(まずは今回の台風10号で被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。既に熱帯低気圧になりましたが、引き続き大雨などにご注意ください。この間、掲載を控えていましたが、9月に入ったこともあり、夏の旅行記の連載を始めたいと思います。)
みなさま、台風だったり豪雨だったり猛暑だったり、厳しい8月でしたが、いかがお過ごしでしょうか?
私は8月上旬から2週間ほど、ヨーロッパを旅して来ました。今回も素晴らしいオペラやオペレッタ、コンサートを楽しんで感動に次ぐ感動の旅!これから少しずつ記事を書いて行こうと思います。
今回の旅は昨年に続いてオーストリアのインスブルックからスタートしました。まずはインスブルックに着くまでの道中から。
フライトはミュンヘンから入りましたが、当日、ミュンヘン空港駅からミュンヘン中央駅まで移動できるSバーンがないとの表示?取りあえずS8に乗ったら、車内表示でOst駅からPasing駅までが線路の修繕か何かで運行がないと!それでミュンヘン中央駅まで行けないんだ!
しからばOst駅でタクシーにでも乗り換えるか?と思いつつ周りの乗客の方々に聞いたら、Ost駅で乗り換えてS2~S4で行けるわよ~と。良かった!お姉さん教えてくれてありがとう!しかし、冒頭から波乱の旅行の予感。(なお、実際に今回の旅は後半に交通のロジがグダグダになりました…)
ミュンヘン→インスブルックの列車では、いち早く予約したのにも関わらず、余裕で私の予約した番号の座席がない!笑 予約の紙が挟まれていなかった近くの座席を取り急ぎ確保して事なきを得ましたが、少しも気を抜けません。
クーフシュタインを過ぎるとオーストリアの美しい山々が見えてきます。緑と白のコントラストが素晴らしく、テンション上がります!
ミュンヘンから1時間50分でインスブルック中央駅に到着。ホテルにスーツケースを預けることができない時間帯だったので、駅のコインロッカーを探したら、駅の両端にあるところ、片側は満杯で、もう片側は稼働しておらず…。仕方なく、反対側に戻ってみたら、奇跡的に1つだけ空いていました。ラッキー!
(なお、今回の旅ではオーストリアの駅のコインロッカーを利用する場面が何度か出てきますが、後日の記事でその状況と今後の教訓をご紹介しようと思います。)
(写真)インスブルック中央駅を出ると、すぐにノルトテッケの山々の素晴らしい風景が出迎えてくれます!
スーツケースを何とか預けることができて身軽になったので、まずはランチに。
(写真)ランチは旧市街の中心にある、チロル地方の郷土料理で定評のあるお店にて。Zillertal Weißbier(チロル地方の白ビール)とHauspfandl。
実は私は2006年に初めてインスブルックに来た時にもこのお店で同じものを食べていますが、その時に比べると料理が洗練された感じがしました。いずれにしても、豚肉や付け合わせが美味しく、チロルのビールと合わせて素晴らしいランチ!
(写真)ランチの後は久しぶりに王宮や宮廷教会を見学しようか?とも思っていましたが、雰囲気のある通り、観光客が集まる賑やかな雰囲気の中でのそぞろ歩きが楽しいので、まちなかをブラブラ歩きました。
(写真)インスブルック随一のアイコン、マクシミリアン1世が造った黄金の小屋根の前の広場。「LOVE」のモニュメントもありました。
(写真)イン川の向こう岸のカラフルな家々が本当に美しい!後背の山の風景もいい感じです。イン川は前日までの雨のためか増水していました。
(写真)インスブルックはチロル地方の中心都市。チロルの民族衣装のお店の看板が楽しい。
(写真)クラーナハの聖母の祭壇画が有名な大聖堂。大聖堂前の花々も美しい。
(写真)インスルブルックのまちを歩いていると、頻繁にトラムとすれ違いますが、赤一色のトラムがとてもカッコイイ!レトロな雰囲気もあって、まちなかに良く溶け込んでいました。
(写真)最後に、インスブルックで私が特に好きな景色は、マリア・テレジア通りでノルトテッケの山々を背景に見る美しいゼルヴィーテン教会。うす紫色と緑と白の教会が、青空と山を背景に見事に映えます。
ランチの後にまち歩きを1時間半くらい楽しんだ後は、ホテルにチェックインしてしっかり2時間仮眠。この日インスブルックに来た目的の、ジェミニアーノ・ジャコメッリ/エジプトのチェザーレを観に、インスブルック古楽音楽祭に行きました。
Innsbruck Festival of Early Music 2024
Geminiano Giacomelli
Cesare in Egitto
(Tiroler Landestheater, Großes Haus)
Musical Direction: Ottavio Dantone
Direction: Leo Muscato
Stage: Andrea Belli
Costumes: Giovanna Fiorentini
Lighting: Alessandro Verazzi
Cesare: Arianna Vendittelli
Cleopatra: Emőke Barath
Tolomeo: Valerio Contaldo
Cornelia: Margherita Maria Sala
Lepido: Federico Fiorio
Achilla: Filippo Mineccia
Orchestra: Accademia Bizantina
(写真)開演前のチロル州立劇場。劇場前からも美しいノルトテッケの山々がよく見えます。
まずは冒頭のウキウキする序曲が素晴らしい!オペラのこの後の展開への期待とともに、私の今回の夏の旅の始まりのワクワク感を、高めるだけ高めてくれるように感じました。
指揮は昨年11月に紀尾井ホール室内管弦楽団にも客演した時のヘンデルやヴィヴァルディのコンサートがとても良かったオッターヴィオ・ダントーネさん。古楽のオケは弦の部分が長~いテオルボが2台入って、管が少ない古楽のホルンの音色に魅了されます。
冒頭のシーンはチェーザレ(シーザー)がエジプトとの戦いに勝って、エジプト側と対峙するシーン。エジプト側は何と和平に同意したポンペオの首をチェーザレに捧げます!
そこからは物語が基本的には登場人物一人一人の歌によって進んでいきます。中でもチェーザレ役のArianna Vendittelliさん、クレオパトラ役のEmőke Barathさん、カウンターテナーのアキッラ役のFilippo Minecciaさんがピカイチに素晴らしい!アジリタも駆使して、難度の高い歌を見事に歌っていきます!
特にクレオパトラ役のエメーケ・バラートさんは、2017年のシルヴァン・カンブルラン/読響のメシアン/アッシジの聖フランチェスコにて天使役で出演されていてお馴染み。あの時はバラートさんの天使の歌声に魅了されましたが、今回はクレオパトラ役ということで、歌に加えて美しい立ち姿に大いに魅了されました。
ジェミニアーノ・ジャコメッリ(1692-1740)の音楽がまためちゃめちゃ素晴らしい!基本的にアレグロでキビキビと畳み掛けるような音楽が多かったですが、ハッとさせられるような美しい旋律もしばしば登場して、このオペラは旋律の宝庫だなと感じました。
ジャコメッリのオペラは今回初めて聴きましたが、いやはや世の中には素晴らしいオペラの作曲家がまだまだいますね!これからもまだ観たことのないオペラを積極的に観て行かなければ!と意を強くしたところです。
ちなみに、オペラの内容ですが、これが事前に調べても資料がなくて、ぶっつけ本番で劇場に。劇場で購入したパンフレットで予習しようとしたものの、英語のあらすじの文字が小さくて(8ポイントくらい)、フライトの疲れもある中、どうしても頑張って読む気になりません…。
されば上演中に字幕で把握しようと思っていたら、機材のトラブルか、何と字幕が途中まで出てこない!笑 さらに出てきてもこれまた文字が小さくて読む気にならず…。
ということで、ストーリーは何とか拾える歌詞のイタリア語と歌手の演技で、「いまこんなことを歌っているのかな?」と想像しながら追いました。まあ、有名なシーザーのエジプト譚ということで、大まかな把握で全く問題なし。十分楽しめました!
(写真)素晴らしいオペラの後、翌朝早いので、真っ直ぐホテルに戻りましたが、ライトアップされた黄金の小屋根が神秘的ですね。
(写真)マリア・テレジア通りは夜になっても賑やか。ホットドック屋さんやジェラテリアが人気で、22:30なのに小さなお子さんがジェラートを舐めながらはしゃいでいるのは夏のヨーロッパの避暑地ならではの光景。本当に楽しい!
ということで、私の夏の旅行は2年連続でインスブルックからスタートしました。道中いろいろありましたが、まちもオペラも素晴らしく、幸先の良いスタートとなりました!
そして、翌日は早くも今回の旅行のハイライトの一つの公演を迎えます。私はオーストリアでこの曲をこのオーケストラで聴くのが長年の夢でしたが、それが実現しました!超絶の感動!
さて、その曲とは、そのオーケストラとは、一体何でしょう?次の記事で!(続く)