「ナルニア国物語 ライオンと魔女(ダイジェスト版絵本)」C・Sルイス/原作
今月のお勧めは「ナルニア国物語 ライオンと魔女(ダイジェスト版絵本)」C・Sルイス/原作 、チューダー・ハンフリーズ/絵、H・オラム/再話、中村妙子/訳(岩波書店)です。
魔法の衣装ダンス、それは 心の冷たい魔女に支配されているナルニア国の入り口でした。そして、冒険好きな4人の兄弟は、雪に閉ざされたこの国に春が訪れるように、偉大なライオン”アスラン"と一緒に、白い魔女を退治することになりました。兄弟の一人が、食いしん坊だったために白い魔女に捕まったり、アスランが1度死んでしまったりと、いろいろな事が起き、最後には、平和が訪れると言うお話です。
ナルニア国物語と言いますと、もともとモノトーンの7巻まである児童向けの本でしたが、今回映画化されるとともに、絵本、そしてカラー版が出版されました。初版は、1950年~1956年にかけての作品で、なんと半世紀にわたって愛されてきたわけです。これほど時間の経過がありながら、色あせないと言うのが、児童文学の不思議な魅力ではないでしょうか?このダイジェスト版は、小さい子どもがナルニア国物語の入り口に立つには、かなり集約されていて読みやすく、絵も原作のイメージを損なわないように描かれていると思います。そうは言っても、話の展開がかなり早いので、少し大きくなったら、原作にも挑戦していただきたいと思います。
実はこの作品、聖書の物語を下敷きにしていて、アスランとはライオンという意味のトルコ語で、”ユダヤの獅子”すなわち"イエス・キリスト”を示唆しているそうですが、宗教色は、それほど強くは出ていないような気がします。
ダイジェスト版でなく7巻のほうは、話の内容の”年代順”と"刊行順"で2通りの方法で読むことが出来ますが、著者の意思は、"刊行順"にあるそうです。
