東野圭吾『マスカレード・ホテル』ネタバレ感想 | 好奇心の権化、アクティブに生きたい。

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【注意】
一個人が好き勝手に書いてます。

なおネタバレ全開です。
これから読む予定のある人の閲覧はお控え下さいますようお願いします。

あらすじは前回の記事をご覧下さい。


本作はネタバレが致命的なのでいつもより多めに改行しておきます。




















これは推理不可能です。

片桐瑶子という老婦人=過去に尚美が追い返した女性
と結び付けられるのが終盤なので。

一緒に推理するタイプの作品ではなく、登場人物がどう推理していくのかを追うタイプの作品です。



この片桐夫人、盲目の振りをしてましたが、実は目見えてました。

それだけでなく、そこまで老いてもいませんでした。

片桐瑶子って名前も偽名です。本名は長倉麻貴。


で、なんでそんなことをしたかというと、これから一人でホテルに泊まる盲目の主人の為…ではなく、そもそも結婚なんてしていません。
尚美を殺害する為の伏線を張るのが目的でした。


伏線といえば。
前もってバスローブを盗むことで、もっと大きな金額を得ようとしたコソ泥が作中には出てきましたが。

あれは「他にも伏線を張っている者がいる伏線」だったんですね。

お見事なり。



緯度と経度のことにしたって、この伏線の為の伏線にしたって、博識だったり素晴らしく勘の冴えた人には見破られるんでしょうけど、犯人当てまでは難しいでしょうね。

30代の長倉が、主に老婆役をしてる劇団員なんて、最後の最後で明かされる情報ですから。


なんで尚美を殺そうとしてたかというと、尚美に追い返されたせいで、寒空の下で一晩過ごすことになり流産したから、という理由でした。

なんというか…逆恨みもいいとこね。

尚美に追い返されそうになった時、一言「私は妊娠してるんです」って言えばよかっただけの話やん。
(っていうとフィクションの登場人物とはいえ可哀想かな?笑)



私の場合、あの二つ並びの数字が出てきた瞬間、


座標しか浮かばんけど…
 

と思ってました。

そしたら答え合わせのページで尚美が「緯度と経度」って発言したので、

そう、言いたかったのはそれ!!
と、少し言葉を間違えた気持ちになったり。


間違ってはいないんですけどね。
 

これがゲーム脳ってやつか。
(元デバッガー並みの発想)



ところで、尚美一人にとはいえ捜査情報をぺらぺらと漏らす新田って、本当に優秀なのかしら。



本作のラストは新田と尚美が付き合い始めるのかなーという感じで終わるのですが、正直このカップルは長続きしないと思います。

序盤はまだ二人に反発心があったというのも差し置いても、尚美の真面目ぶりを見た新田は「一緒に生活したら肩が凝りそうだ」とモノローグしていました。
冷静な目で見るとそんな風に思う相手と吊り橋効果で繋がっても、持って1年だと思うのは…斜に構え過ぎでしょうか。



ここからは取るに足らないメモ書きなどを。


・52ページでは「(ホテル側の)好意」と表記があるが84ページでは「厚意」表記
 52ページの方は誤変換かな
(元デバッガー並みの表記ゆれチェック)


・刑事「社員に給料も払えず、銀行にも融資を断られた中小企業の経営者が真っ先に考えるのは?」

 新田「生命保険ですか」
 私「自己破産じゃないのか」


・新田が廊下から客室をノックしようとした時


"次の瞬間、突然ドアが勢いよく開いた。あわや新田の顔面に直撃するところだった。"


まさかの外開き。

でもそういうホテルもあるか?




以上、『マスカレード・ホテル』ネタバレ感想でした。