多嚢胞性卵巣症候群の治療の考え方 | 「女性のからだ、お勉強ブログ」

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四季レディースクリニックは、東京都中央区・日本橋人形町駅前にある婦人科。医師・スタッフは全員女性です。
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多嚢胞性卵巣症候群(PCOs)の問題は、「無排卵による無月経、月経不順(不正出血)、不妊」です。


月経のしくみ のところで、卵巣の中に持っている卵子の数は決まっており、

50歳前後になると、卵子がなくなり、閉経する話を書きました。

毎月きちんと健気に排卵し、順調に月経が来ている人も、

月経不順で時々しか排卵できない人も、

1回も妊娠せず、10歳から50歳の40年間、毎年12回×40年=480回の排卵を経験した人も、

ひと昔前の女性たちのように、妊娠・出産を沢山経験し、一生に数十回しか排卵がなかった人も、

50歳前後で閉経するのには変わりありません。


大切なのは、「妊娠したい時に、きちんと排卵し、その卵子をつかまえることができるかどうか」。


今現在、卵子が出せても、妊娠しては困る・・・という場合は、無理に排卵させることはないと考えます。

また、今、治療をして排卵できたとしても、

本当に妊娠を希望する3年後、5年後に、同じ治療で排卵できるかどうかはわからないのです。


じゃあ、今の月経不順を放置しておいていいのか・・・?

答えは「ダメ」です。

というのは、子宮内膜は、きちんと排卵して、エストロゲンとプロゲステロンをバランスよく浴びることによって、

綺麗に張っては剥がれ、「毎月リニューアル」しているのが正常です。

うまく排卵できずに、エストロゲンだけで厚くなり、プロゲステロンを長く浴びない状態が長年続くと・・・

子宮内膜にできるガン、「子宮体癌」のリスクが将来的に上がることが判っています。

ですから、決して「妊娠したいときだけ治療すればいい」とは思わないでください。


以上のことから、多嚢胞性卵巣症候群の治療方針は、

① 今すぐ妊娠の希望があるか

② 現時点では妊娠したくないか           で異なってきます。