【設例】 30代・女性です。教えてください。
私の友人の知り合いにFPさんがいますが、お話を聞いたところ、その方は、保険のセールスが中心のようです。
保険商品の紹介は望んでおらず、家計、ライフプラン全般に関して、相談者側に立ったアドバイスを受けたいと思っていたのですが。
FPのセールスとアドバイスの位置づけは、どのようになっているのでしょうか。
【回答】 ご質問にお答えします。
FP業界では、FPが金融商品、保険商品を売ることについて様々な意見があり、何が最善なのか、いまだ明確な答えが見えない状況です。
とはいえ、FPも何らかの商品、サービスを売らないと、職業として成り立たないのは確かです。
昔、あるFPの会合に参加した時に、「自分(FP)は物売りじゃない」と発言した方がいて、いまだに印象に残っていますが、八百屋さんでも文房具屋さんでも、何かを売って仕事にしているのになと当時思った記憶があります。
セールスの仕事で立派に生計を立て、家族を養っている方も大勢います。
ちなみに、私の考えでは、セールス・自分のためにするもの、アドバイス・相手のためにするもの、という違いがあると考えています。
もちろん、セールスとセットで良心的なアドバイスを無料でしてもらえるケースもあります。
FPが金融商品、保険商品を売るという場合もセールスですが、例えば、FPがFP顧問サービスを売るという場合もセールスです。
私自身も、少なくとも「FP相談サービス」をセールスしているのは間違いありません。
そこでややこしいのは、販売するモノが、野菜や文房具ではなく、言葉や図、数字などで構成されるアドバイスなので、その性質上、アドバイスとセールスが混在してしまいがちなことです。
例えば、相談者がアドバイスだと思って話を聞いていたら、いつの間にか特定の保険に加入する話になっていた、といった事例を聞くことがあります。
そのようなケースがあるので、FPにアドバイスを求めるべきではない、といったコメントも時々ネットで見かけてしまいます。
私は、この問題の解決策は「事前に言う」ことだと考えています。
具体的に、私の事務所のやり方をご説明すると、例えば、初回相談の後にFP相談パックという上位メニューをご案内することが多いのですが、その際も、ここからは、サービス案内になります、と事前に告げ、許可をいただいた上でお話を始めるようにしています。
そして、サービスに具体的なメリットがあると判断してもらえれば、ご希望に沿ったプラン作成の打合せに進み、そうでなければ見送る旨を伝えていただく流れです。
セールスの立場で話す時は「事前に言う」をルールにすれば、それ以外は、すべてアドバイスと理解してもらえ、ご相談者との良好な信頼関係を維持できると感じています。
私自身、何度も有料相談をお受けする中で発見した工夫です。
アドバイスとセールスが混在していないかを確認してもらうもう一つの手段は、情報開示です。
例えば、相談料、顧問料のほかに、提携会社から手数料、紹介料等が入るなどの場合は、その旨を事前にできるだけ具体的に説明して透明性を高めます。
また、サービスの利用者側としては、わからないことがあれば「聞く」ことが大事と思います。
命の次くらいに大事なお金の相談です。
相談が人生を左右するような重要な判断につながることもあります。
納得できるまで遠慮せずに聞く。
聞くことでアドバイザー側に気付いてもらうこともできます。
FP相談サービスの提供者と利用者の双方で工夫し、良好な信頼関係がたくさん築かれることを願っています。