少子高齢社会の行き着く先!? 地方消滅 | 医療事務会社のサラリーマンのブログ

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なお、このブログに記載していることは、あくまでわたくし個人の意見であり、会社の意見を反映したものではありません。

地方消滅
編 増田寛也
中公新書
出版年 2014/8/25
価格 820円(税別)
評価 ★★★★

少子高齢社会≒人口急減社会
少子高齢社会≒極点社会
なんだなぁ、と実感。

日本創生会議等での議論に基づき
『中央公論』
2013年12月号、2014年6月号、7月号
に発表した論文が基となっています。

今日本では高齢社会や少子化社会であることは実感できると思います。
かつてはとっくに引退して“あの人は今”に出ているような人が
バリバリのアイドルしていたり、
“ピチピチ”とはいえなくても、別の魅力でAVやグラビアで活躍
している人とかも珍しくなくなりました。
社会全体の平均年齢が上がった印象は受けます。

これは所謂“自然的要因”です。
でも人口問題にはもうひとつ“社会的要因”があります。

日本では少なくとも戦後から、多少の時代による違いはありますが、
基本的に
若年層が都市(特に近年では東京へ)へ流入
都市の出生率は軒並み平均以下(子育て環境が整備されていない)
という特徴があります。ちょうど下図な感じ。
都市圏



人口が増え続けていれば、これでも何とかなったかもしれません。
でも、社会全体が少子高齢となっては、この構造は多くの問題を
はらんでしまいます。ちょうど下図な感じ。
東京圏


まず、
農村に若者が戻ってこなければ、農村の高齢者が増えます。
そうすると
東京圏に流入する人口も減る。
さらに
東京圏の出生率が低いままだと、
東京圏の高齢者の数と率が急速に増加します。

こうなると本来東京圏の高齢者を支えるために
多数の医療介護従事者が必要になりますが、
それを担える若者がもはや農村にはいない。
若者が流入す余地のなくなった東京圏はどうなるの?
という感じです。

また実際には将来の東京の話は今地方では現実として起きている、
と本書は訴えます。
特に興味深い点は、
「20~39才女性」の人口の推移
に注目して、全国を考えてみた点ではないでしょうか。
全国市区町村別「20~39歳女性」の将来推計人口
人口移動が収束しない場合の全国市区町村別2040年推計人口

新聞でも話題になりましたが、
当該女性の2040年までの人口減少率が50%以上の自治体が
896」にのぼります。
(これらが“消滅可能性都市”)と定義されていました。

具体的な方策の妥当性や実現可能性は正直わかりませんが、
「人口が減ることを前提とした環境整備」
がこれからは大前提になる、ということはわかります。

政治、医療・介護、行政、ビジネス、
あらゆる分野で参考にすべき本だと思いました。