(GWの旅行記の続き)旅行2日目。この日はウィーン周辺でブルックナーゆかりの場所を巡ることにしました。

 

 

 

まずはウィーン近郊のクロースターノイブルクに行きました。ここには修道院がありますが、その付属教会のオルガンがブルックナーのお気に入りで、ウィーンから度々弾きに行ったそうです。

 

 

(写真)最寄りのKlosterneuburg Kierling駅を降りると、すぐにクロースターノイブルク修道院教会の大きな尖塔が目に入ります。

 

 

(写真)クロースターノイブルク修道院に到着。立派なファザードです。

 

 

 

 

 

修道院はガイドツアーで巡りますが、時間まで企画展を観て周りました。特に印象に残ったのは以下の通りです。

 

 

◯クロースターノイブルク修道院は1133年にバーベンベルク辺境伯レオポルト3世が設立しましたが、そのきっかけとなった出来事の絵画。

 

レオポルト3世がアグネスと結婚式を挙げた時、強い風でヴェールが飛ばされてしまいましたが、レオポルト3世はヴェールの見つかった場所に修道院を建てると誓いました。

 

結婚式から9年後、レオポルト3世がクロースターノイブルクに狩に来ていたところ、たまたまセイヨウニワトコの木に掛かっていたヴェールが見つかったんです!

 

その状況を表わした絵は、マリアさまと幼子キリストが天から見守っているのが印象的。ヴェールとセイヨウニワトコは修道院のシンボルになっているそうです。

 

 

◯聖書。赤と黒の印象的な書体で、東方3博士が幼子キリストを訪れる場面の美しい挿絵がありました。ダブリンに行った時に見たアイルランドの国宝「ケルズの書」を思い出しました。

 

◯修道院の美しいリング。修道院の結婚式で使われたそうです。

 

◯コラールの楽譜。五線譜でなく、左側にCAFDの表記があり、その右に音符のような記号が書かれていました。

 

◯聖ウルスラの見事な祭壇画

 

 

 

 

 

そして1時間くらいのガイドツアーに参加しました。特に印象に残ったのは以下の通りです。

 

 

◯教会が壮麗で美しい!ザンクト・フローリアン修道院の教会や、ザルツブルクの大聖堂に似ています。ガイドツアー中、たまたま教会でオルガン奏者がずっと練習をしていたため、ブルックナーがしばしば弾いたオルガンを聴くことができました。ラッキー!

 

 

(写真)教会の中にあったブルックナーのレリーフ!(私は教会内で写真を撮らないマイルールですが、これだけはガイドさんに許可を取って撮りました。)

 

 

◯ここの修道院は回廊がとても美しい。シトー派の影響なんだそうです。

 

 

(写真)ヴェルドゥンの祭壇。1118年に造られた、七宝焼きと金細工による、この教会の至宝です。

※クロースターノイブルク修道院で購入した絵葉書より

 

 

ガイドさんによると、旧約聖書と新約聖書の両方の世界が表されている、右側の2段にハルマゲドンとキリストの救済が示唆されている、キリストの十字架と息子を犠牲としたアブラハムも描かれている、約束の地の豊かさとキリストの犠牲を示すブドウの木が描かれている、などの解説がありました。

 

 

◯ヴェルドゥンの祭壇の裏面の祭壇画の展示もありました。キリストの磔と復活、マリアさまの死と戴冠が描かれていました。

 

◯祭壇の左側にあったステンドグラスも見事。旧約聖書と新約聖書の神学的対比がなされているそうです。

 

 

 

 

 

ブルックナーのレリーフに会えて、ブルックナーが愛したオルガンが聴こえる中で、ヴェルドゥンの祭壇をたっぷり観ることができ、とても豊かなクロースターノイブルク修道院滞在となりました!

 

 

 

 

(写真)中庭からの教会の眺め。本当に立派な教会です。また、中庭には美しいアヤメが咲いていました。

 

 

 

(写真)ランチは修道院のレストランで。まずはシュパーゲル・ズッペとグリューナーフェルトリナー2022(クロースターノイブルク)。ズッペは緑のアスパラガスの切り身とクルトンが良いアクセントでした。

 

(写真)シュパーゲル盛り合わせハム添えとRied Hengsbergのグリューナーフェルトリナー2022(クロースターノイブルク)。ワイン2杯目は同じグリューナーフェルトリナーですが、よりコクと厚みがあって美味しい!

 

 

 

それにしても、フランツ、ここぞとばかりにシュパーゲル(白アスパラ)食べまくり!笑

 

 

 

 

 

さて、クロースターノイブルク修道院を堪能した後は、ウィーンに戻って、ブルックナーの足跡を辿ります。あいにく雨が降ってきましたが、とにかく楽しい行程!

 

 

(写真)ヘーネハウス。ブルックナーがウィーンにやって来て、最初に住んだ家だそうです。フォルクスオーパーとショッテントーアの間くらいにあります。

 

参考資料では、この家にブルックナーのレリーフがあるそうですが、見当たりませんでした?というか、レリーフの跡があったので、何らかの理由で外されたようです。建て替え計画があるから?それとも、熱心なファンが持ってっちゃった?いやっ、私じゃないですよ笑。

 

 

 

(写真)ヘス通りのブルックナーの住居。ウィーンで3番目に住んだ家です。ヴォティーフ教会のすぐ近く。ここにはちゃんと記念碑がありました。今は映画館になっているようです。

 

 

(写真)そのヴォティーフ教会。高くて白くて壮麗な教会です!ちなみに、私はフォルクスオーパーの終演後、トラムでショッテントーアまで移動して、観劇後の食事に繰り出すことが多いので、ヴォティーフ教会は夜にライトアップされた姿を見る機会が多いです。

 

 

 

(写真)ウィーン大学。ここの中庭を囲む回廊には大学関係者の胸像が沢山ありますが、その中にブルックナーの胸像があります。ブルックナーはウィーン大学で音楽理論のポストを勝ち取り、講義をしたのでした。

 

 

 

(写真)次のブルックナーの目的地を目指しますが、そこはさすがウィーン!道中に名所が次々と現れます。まずはカフェ・ラントマン。クリムト、マーラー、フロイトも訪れた、1873年創業の歴史的なカフェです。2019年の夏にウィーンに行った時に、ここで朝食を楽しんだのは良き思い出。

 

(参考)2019.8.16 ウィーン観光その4(ラントマン&フォルクス庭園&美術史美術館&ジントニック)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12535000378.html

 

 

 

(写真)そのラントマンでの朝食の時に眺めて楽しんだのがこのブルク劇場。演劇でドイツ語圏最高峰の劇場と言われています。以前にガイドツアーで入ったことがあり、グスタフ・クリムトの天井画を堪能しました。いつかここでゲーテ/ファウストの演劇を観てみたい。

 

 

 

(写真)ウィーン市庁舎。2019年の冬にここでクリスマス・マーケットを楽しんだのが懐かしい。近くにはウィーン観光のフォトスポットがありました。

 

(参考)2019.12.30 ウィーン観光その2(ウィーン市庁舎のクリスマスマーケット)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12573078487.html

 

 

 

(写真)お酒だけでなくスイーツに目のないフランツは、この近くに皇室御用達のスルッカがあることを見逃しませんでした笑。スルッカトルテとメランジェ。ピスタチオとアプリコットが効いていて、とても美味しかったです。

 

 

 

(写真)そしてお目当てのピアリステン教会。ここでブルックナーはウィーン音楽院の能力試験としてオルガンを演奏しました。その演奏は圧倒的で、それを聴いて試験官の一人だったヨハン・ヘルベックが述べた名言が残されています。それは…、

 

「彼が私たちを試験するべきだった!」

 

 

(写真)何とピアリステン教会の記念碑にその言葉が載っていました!下の方の“ER HÄTTE UNS PRÜFEN SOLLEN”がその言葉です。大いなる感動!

 

また、教会は思ったよりも大きくて、中も豊かな空間。事前の情報だと閉まっている時間帯でしたが、たまたま開いていてラッキー!

 

 

 

 

(写真)旧ハインリヒスホーフ(現オペルンリングホーフ)。前日に最高のローエングリンを観たウィーン国立歌劇場(下の写真)の向かいにあり、ブルックナーがウィーンで2番目に住んでいた場所です。建物自体は第2次世界大戦で破壊されました…。今は完全な商業ビルで、一応ぐるっと一周回りましたが、記念碑はありませんでした。

 

 

 

 

 

さて、この後はベルヴェデーレに向かうことにしました。

 

 

あれっ、フランツさん、ブルックナー巡りに飽きて、ようやく美術館ですか?

 

 

いやいやいや!確かにベルヴェデーレ宮殿上宮にはグスタフ・クリムトやエゴン・シーレの名作が沢山ありますが、私はそれらを観に行ったのではありません。私の目的は…、

 

 

 

(写真)ベルヴェデーレ上宮宮殿(上の写真左)の側にある、ブルックナー最後の家

 

 

そうなんです!ブルックナーは皇帝フランツ・ヨーゼフⅠ世の計らいで、最後はベルヴェデーレ宮殿の管理人用住居に住んでいたんです。ここで交響曲第9番ニ短調の作曲を進めていた途中で、惜しくもお亡くなりになりました。

 

 

 

 

(写真)ブルックナー最後の家に飾ってあった肖像画のレリーフと記念プレート。記念プレートに書いてあった「最高のオルガン演奏家」と「9曲の交響曲と素晴らしい宗教曲を作曲した」の文言に大いに感動しました!

 

 

 

(写真)せっかくベルヴェデーレに来たので美しい庭園の写真。マーラーがウィーン宮廷歌劇場の音楽監督だった時、ここを散歩するのを好んだそうです。

 

(写真)ベルヴェデーレのスフィンクスは観光客の人気者でパチパチ写真を撮られていました。

 

 

 

 

 

ということで、この日はクロースターノイブルクとウィーンでブルックナーの足跡を辿りました!

 

私はブルックナーの交響曲をこよなく愛しているので、ブルックナーのお墓とブルックナーの愛したオルガンのあるザンクト・フローリアン修道院にはもちろん行ったことがありますが(2006年)、ウィーンでブルックナーがどこに住んでいたのか?を巡るのは今回が初めてです。

 

 

 

繰り返しですが、今年はブルックナー生誕200周年。その良き思い出となりました!

 

 

 

 

 

さて、この日の夜も観劇に行きましたが、これがまた素晴らしい公演!単に素晴らしいだけでなく、こういう意義深い、そしてクールな公演をさらりとやってのけてしまうのが、ウィーンというまちの素晴らしさ!何という粋な企画!

 

さて、果たしてどの作曲家のどんな作品を楽しんだのでしょうか?次の記事で!(続く)