先週はスタニスラフ・スクロヴァチェフスキさんの90歳の誕生日コンサートに立ち会うことができましたが、今日は最も得意とするブルックナーのコンサートを聴いてきました。


  読売日本交響楽団第530回定期演奏会(サントリーホール)
  指揮者:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ

  スクロヴァチェフスキ/パッサカリア・イマジナリア
  ブルックナー/交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」


 前半は作曲家でもあるスクロヴァチェフスキさんの作品。一応変奏曲のようですが、茫洋として不思議な打楽器や弦楽器による背景のもと時折金管が咆哮する正に現代曲。こういう曲が書けた上で、他の作曲家の楽譜への深い洞察が可能になるのかな?と感心したしだいです。

 後半はいよいよマエストロの代名詞のブルックナー。私はマエストロの4番は、2007年4月の読響の常任指揮者就任披露記念公演、2011年10月のザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団の来日公演で聴いていて、今日が3回目です。

 基本的なアプローチは以前と変わらないと思いましたが、とにかく各パートへの表情付けが徹底していて、冒頭の弦楽器によるトレモロ、いわゆるブルックナー開始のニュアンスからしてゾクゾクきます。私はマエストロのブルックナーでは、0番~3番、5番~7番が好きで(特に5番は神演奏!)、4番はマエストロにしては大人しめかな?と思っていましたが、今日の4番は楽器のバランスを変えたのか今まで聴いたことのないような音が聴こえてきたり、室内楽的になったり、逆に強奏したりと様々な部分で新しい表情付けを感じ、何かまた別の曲を聴いているような気もして、これまで聴いた中で最も心に残りました。第4楽章最後、弦楽器が弱音から始まって音を刻み、金管が運命的な旋律を奏で、しだいに盛り上がり昇天する。ここの部分にも細かいニュアンスがついていて、聴いていて本当に鳥肌が立ちました!読響もマエストロの棒に見事に対応し、重厚な響きによる大熱演でした。

 90歳になったマエストロの渾身のブルックナー。本当に素晴らしい演奏で、観客も大興奮、嵐のような拍手となりました。オケのみなさんが舞台から退出した後も拍手は続き、マエストロが再び出てきた時には観客はスタンディングオベーションで大きなブラボーが。その後、マエストロが舞台そでに下がる際には、脇で拍手をしていた女性奏者をつかまえて得意の「お先にどうぞ」のポーズを取って、大変微笑ましかったです(笑)。

 90歳にしてまだまだ進化を続けるマエストロ。また近くマエストロの指揮でブルックナーを聴ける日を楽しみにしています。