既にご存知の方も多いと思いますが、
先日、NHKの取材を受けて千夏がNHK WORLD NEWSに掲載されました。


2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今後、多くの海外の人達が日本に来ることが予想されています。
それを見据えて、最近、日本では「ヘルプマーク」の普及活動が高まっているそうです。
私も数年前からヘルプマークを付けて外出していますが、まだ認知度が低いのが現状です。
今回の取材依頼が来た時に、
その普及活動に少しでも私の経験が役に立つならと取材を受けることにしました。

「ヘルプマークってなに?」という事を紐解き、
それを取り巻く現状や今後の展望を語っています。

NHK WORLDは、NHKの国際放送部門で、海外にニュースを発信しているメディアの一つです。
なので、通常の日本版とは違い、記事の内容が全部英語なんです。
(取材はもちろん日本語で受けたけど)

色んな媒体でこの記事を紹介させてもらって、
沢山の人が読んでくれたり、シェアしてくれたり、イイねしてくれてとても嬉しかったんだけど、

「記事見たけど英語が読めなくて内容が全然分からない!」
って言う声が、色んな所から相次ぎました。

せっかく影響力ある大きなメディアで取り上げてもらったのに、
その内容が、日本に住む多くの人達に伝わらないなんて由々しき問題。
わたくしが、意訳も含めて日本語訳にした次第です。

ただ直訳する事と、伝わる文章で翻訳する事は全然違うので、翻訳作業に苦労しました。

ブログの掲載前に、この記事を書いたNHK国際報道記者さん(実は私の古くからの友人なの)に
和訳をお目通ししてもらってOKをもらっていますが
意訳もあるので、ニュアンスが違う等あったとしても、
ネイティブの方々、どうぞご容赦ください😅

記事の和訳内容、どうぞ読んでくださいね。
そしてシェアしてくれたら嬉しいです。

<見えない障害を支援する"ヘルプマーク">
画像:NHK WORLD NEWSより引用

白い十字にハートマークがついた赤いタグを、私が初めて見つけたのは3年前の事だった。
友人の加藤千夏が持っていたのだ。

「その可愛いキーホルダーどこで買ったの?」
と私が聞くと彼女は
「これは"ヘルプマーク"だよ」
と教えてくれた。

< ヘルプマークってなに?>

ヘルプマークは、"見えない障害"(義足や人工関節、内部障害、難病などを含む隠れた障害)を持つ人々を支援する為に、
2012年に東京都が作成したものである。

ストラップが付いており、カバンなどの荷物に付けることが出来るので
ヘルプマークに気付いた周囲の人達が、バスや電車の中で席を譲ったり、荷物を運ぶのを手伝ったりする事で、
"見えない障害"に苦しむ人々が支援してもらいやすくなる。
東京都がヘルプマークを作ったのはそういった理由からだった。

ヘルプマークは2017年7月に日本工業規格(JIS)の認証を受け、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、全国共通のマークになった。
また、東京都に加えて全国23の都道府県にも導入され、支援が必要な人達を示すマークとして、
優先席付近に掲示する鉄道会社やバス会社もいくつか出て来た。

しかし、まだ認知度が低いのが現状だ。
ヘルプマークを付けているにも関わらず、電車の中で席を譲ってもらうことはほとんどないと千夏は言う。

画像:NHK WORLD NEWSより引用


<"見えない障害"が抱える問題>

千夏は5年前に交通事故に遭い、一命を取り留めたものの、左の足と腕を骨折し、股関節脱臼の重傷を負った。
辛いリハビリを乗り越えた彼女の見た目は、若くて健康な普通の女性と何ら変わりは無い。
薬剤師として働き、シンガーソングライターとしてもステージに立つ。
しかし、股関節にはボルトが入り、腕や足の可動域には制限がある。
また障害等級5級の身体障害者手帳も持っており、杖を突いてゆっくり歩き、エレベーターを使う必要がある。
画像:NHK WORLD NEWSより引用

一番困っているのは、満員電車だ。
彼女は左腕を上げることが出来ず、右手で杖を持っている為、吊革に捕まる事が出来ない。
揺れる電車内でバランスを取ろうとすると、足に痛みや痺れが走る。
その為、万が一、急ブレーキがかかった時に車内で踏ん張る事が出来ないのだ。

しかし、若くて健康そう見える彼女に席を譲る人は誰もいない。

千夏は4年前からヘルプマークを身に付けている。
過去に一度だけ、マークに気付いた人から席を譲ってもらった事があるものの、周りから気付かれる事はほとんどないそうだ。

「若くして障害を持っている事を想像するのは難しいのかもしれない。ヘルプマークを通して、目に見えない障害で苦しむ人々がいるということを知って欲しい」
と彼女は言う。

<意識を高めよう>

この現状を変えようとしているのは、シブヤミチヨさんである。
2017年、彼女はヘルプマークの認知度を上げようと、ボランティアグループを立ち上げた。

彼女の努力が始まったのは2年前。

"見えない障害"に苦しむ人達のTwitterを読んだ事がきっかけだった。

「誰もヘルプマークに気付いてくれない」

「見えない障害を理解してもらえない」

彼らの多くがTwitterで自分達の境遇に嘆いていたのだった。

ミチヨさん自身も百万人に一人に発症すると言われている難病「肺動脈性肺高血圧症」に苦しんでおり、
人工呼吸器を手放せない生活で、生死をさまよった事もある。
ヘルプマークの普及活動が自分の生かされた使命だと感じていると彼女は言う。

彼女はオリジナルのヘルプマークや啓発ポスターを制作したり、他府県に住む支援を必要としている人達に送付し
自治体や議会、各種団体にマーク普及の重要性を訴え続けた。
ミチヨさんの活動は共感を呼び、全国各地に協力者が生まれてきた。
画像:NHK WORLD NEWSより引用

ミチヨさんは2020年の東京オリンピック・パラリンピックが"見えない障害"の認知度を上げ、ヘルプマークの普及活動の絶好の機会になると期待している。
彼女は東京オリンピック・パラリンピックを見据えて新しいプロジェクトに乗り出した。
このプロジェクトを通して、大学生が小学生に「ヘルプマーク」の意味を伝える授業を開催するなど、若者や健常者を巻き込んでヘルプマークの普及活動を行なっている。
ヘルプマークの最終的な目標は"見えない障害"を見える化する事。
身に付けている多くの人にとって、ヘルプマークは、お守りのようなものだとミチヨさんは話す。
画像:NHK WORLD NEWSより引用

<思いやりのある社会を造ろう>

"見えない障害"に対する理解を深める事は、日本以外でも課題となっている。

2014年から毎年10月にアメリカのNPO団体が"見えない障害週間"を主催しており
イベントを開催するほか、SNSに動画を投稿し、
「障害者は必ずしも車いすを使用しているわけではない」などと呼びかけ、
見えない障害を持つ多くの人たちが#InvisiblyDisabledLooksLikeのハッシュタグを付けた画像をSNSでシェアするなど
支援を必要としている人が大勢いることを訴えている。

NPO団体によると、あるアメリカの調査で、アメリカに住む重度の障害を持つ人の74%が車椅子を使用しておらず、見た目では分からないという事が分かった。

イギリスでも、
「すべての障害が目に見えるわけではない」
とのサインを、障害者用トイレの扉に掲載する動きが出ている。

障害者に対する固定観念を変える事で
見えない障害を持っている人が障害者用トイレを罪悪感無しに使えるようになる事に繋がる。
画像:NHK WORLD NEWSより引用

電車に乗っているほとんどの人がスマートフォンを見ていて、ヘルプマークに気付かないのではないかと千夏は言う。

痛みを抱えても外見では分からず、声に出せない人がいる。
まずは周囲の人に関心を向け、思いやりのまなざしを持つことが、優しい社会を作る第一歩だと痛感させられた。

記事:Mami Mochizuki(NHK報道記者)
和訳:千夏