、ご主人の素行が信用できなくなり、女性の営業である私が初めて訪れた時も、私の後ろで見張っていたのかもしれません。

 

ご主人は友人と旅行に出かけ、帰りに横浜の友人宅に寄り、その近くのホテルに泊まった夜、心筋梗塞か何かであっという間に亡くなられたそうです。救急車で運ばれた病院も、地の利のない自分にはどこかわからないといいます。

 

でも、領収書があるのでは?と訊くと、ご主人の背広から何から、全てお寺さんに持って行き、祈祷して処分してもらったというのです。まだそれほど日が過ぎていなかったのに、そこまで・・・・。

 

だから、今更死亡証明書を取ったり、診断書を取ったりするのは出来ないから、ローンの残金は払うと言われます。そこまで・・・・。

 

若い時の過ちがあったにしても、ご主人が亡くなったことに対し「淋しい」とか「哀しい」という言葉が最後まで無かったのは、やはり奥様に人としてのやさしさが欠けているような気がしました。

 

勿論、奥様をこういう風にさせてしまったご主人の責任もあるとは思いますが、こんな夫婦関係の中で育った子供さんたちはどんな思いでいたのでしょう。女性の恨みは怖いなあと同性ながら思ったものです。結局、ローンは現金で完済されました。

 

何だか小説みたいだと思われませんか?私はその後、会社の若い子たちに「結婚したら浮気や不倫は絶対にダメよ。女性はそれだけは絶対に忘れないから」と言い聞かせました。

 

ブログランキングに参加中。

クリックして頂けると嬉しいです。