Bonjour !

 

こんにちは。

 

さいたま市浦和区のフランス語教室、フレンチパレットの中村です。

 

緊急事態宣言、蔓延防止策等々、なんだかんだで外出をためらいがちな日々が続き、ついには1年経ってしまいました💦

 

 

去年は、これを機に映画をたくさん見ようと、様々な映画や海外テレビドラマシリーズを見ました。

 

が、最近では、見たいものがなんだか自分でもわからなくなり、選んでいる間に30分以上経ってしまうことも少なくありません。

 

ここは原点回帰!

 

 

映画やDVDを見るのをやめて、全て本に切り替えました。

 

 

硬くゴツゴツした岩肌の隙間に、冷たい清らかな岩清水が浸み込んでいくような、なんともいえない癒しと喜びに脳内が潤います。

 

 

そうそう!これこれ!と独りごちながらぶつぶつ読んでいます。

 

今読んでいるのが、何度か目の再挑戦、というか読み終わったこともあるので挑戦でもないんですが、下記の本です。

 

表紙を載せると著作権に影響があるとかで、やむを得ずアマゾンのリンクで画像を貼ると

 

 

 

 

 

フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーが長編小説として初期に描いた傑作です。

 

 

後にディズニーがアニメ化しましたが、あれは全然原作と違いますし、無難で安全な物語になっております。原作は、もっとおどろおどろしくて、少し怪談的な禍々しさがあります。

 




ユーゴーは、その当時の近代化が押し寄せる合理主義の波の中で、

 

合理主義では割り切れないもの


ちょっと不可思議な神秘に惹きつけられる魂


人間の中にある様々な不条理

 

そういったものを表現しようとし、その舞台としてヨーロッパ中世をえらび、1人の女性と3人の男性の宿命的な恋愛模様を通して、物語として展開しています。





 

当時から、「ユーゴー節」は健在です。

 

何と言うんでしょうか、彼は劇作家をやっていたせいか、このセリフを言ったら観客がどっと沸くだろうな、沸かせてやるぞ!このセリフで!というような下心が見えてくるのです。



とてもエスプリが効いているし、絶妙なセリフもたくさんあるのですが、少しばかりその多さが気になったりもします。

 


そこが面白さであり、若干煩わしいところでもあります。


人によって捉え方が違うと思いますが、個人的にはちょっとtoo muchかなと思ったりします(ユーゴーファンの方、ごめんなさい)


 

ご参考までに、決めゼリフの頻度としては、ストレートさらさらロングヘアのトレンディー女優さんが、10秒に1回程度の割合で髪をかきあげるのと同じ位のものではないかと。

 


 

 

話を元に戻すますが、この小説の登場人物は、揃いも揃って残念というか欠点だらけです。

 

それでも

 

-人の心の不条理

 

-止むに止まれぬ想い

 

ー到底逆らえぬ時代の流れに諦観の念を抱かざるを得ない己の非力

 

ー知識とは何か、学問とは何か

 

ー知識を持った、持つことを回許された選ばれし者の責任とは何か

 

といった、様々な要素を非常に重層的に描いており、いろいろな角度からの思索ができる素晴らしい作品だと思っています。



日本語版も出ておりますので、ぜひぜひお勧めしたい作品です。

 

 

 

 

翻訳者の辻先生は、私が学生時代に書生のようなことをして、翻訳のお手伝いをさせていただいてたことがありました。ノートルダムではなく「九十三年」の翻訳をされていた時でした。

 

本当に熱心な教育者、研究者であり、頑張ろうとする学生には非常に温かな方でした。

 

私がフランスに留学に行くためのアメリカの奨学金試験に推薦状を書いてくださったのも辻先生です。

 

 

すでにお亡くなりになっていますが、辻先生へのオマージュをこめて、鋭意継続中です。

 

こんな時だからこそ、読書!の日々です❣️

 

 

以上、フレンチパレットの中村でした。