始まりは日常から。
夫と再婚してから
数ヶ月経った頃だろうか。
食事の時間に
やたら夫が息子に注意をするようになった。
「お箸の持ち方が間違ってる!」
「背中が曲がってる!」
「姿勢が悪い!」
「左手を添えて!」
「音を出して食べるな!」
もちろん、夫の注意は正しい。
そして、私の息子に対する
食事マナーのしつけが足りなかったことは事実。
それまでの
我が家の食事での
重要ポイントは栄養バランス。
野菜でもなんでも好き嫌いなく
バランスよく楽しく食べてくれれば
それが一番という考えだった。
おかげで
息子はお魚もお肉もお野菜も
何でもよく食べてくれて
食べることが大好きな子どもだった。
保育園の先生も
今日も〇〇くんは完食ですよ
といつも褒めてくれた。
ところが、
夫と三人で囲む食卓は
いつの間にか面接試験のような
緊張感が漂うようになった。
夫が厳しい口調で
息子に注意する。
息子が私を見る。
私は
「〇〇くん、
お父さんの言うとおりにやろうね」
と息子に声掛けをしつつ、
そんなに厳しく言わないで
という気持ちを込めて
夫の顔をじっと見つめる。
しかし、夫はスルー。
注意はやまない。
私は息子がいないところで
夫にお願いをした。
「あんなに怖い雰囲気だと
できるものもできなくなるから
まずは楽しく食べようよ。
そのなかで、徐々にできるように
しつけていくから。」
夫がこたえた。
「ここ数ヶ月、
俺はずっと我慢してきた。
でも俺は〇〇(息子)の食べ方が
気になって仕方がないんだ!
君のしつけのやり方だとだめだ。
俺は〇〇がちゃんとできるようになるまで
何度でも注意する。」
とのこと。
私は、
夫のことをもっと大らかな性格だと
思っていた。
確かに
わたしとの関係性においては
大らかで優しい性格だった。
しかし、
こと継子(息子)のこととなると
別人だった。
食事マナーは大切だと思うけど、
未就学の子どもの食べ方が
そこまで気になるのか??
そんな神経質な男(ひと)だったのか?
と不思議でたまらなかった。
いずれにしても
食事の度に注意される息子が
不憫なので、
二人でお箸をもつ練習をしたり、
子どもが正しく持てるお箸を買ったり、
姿勢よく座れるイスを購入したりした。
保育園の給食の時間にも
気にしてもらえるように
保育士さんにお願いもした。
しかし、
息子の食事マナーは
全く改善されなかった。