このところピアノの練習を優先にしていて、なかなか美術展に行くタイミングがありませんでしたが、ようやく渋谷のBunkamura、ザ・ミュージアムで開催されている、みんなのミュシャ展を観に行ってきました。

 

 

この美術展はミュシャ幼少期の貴重な作品、自身の蔵書や工芸品、20代に手掛けたデザインやイラスト、そしてミュシャの名前を一躍有名にしたポスターなどを通じて、ミュシャの原点と作品の魅力に迫る、ミュシャ財団監修による美術展です。

 

 

アルフォンス・ミュシャと言えば、一昨年のスラヴ叙事詩の美術展はかなり盛り上がって2回観に行き、その後の外苑前のFEEL THE Mucha HEART展もとても良かったです。それ以来のミュシャになります。

 

(参考)2017.3.24 ミュシャ展―スラヴ叙事詩―(国立新美術館)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12259492543.html

 

(参考)2017.5.13 ミュシャ展―スラヴ叙事詩―(国立新美術館)(2回目)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12274525247.html

 

(参考)2017.6.2 FEEL THE Mucha HEART展~民衆のための芸術とチェコへの愛~

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12280406093.html

 

 

 

今回はパリのポスターを席巻したいわゆるアールヌーボーのミュシャのポスターが中心、大いに魅了されました!特に印象的だった作品は以下の通りです。

 

 

 

(写真)アルフォンス・ミュシャ/『主の祈り』第7節の見出しページ

 

今回、美しいミュシャの女性を描いたポスターが目白押しの中で、私が最も印象に残ったのは、この「主の祈り」の作品でした。キリスト教の祈祷文をテーマにした絵で、ミュシャは祈祷文を7つのパートに分け、それぞれのパートごとにリトグラフを描いたものです。

 

あのスラヴ叙事詩でも戦いの後に祈るシーンを描いたり、教会が多く出てきたり、ミュシャの信仰心を伺うことができますが、ミュシャはこの「主の祈り」を自身の代表作と考えていたそうです。三位一体を思わせるバランスの良い構図、そして見ようによってはダビデの星や曼荼羅をも連想できる絵からは、キリスト教だけに留まらないスケールの大きさを感じました。

 

 

 

 

(写真)アルフォンス・ミュシャ/モナコ・モンテカルロ

 

今回のみんなのミュシャ展の宣伝に使われていた絵です。一昨年のFEEL THE Mucha HEART展でも魅了されましたが、この絵は本当に好き!パリ・リヨン・地中海鉄道のポスターですが、19世紀に国土が小さくなってしまったモナコの復活や魅力、モナコへの鉄道の旅をイメージさせた絵です。

 

モナコには作家のコレットの愛した素晴らしい熱帯公園があり、さらにはグレース公妃のバラ園や日本びいきだったグレース公妃の望みが叶えられた日本庭園まであり、花や植物に溢れたまち、というイメージがあります。モナコへの旅情をくすぐる絵です。

 

 

(写真)モナコの熱帯公園からの素晴らしいモナコのまちの眺め

 

 

 

 

(写真)アルフォンス・ミュシャ/ルフェーヴル=ユティル」ビスケット社:1897年用プロモーション・カレンダー

 

この絵も本当に素敵。一昨年のFEEL THE Mucha HEART展の感想記事で、「こんな美しい女性に差し出されたら…、そりゃ買っちゃうに決まってるじゃないですか!」「120年も前の絵なのに未だ商品を買わせるこの力。ミュシャの絵のインパクトたるや凄いものがあります。」と書きましたが、結局その後、ルフェーヴル=ユティルのビスケットを買ってしまいました(笑)。

 

再びこの絵に再会して、改めてビスケットを買いたくなりましたが、お土産のコーナーにちょうどいいものが!こういうセンスは本当に好き!(笑)

 

 

(写真)みんなのミュシャ展がペコちゃんとコラボしたビスケット缶の表。中にはルヴァン種を使ったペコちゃん型の美味しいサブレが入っていました。

 

 

 

 

(写真)アルフォンス・ミュシャ/夢想

 

この絵は柔らかくて綺麗な女性、絶妙なバランスの構図、様々な花の組み合わせ、暖色の美しい色合い、タイトルと絵の合致など、全てにおいて魅了された絵でした。後で調べたらミュシャの絵の中でも人気の高い1枚ということでした。

 

 

 

その他、絵葉書はありませんでしたが、有名なサラ・ベルナールのポスターもいろいろありました。最初に描いたジスモンダに始まり、椿姫にトスカなど。特にハムレットで描かれていたサラ・ベルナールが非常に凜々しかったです。

 

 

また、個人的にどうしても反応するのはお酒の広告(笑)。シャンパンのリュイナールとリキュールのベネディクティンの絵がありました。リュイナールは大好きなシャンパンハウスで、たまにお世話になっています。プレステージもののドン・リュイナールはもちろん素晴らしいですが、普通のエール・ド・リュイナールもかなり上質ですね。

 

ベネディクティンはよくカクテルのB&B(ブランデーと1対1)でいただきますが、一昨日に観たシャブリエ/エトワールでシャルトリューズが出てきたので、フランスの薬草系リキュールで最も有名な2つの銘柄が続けて出てきて、何だか凄い流れだな~、と思わず笑ってしまいました(笑)。

 

 

その他、ミュシャが少年の頃に参加していたブルノ聖歌隊の少年たちの絵、ゲーテ「ファウスト」の場面を描いた絵など、ミュシャの作品としては普段観かけない、珍しい作品も観ることができました。一昨年から3つの美術展を観て、ミュシャについてかなり体系的に観ることができました。何事も経験ですね。

 

 

そして、展示の途中には、大きなヤン・ジシュカを描いた絵がありました。一昨年のスラヴ叙事詩でも出てきたチェコの英雄ヤン・ジシュカ。スメタナ/わが祖国の第5曲「ターボル」、第6曲「ブラニーク」の音楽をすぐに思い浮かべます。来月再びチェコ・フィルで聴くことができるので、今からとても楽しみにしています。

 

 

 

みんなのミュシャ展、大いに楽しめた美術展でした!会期は9月29日(日)までですが、既にかなり混んでいるので、ご興味のある方は早め早めで!